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沖縄科学技術大学院大学(OIST)は28日、国の難病に指定され、3大失明の原因の一つ、網膜色素変性症などに代表される失明疾患のメカニズムの一端を解明したと発表した。同日、発生生物学の専門誌「ディベラップメンタル セル」に論文が掲載された。
研究した同大の政井一郎准教授は「失明した患者さんの目が見えたり、失明を遅らせることもできる可能性も出てきた」と成果を話しており、県内の当事者グループも治療方法の解明に期待を寄せている。
網膜色素変性症は、網膜が壊れ、徐々に視機能が低下していく病気。これまで網膜を構成するタンパク質の輸送異常と、細胞の死に関係があることが報告されてきたが、メカニズムは解明されていなかった。
政井准教授らの研究は、タンパク質の輸送に着目。正常な輸送では、ある4種のタンパク質で構成する「SNARE複合体」が「融合」と「解離」を繰り返して細胞を正常に機能させる。しかし、別のタンパク質の作用で解離しなかった4種のタンパク質のうち、異常を検出した「BNip1」が、視細胞の死を引き起こすことを突き止めた。
政井准教授は「BNip1が視細胞の死を引き起こさないような阻害薬の開発につながる可能性がある」と述べた。
日本網膜色素変性症協会県支部の長嶺房子支部長(69)は「これまで治療方法がなく、点眼薬や飲み薬で進行を抑えるしか方法はなかった」と今回の原因究明を喜ぶ。県内の患者は約400人。「一日でも早く予防や治療につながってほしい」と要望した。