| ||
沖縄から海外に輸出される砂糖と塩の量が増えている。沖縄地区税関のまとめによると、輸出額は全国の伸び率がほぼ横ばいとなっている一方で、砂糖は2010年から、塩は11年から増え始めた。12年の輸出額は09年比で砂糖が6・8倍、塩が3・7倍で、いずれも過去最高になった。輸出先は台湾と香港。10年度から空路と海路で輸出を後押しする県や那覇港管理組合の支援事業が進められていて、輸出拡大の主要因とみられる。事業をきっかけに輸出を定着・発展させていけるかが鍵になりそうだ。(粟国雄一郎)
税関のまとめによると、主に黒糖や加工黒糖の「砂糖」は09年が4トン・423万円。その後、増え続け、12年には62トン・2880万円になった。沖縄からの輸出が全国に占める割合は、額が2・3%から14%、量は0・3%から5・1%に上昇した。
また、塩は10年の10トン・396万円が、12年には37トン・1601万円となった。全国に占める割合は輸出額が1・6%から7%、輸出量は0・5%から2・7%になった。
県は10年度から、那覇を拠点にアジアと日本本土を結ぶANAの国際物流ハブで、コンテナを借り上げて県内の事業者に提供する輸出促進事業を実施。台湾や香港向けの砂糖や塩の輸送量と額の推移は、税関の貿易統計とほぼ一致していて、事業を受託した県物産公社は輸出の拡大を「支援事業の成果」(海外事業課)とみる。
また那覇港管理組合も10年度から、香港や台湾向けの海上輸送に小口で荷主を募り、新たなビジネスモデルの提案に向けて費用や時間を検証する実験に取り組んでいる。海上輸送は空路に比べて時間がかかる一方で、輸送費が安く、管理組合は「賞味期限に猶予がある砂糖や塩は定着しやすい」(担当者)とみる。
県産業振興公社によると、アジアで日本の食の安全に対する信頼は高く、ミネラルやビタミンが豊富な沖縄の砂糖や塩は近年の健康志向にもかなって人気が高いという。
県の支援事業は、補助がなくても輸出が成り立つ将来への定着・発展が目的で「事業を足掛かりに販路とロット量の拡大を進めてほしい」(国際物流推進課担当者)と話している。