藤浪のリミットを解除したのは、すでに4勝を挙げ、先発ローテとして認められた証ではある。その一方で、チーム事情も背景にはある。6度も救援に失敗した守護神の久保は、2軍落ち。腰の張りで一度抹消され復帰した福原も、好調時ほどの安定感はない。リリーフ候補として新外国人・ボイヤーを獲得したが、実力は未知数。虎のブルペンはまさに火の車だ。
藤浪が少しでも長いイニングを投げてくれれば-という願いも込められている。今季、最も球数を投げたのは、プロ初登板初先発時、3月31日のヤクルト戦(神宮)の105球だ。復帰登板した26日の試合後のお立ち台では「しっかり調子を上げていって、完投して、チームに貢献できればなと思います」と高らかに宣言した。自覚も準備も、すでに整っている。
この日、甲子園での指名練習に参加した藤浪はキャッチボール、ランニング、ブルペンでの投球練習で汗を流した。6月2日のソフトバンク戦(ヤフオクD)でのプロ初完投も見えてくる。
「(DHで)打順の巡りあわせで交代することはないので、そういう意味ではしっかりと投げられるようにしたいです」
貯金8で巨人とはゲーム差は1・5。巨人に肉薄するチャンスもあったのにリリーフ陣が崩れて負けた。僕が助けます。19歳の黄金ルーキーが、最後までマウンドに君臨する。
(紙面から)