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東京株737円安、今年2番目の下げ ヘッジファンド売却が主導

SankeiBiz 5月31日(金)8時15分配信

 東京株式市場の動揺が収まらない。30日は東証1部の約96%が値下がりする全面安の展開となり、日経平均株価は3日ぶりに反落し、終値は前日比737円43銭安の1万3589円03銭と4月23日以来、約1カ月ぶりの安値水準となった。下げ幅は1143円安となった23日に次いで今年2番目の大きさ。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」への期待から上昇を続けた相場は調整局面入りが鮮明となったものの、荒れる相場の終わりは見えず、政府が6月にまとめる成長戦略の内容と実行力を市場が問うことになりそうだ。

 「また、ヘッジファンドの売りが出た」。相場の急落ぶりに市場関係者はため息をつく。この日、日経平均株価の将来の動きに連動する株価指数先物などに、外資系金融機関を通じた大口の売り注文が相次いだ。

 昨秋から日本株に投資し、買越額が10兆円近いヘッジファンドなどの海外投資家は、売れば利益を確保できる日本株を大量に保有している。東京外国為替市場で円相場が一時、約3週間ぶりに1ドル=100円台半ばまで上昇したことや米金融緩和の縮小観測を契機に売却に動き、相場の下げを主導したもようだ。

 東京証券取引所は30日、5月第4週(20〜24日)の部門別売買動向を発表。23日の急落を主導したとみられる海外投資家は3週ぶりに売り越しに転じた。金額は44億円にとどまるが、週前半に大きく買い越していたため相殺されたとの見方が強い。残る海外投資家の買越額のうち6兆円程度がヘッジファンドとみられており、今後も利益確定売りが続き、株式市場が翻弄(ほんろう)される可能性がある。

 急落にも関わらず、大きく下落して取引が中断する「ストップ安」となった銘柄は東証1部でゼロだった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「個別銘柄というよりも東京市場全体から資金が引き揚げられた」と強調する。また、1000分の1秒単位で売買を繰り返して利ざやを狙う欧米企業の高速取引の影響を指摘する声もある。

 アベノミクスへの市場の期待はしぼんだのか。野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「政策が失敗したのなら失望売りも出るが、アベノミクスの真価が問われるのはこれから」と話す。

 SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストは「30日の下落で、これまでの急上昇の過熱感が解消された」とみる。一方で「当面、大荒れの相場が続く」(三菱モルガンの藤戸氏)との見方も交錯している。

最終更新:5月31日(金)8時15分

SankeiBiz

 
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