アネトラレ

作者
ID:kDEdZuxw
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10スレ53


53 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 16:36:46 ID:WTixkxH6
15.
だらしなく贅肉がついた蓮沼の醜悪な下腹部。
臍の下あたりから縮れた剛毛が密生し、性器の周辺はまるで黒い陰毛の巣だ。
しかし、その汚らしい陰毛の中に、姉が、顔を深く埋めていた。
「ん…むふぅ…んむっ…」
姉の口は、蓮沼のペニスを深く咥え込み、頭が何度も上下動を繰り返す。
その度に、まるで幹のような長大な赤黒いペニスが姉の口から出入りした。
そのペニスは姉の紡いだ唾液で、ヌラヌラに淫靡に濡れ光っている。
「んふっ…んふっ…んんふぅ…」
姉は鼻から息を漏らしながら、懸命に蓮沼への奉仕を続けた。
姉は夢中だった。うっとりと目を閉じ、ペニスの根本を自らの手で握り、
軽く扱きながら、自分を支配する男への奉仕に熱中する。
「おら。手を休めんな、絵梨。タマもちゃんと愛撫せんかい」
蓮沼がそう命じると、姉はおずおずと右手で、汚い陰嚢を撫で廻し始める。
その間も、頭は絶えず動き続ける。んちゅ、んちゅ、とペニスに口の奉仕を続ける。
「うひひ…」
蓮沼の右手が姉の開かれた股間に伸びた。姉の裂け目にその指が触れた。
「…ん!…んんむうっ!」
蓮沼のペニスを口に含んだまま、姉がくぐもった叫びを上げ、イヤイヤをした。
「噛むなよ、絵梨ぃ。ぐへへ」
クチュクチュ、という音が響く、蓮沼の指が姉の敏感な部分を蹂躙する。
姉はたまらず、ペニスを口から吐き出した。
「あ、それ、だめえっ!…ひい…っ!」
「お前はホンマに、クリが敏感やなぁ。ぐへへ、一度イカせたる」
そう言うと、蓮沼は姉の背中を左手でがっしり押さえつけ、右手の動きを忙しくした。
「あ、ああっ!いやぁ!…鋭次郎さん、イ、いっちゃ、…!」
姉はいつもは綺麗に整えられているショートカットの髪を振り乱し、叫んだ。
蓮沼はその目にギラギラした光を浮かべ、笑みをこぼしながら姉を追いつめる。
「あ、あ!…ああ!だめ、だめえっ!」
姉は必死に太腿を閉じた。だが蓮沼の指はすでに姉の奥深く潜り込んでいる。
グッチュ、クチュ、クチュ…はっきりと、淫らな水音が聞こえてきた。
「絵梨ぃ。イクんか?敬と3人でいつもメシ食ったり、テレビ観てる部屋で」
「…や!言っちゃいやぁ!」
姉が、一層激しく首を振った。その頬を、涙が伝っていた。
けれど、そんな蓮沼の言葉嬲りも、今の姉には快感のエッセンスにしか過ぎない。
その証拠に、姉は次の瞬間、一気に頂点へと導かれた。
「…イク、もうイクうっ!…」
姉は背中をのけぞらせて、一声高く叫ぶと、蓮沼の腕の中でビクビク痙攣した。

54 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 16:37:18 ID:WTixkxH6
16.
俺は混乱の極限に達していた。自分の感情がどういう種類のものか分からなかった。
だが、自分の肉体の変化に気付いた。俺のペニスは、固く勃起していたのだ。
味わったことのない興奮。その中に俺はいた。
(…どうなってるんだ)
俺の姉。早川絵梨。俺にとって、誰より大切な存在。尊敬すべき女性。
弟として誇りである姉。つねに正しく、潔癖で凛とした絶対。
そう思っていた。そんな、俺の中で常に光り輝いていた姉が、目の前で
屑のような男に犯されていた。いや、自らはしたなく身体を開き、男を欲している。
怒りや、悲しみ。俺の中に生まれた感情は、そう言うものだと思っていた。
だが、違う。自分の中に生まれた感情が、理解できなかった。
どれほど潔癖に生きてきても、こんな蛇のような男にひとたび狙われれば、
あっという間に、淫欲に塗れた一匹の牝に堕とされてしまうのか…。
その思いが、俺の中に、異常な興奮を呼び起こしていた。
「うへへ、けどやなぁ…」
蓮沼の声に俺は、我に返った。
絶頂を極めて、荒い息をつく姉の顎を、蓮沼が指で上向かせて話し掛けていた。
「…さすが母娘やで。マンコの締まり具合が、朋子によう似とるわ」
最初、蓮沼の言葉の意味が分からなかった。
朋子?母さんのことか?……なぜ、なぜここで母さんの名前が。
「…やめて。お母さんのこと…もう言わないで…」
まだハァハァと息を衝きながら、姉が、弱々しくそう言った。
だが、蓮沼はやめようとはしなかった。
「朋子もなぁ…最初は必死で抵抗しよったんや。お前と同じで、必死になぁ」
俺は、自分の視界がぐらりと揺れるのを感じた。
「…やめて」
「ウヒヒッ…エエから聞けや。朋子はな、3度目で堕ちよったんや」
…どういうことなんだ。姉ちゃん、コイツは…何を言っているんだ。
「2度目までは耐えとったんやけどな、3度目に、とうとうワシのチンポで
イキまくりよったんや、今でもあのよがり声は忘れられへんでぇ」
「…いや!やめてぇ…」
姉は耳を塞ぎ、顔をイヤイヤと左右に振りながら、泣き叫んだ。

55 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 16:37:50 ID:WTixkxH6
17.
俺の顔は、おそらく蒼白になっていただろう。
いまや、俺にも蓮沼の言っていることの意味が十分に推察できた。
母が…
母も、蓮沼の女にされていた。
信じられることではなかった。姉以上に優しく慎ましやかだった母が。
穏やかな父に愛されていたはずの、母が。こんなクズののような男に。
うひひっ…と、蓮沼が卑猥な笑い声を漏らした。
「泣くな泣くな。ほれ、朋子から生まれた絵梨のマンコを味合わせてくれや」
蓮沼はソファから降りて絨毯の上に座り、がばぁ、と姉の両足を大きく開かせた。
姉は、イヤイヤをするが、抵抗をしようとは、しなかった。
蓮沼は、そうするのが当然とでも言うように、姉の股間に顔を埋めた。
そして、その顔を左右に激しく動かし始める。べちゃ、べちゃ、ねちょ…と淫らな
音がすぐに聞こえ始めた。
蓮沼が、姉の股間を舐めしゃぶっている。いや、姉の性器を口と舌で犯していた。
「い、いっ…ひい…っ!」
姉は両腕を顔の前で交差させ、顔を隠しながら、背を大きく反らせる。
蓮沼は大きくM字開脚させた姉の太腿の裏側を、決して閉じられないように固定し、
姉に激しい舌責めを加えていった。
ぴちゃ、ぴちゃ、べちゃ、べちゃ…と遠慮のない舌の音が部屋に響く。
姉は蓮沼の舌に翻弄され、ビクビクと身体を震わせて、ソファの上でのたうつ。
「ウヒヒ、やっぱりマンコ汁の味も、母娘そっくりやで!なあ、絵梨!」
「いやぁ!…いやだぁ…!」
べちょ、べちょ、べちょっ…
嫌がり、泣き叫んでいた姉は、しかしやがて鼻から甘い吐息を漏らし始めた。
「はっ…んはぁ…」
「ウヘヘ。どや、感じてきたやろ?もうグチョグチョや」
「…やっ…!え、鋭次郎さ…っ!」
「ほれ、クリ舐めしたる」
蓮沼が顔の動きを止めるとすぐに、姉が恥も外聞もないよがり声を上げ始めた。
「いぃーーーっ!ひぃ……キモ…チ…い…よぉっ…」
姉が蓮沼の頭を両手で抑え、自分の股間にさらに蓮沼の頭を押し付けた。
同時に姉は腰を使い始めた。細く白い腰が淫らに前後左右にうねった。
「あはぁ…はぁ…はぁ!」
声を漏らす姉の表情を、俺は見た。
こんな姉の目を見たことはなかった。淫らな情欲に負けて潤み、頬は上気していた。
二度と見たくないほど、姉は汚らわしく、そして、美しかった。
「…イクうっ!」
姉はやがて腰を激しくうねらせながら絶頂を告げ、白い喉を見せて痙攣した。

56 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/11/27(木) 16:38:28 ID:WTixkxH6
18.
俺は、股間に痛みを感じていた。
ペニスがかつてないほど激しく勃起していた。
姉のみならず、母までを、奪われていた。
まったく気付かず、何も出来なかった。自分は幸福だとばかり思っていた。
屈辱と、深い絶望。底なしの無力感。
だが、その中に異様な興奮が生まれているのを、俺は感じていた。
俺は息を荒くしながら、ベルトをはずし、ズボンをずり下げた。
トランクスの中に手を入れ、熱くなった自分の陰茎を握り締める。
「はぁ…はぁ…」
蓮沼に2度目の絶頂に導かれ、だらしなく股を開いた姉の痴態。
凝視したまま、俺は、自慰行為を始めていた。
(…姉ちゃん……姉ちゃん……)
俺の心は、赤い血の色に切り刻まれていた。だが、それでも俺の手は動きを
やめようとしなかった。赤黒い興奮が、俺の中でじょじょに高まっていく。

リビングでは、蓮沼がソファの上で、姉に覆い被さり、のしかかっていた。
姉はもはや抵抗する様子もない。人形のようにされるがままだった。
蓮沼が姉の股を限界まで開かせ、そこに己の腰を入れ、ぐっ、と密着させた。
「…おほぉぉ…うほっ…」
その途端、蓮沼が、背中をブルリ震わせ、間の抜けた声を響かせた。
「…あぁぁ、あぁ!ひぃ!…」
失神していたような姉が、ふたたび、情けない屈服の声をあげた。
蓮沼の、あの汚い醜悪で巨大なペニスを、膣に突き立てれられたのだ。
俺の視界には、蓮沼の汚い裸の尻があった。
姉の両足は大きく開かされ、その間で蓮沼の汚い尻がズンズン、と前後した。
「どや…?絵梨ぃ、太いやろ?デカイいやろ、うひひひっ」
「いーーっ…いいっ…こわれっ…壊れちゃ…!」
「絵梨ぃぃ…うほぉぉ、締まる、エエで、エエでっ…たまらん!」
蓮沼の腰が律動する。姉の中心を激しい勢いで抉り、穿つ。
「ああ、ああ…ああっ」
姉の顔は見えない。だが、声だけが響いた。
俺には分かった。その声色が…決して嫌悪と苦痛からのものでないことが。
「はぁ、はぁ、おおっ、朋子よりエエで、絵梨!どや、ワシのチンポ、ええか?」
「…ううっ、ふうっ…え、鋭次郎さ…っ」
「チンポがエエか、聞いてるんや、絵梨!言わんかい!」
蓮沼は姉を責めた。肥満した身体に似合わない逞しさと、言葉で、まだ幼い姉の
性感を掘り起こし、開発するように責め続ける。
あっけなく、姉は、陥落した。
「…チンポいいっ!」
叫んだ。信じられなかった。姉が、発するはずのない汚らわしい言葉を。
「ひいいっ…も、もっとぉっ…チンポ好きっ、チンポいいーーーっ!」
「絵梨、絵梨、絵梨ぃぃぃ!」
蓮沼が姉を抱きしめた。そして、姉の腕が伸びた。
蓮沼の背中に廻された、抱きしめた。姉の腰も、激しく前後した。
快楽を求めて姉の腰はうねった。グチュ、グチュと淫らな水音がはっきり聞こえた。
「…ぅ、くっ、鋭次郎、さんっ…もう絵梨、ダメえぇっ!!」
「おお、おおおおっ、絵梨ぃ…出すでっ…イケ、おまえもイケっ!」
「…もっ、ダメっ!あ、ああ…イク、イクうっ!」
獣のような交合は、しかし、ぴったりと息が合っていた。
姉と蓮沼は、互いの肉体を奪い合い、与え合い、同じ頂点へ上り詰めていった。


122 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:56:11 ID:4E51ZOMq
19.
俺の手は、自らの精液に汚れていた。
姉の絶頂を見届けた瞬間、俺は激しく射精していたのだった。
その鮮烈な闇の快楽は、これまでの人生で俺が経験したことのないものだった。
誰よりも大切な、この世でたった一人の家族である姉を、汚され、奪われた。
卑劣な、醜い、狡猾な中年男に。
憎んでも憎みきれない。八つ裂きにしてやりたいはずだ。なのに、なぜ?
だが、その時点で俺もすでに蓮沼の罠に囚われていたのだ。
すべてがヤツの計算どおりだったのを、間もなく俺は思い知らされることになる。
くちゅ、くちゅっ…と音がした。
蓮沼と姉が、淫らに、息のあった口づけをソファの上で交わしていた。
姉は、ふん、ふん…と鼻から甘い吐息を漏らし、うっとり蓮沼の口づけを受けている。
自らの腕を、蓮沼の首に巻きつけて。夢中で蓮沼の舌と唾液を貪っている。
やがて二人が口を離すと、唇と唇の間に、とろり…と粘っこい唾液の糸が引いた。
「うへへ。絵梨、もうすっかりワシの女やな」
「…」
姉は顔を真っ赤にし、蓮沼の厚く毛の生えた胸板に手をおき、甘えるように頭を預けた。
「…どれ。マンコにたっぷりワシの子種が入ったやろ。垂れ流して見せてみい」
蓮沼は、そう言うと、姉の足を開かせ、己の精を射込んだばかりの膣肉に、くちゅりと
指を入れ、数回、中をグチュグチュ、とまさぐった。
「…あん、んっ!」
快楽の埋み火にまた火を点され、姉はビクビク身体を痙攣させて蓮沼にしがみつく。
やがて蓮沼にほじくられた膣口から、どろり…と大量の精液がソファに垂れ落ちた。
「…ソファ…汚れちゃう…。敬ちゃんに…気づかれちゃう」
姉が哀願するように言った。
「うへっへへ。まだそんなこと気にしとんのか。どうせ近いうちにバレることや」
「…そんな。だって」
「何が、だってや。ワシの女やと、敬にバレるのが恥ずかしいんか」
「…恥ずかしい」
「恥ずかしくても、どうせいつかは言わなアカンことやろ。え?」
「……はい…。あんっ…やん…」
蓮沼の指が姉の乳首を摘み、転がすと、姉はすっかり男に甘え切ったた嬌声をあげる。
「ワシの女にされて、嬉しいんとちゃうんか?」
「…はぁっ…はい……うれしい…」
「ワシに処女散らされて、散々、キモチええセックス仕込まれて、しあわせやろ?」
「……はい…」
「ちゃんと返事せんかい」
「はい……絵梨は…キモチいいセックス…を…仕込まれて、しあわせ、です」
…なんてことだ。
性行為のあと、恋人同士が余韻を楽しみながら乳繰り合っている姿だった。
清楚そのものだった姉を、これほどまで淫らな女に変えてしまった蓮沼に俺は慄いた。

123 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:56:45 ID:4E51ZOMq
20.
「じゃあ、ちゃんと、敬に告白できるんやな?ワシの女になったことを」
蓮沼はさらにしつこく言い募った。
「…でも…」
姉は蓮沼の胸板に頭を預けたまま、甘えるように拗ねてみせる。
「絵梨、お前のワシへの気持ちを確かめとるんや。はっきりせんかい」
「……どうしても…敬ちゃんに、言うの?…こわい…」
姉は上目遣いで、じっと蓮沼を見つめた。全裸で、大きく股を開いた姿のままで。
俺の目には、蓮沼の精液をいまだトロトロ垂らしている姉の膣口が丸見えだ。
「そうや。怖かろうが何だろうが、言うんや」
「…は、い…」
姉はついに返事をした。俺への愛情より、蓮沼に対する隷従心が勝ったのだ。
「うへへっ。覚悟ができたみたいやな」
「……わかりました…」
執拗な蓮沼の確認に、ようやく俺は(おかしい)と不安を覚えた。
だが、その時には、もう遅かったのだ。
「よっしゃ!なら、話が早いわ」
蓮沼はおもむろにソファから立ち上がり、姉をぐい、と引き起こす。
「…?」
全裸の姉が、きょとんとした表情を見せた。
蓮沼は、姉の腕を引いてこちらへ近づいてくる。
まさか。まさか、蓮沼は…!!
俺はズボンとパンツを引き下ろし、射精したあとのペニスを握ったブザマな姿だった。
2階の姉の寝室の前で同じだったように、俺に逃げ場はなかった。
「あ…わっ…」
自分の口から情けない声が漏れるのを、俺は聞いた。
俺の漏らした声に、姉の細い肩がぴくり、と反応した。
そして、俺の隠れている部屋の襖は、蓮沼によって勢い良く、押し開かれた。
蓮沼と姉。全裸のふたりが、俺の目の前に立っていた。
姉は蓮沼に、細い肩を抱かれて、寄り添うようにして。
俺は、ペニスを握り、精液を自分の手に飛び散らせた姿で、ただ二人を見上げた。
次の瞬間、姉の鋭い悲鳴が、部屋に響き渡った。

124 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:57:25 ID:4E51ZOMq
21.
「きゃあぁぁっ、やぁっ、ぁああっ…!!」
姉はその場に、しゃがみこんだ。自分を抱きしめ、裸であることを必死に隠すように。
「…いやぁあぁァァ!」
姉は完全に、錯乱していた。
腰を抜かしたように尻を床にぺたんとつき、必死に後ずさりをする。
髪を振り乱し、ふたつの眼から涙をいっぱいに溢れさせる姉た。
一瞬だけ俺を見たその目が、怯えと恐怖に満ちていた。
これまで、一度足りとも、姉にそんな目で見られたことはなかった。
「…ね、姉ちゃ…」
俺は、懸命に言葉を振り絞った。このままでは姉は狂ってしまうのではないか。
「…いやだあぁ!!」
だが、俺の声は、姉をさらなるパニックに陥らせただけだった。
そして、その場を収めたのは、その成り行きをニヤニヤと見ていた蓮沼だった。
蓮沼は、姉の前にしゃがむと、姉の髪をぐいと引っ張り、強引に顔を上げさせた。
「…ひうっ…!」
姉が驚きとその痛みに、目を見開く。
蓮沼は、その姉の頬を思い切り平手で張り飛ばした。
パァンッ!という乾いた音が部屋に響いた。
「おら、落ち着かんかい!絵梨!」
ドスの効いた声だった。姉の顎を手で掴み、蓮沼は姉の目をじっと見つめた。
「…ひっ!…ひくっ!…」
姉はショックで、しゃくりあげた。さっきよりも、更に大きく瞳孔が開いている。
父と母でさえ、生前、俺たち姉弟に手を上げたことは一度もなかったというのに。
「よっしゃ、そうや。絵梨。息を大きく吸って、吐いてみぃ」
蓮沼が命じた。
姉は呆然と床にへたり込みながら、ロボットのように蓮沼の言われたとおりにした。
すう、はぁ、すう、はぁ…と姉が呼吸する音が部屋に響く。
蓮沼は、にやりと姉に笑いかけた。
「そや。それでエエんや。落ち着いたか」
「……」
姉は、真っ青になりながらも、こくり、と頷いた。
蓮沼が姉の顎を掴んだまま、姉の顔を俺に向けた。
姉の目からは、まだ涙が次から次へと溢れている。
「…もうバレたんや。ワシらの関係は、敬に。分かるな」
「………」
姉の目が俺を凝視している。その瞳には少しずつ理性が戻りつつあった。
「敬はな、さっき2階でワシらがヤッテたことも知っとる。覗いとったんや」
「……」
俺が、下半身を露出した姿であることも、姉はきっと認識し始めているだろう。
「どうせいつかはバレると決まってたことや。そうやな?絵梨」
姉の腕は、だらりと垂れていた。
蓮沼にすっかり蹂躙されつくした乳房、桃色の乳首、うっすらと股間を覆う陰毛。
もう覗き見ではなく、俺は姉の裸を間近で見ているのだった。
そして気付いた。姉の乳房には、いくつものキスマークが刻まれていた。
付けられて少し経った紫色のものもあれば、まだ生々しい桜色のものもあった。
いや、乳房だけではない。良く見れば、キスマークは姉の身体中に散らばっていた。
蓮沼に初めて抱かれた日から、姉の身体からこの痕が消えた日はなかったのだろう。
「…敬ちゃ…ん」
姉が、小さな声を、はじめて漏らした。
涙に濡れた目が俺を見つめている。俺は、その場にいたたまれなくなった。
蓮沼が笑った。
「しかし、敬。お前も大したタマやで。姉ちゃんのセックス覗いてオナっとったんか」
激しい羞恥に、俺は襲われた。
夢中でパンツをずりあげ、ズボンを穿くと、そのままリビングを飛び出した。
「…敬ちゃ…!」
姉の声が後ろで響いた。
だが、俺はそのまま階段を駆け上がり、自分の部屋へと逃げ込んだ。

126 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:57:56 ID:4E51ZOMq
22.
どれだけの時間が経っただろう。
自分の部屋で電気もつけず、俺はベッドの上に膝を抱えて蹲っていた。
少なくとも、1時間以上はこうしている気がする。
その時、階段をゆっくりと上ってくる足音が聞こえた。姉に違いなかった。
やがて、俺の部屋のドアが、遠慮がちにコンコン、とノックされた。
「……敬ちゃん…」
俺は答えない。ただ、膝の間に、顔を埋めた。身体がどうしようもなく震えた。
「…敬ちゃん。入っても、いい?…」
また姉の声がした。
俺の知っているいつもの優しい姉ちゃんの声だった。それが逆に哀しかった。
さっき見た姉の痴態がフラッシュバックし、俺は喉の奥で低く唸った。
ドアノブが、ゆっくり廻った。扉が開く。
廊下の光をバックに姉がそこに立っていた。光のせいで表情は読めない。
「……入るね…」
姉はゆっくりと部屋に入ると、そのまま後ろ手に扉を閉めた。
暗闇の中で、おれたち姉弟は向かい合った。
姉はもちろん、もう裸ではなかった。いつもの部屋着に着替えている。
しばらく、姉は何も言わなかった。沈黙だけが俺たちの間に流れた。
「………ごめん、ね」
やがて、姉は、そう言葉を搾り出した。
謝られて、俺の中に、ようやく姉に対する怒りの感情が湧き起こった。
何でこんなことに?何に対して、姉ちゃんは謝罪しているんだ?
「……何が、ごめんなの?」
俺は頭を膝の間から起こして、姉を見つめ、言った。
「……」
「何に、謝ってるの…?」
姉は、言葉に詰まったようだった。ごくり、と喉を鳴らす音がした。
「……敬ちゃん。聞いて」
それから姉は言った。
「聞きたくないよ」
「…」
「もう分かってるんだから。全部、全部見たんだからさ、俺」
「敬ちゃん」
「姉ちゃんが、ヤツとセックスして、喜んでる姿を全部見たんだからさ」

127 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:58:30 ID:4E51ZOMq
23.
俺は自分の言葉が残酷になるのを、止めることが出来なかった。
姉はさすがに、しばらくの間、黙り込んだ。
「…そう、だよね…」
それから、姉は寂しげに言葉を続けた。
「ぜんぶ、見られちゃったんだ…よね…敬ちゃんに」
「……」
「…軽蔑…したでしょ?…ごめんね…敬ちゃん」
俺は思わず声を荒くした。
「だから、何が“ごめん”なんだよ!」
「ごめんって、言ったのは」
姉は思い切ったように、間髪入れずに答えた。
姉は、何かをふっきろうとしている。それが分かって、俺は怯えた。
「ごめんって言ったのは」
姉はもう一度繰り返し、それから俺をじっと見つめた。そして、言った。
「お姉ちゃんが…鋭次郎さんを…好きになったこと」
頭を殴られたような衝撃だった。
分かってはいても。
姉の口から。蓮沼を好きなのだと。あんな卑劣な、狡猾な男を。姉が。
「…それから」
姉は続けた。まるで自分に言い聞かせるように。
「敬ちゃんに…黙って、何度も…何度も…鋭次郎さんと……」
姉ちゃん。やめてくれ。もうやめてくれ。
「こっそり…抱き合っていること……本当に、ごめんなさい…」
「なんで…」
「…敬ちゃん」
「…なんで…そんなこと言うんだよ…どういうことなの?…姉ちゃんは…」
「…」
「姉ちゃんは、まさか、アイツとこんなふうに、続けるつもりなの…?」
俺はようやく顔を上げた。そして、すがるように姉の顔を見つめた。
「…お姉ちゃん、ね」
姉は、もう視線を逸らさなかった。そして、答えた。
「もう、鋭次郎さんのものなの」

128 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:59:10 ID:4E51ZOMq
24.
息が苦しい。目眩がする。背筋を汗が流れるのが分かる。
姉ちゃん。嘘だろ。今、なんて言ったんだ?
姉ちゃんは、アイツのもの?自分でそう言ったのか?
俺はもう自分が何を考えているのかすら、分からなかった。
だが、俺の口はそれでも勝手に動きつづけた。
「…なんだよ、それ」
「…」
「お、俺と…、どっちが」
「……敬ちゃん」
「…俺と、アイツと、どっちが…大事なんだよ」
暗闇の中で、ようやく姉の表情がはっきり見え始めた。
姉は、苦しそうな表情をしていた。唇を噛んで。そのことがさらに俺を傷つける。
ダメだ。これ以上、追いつめちゃダメだ。だが、自分を止めることが出来ない。
「…聞いてるんだよ!俺とアイツと、どっちが大事なのかって!」
「………敬ちゃん」
姉は、俺にゆっくり歩み寄ってきた。そして、ベッドの前まで来て、膝を付いた。
数十センチの距離に、姉の顔があった。
こんな表情も、今までに俺は見たことがなかった。
なんて辛そうな表情なんだろう。しかし、その表情はあまりに美しかった。
つぅ…と、姉の頬を涙が伝って落ちた。
「…ごめんなさい、敬ちゃん」
姉は言った。それが、姉の答えだった。
「…敬ちゃん、お願い…認めてください」
姉は、俺に向かって頭を下げた。
「もう、お姉ちゃん…鋭次郎さんが…」
それ以上は、言葉にならなかった。
「……」
「お願い。敬ちゃん…認めてください…」
すべて、蓮沼に命じられた台詞だったのかも知れない。
だが、そうだとしても、姉はその筋書きを受け容れている。
俺の心は、おそらく、その時に壊れてしまったのだろう。
姉は俺に深く頭を下げていた。床に頭を擦りつけ、弟である俺に懇願していた。
俺のことを何より大事にしてくれた姉。いつも俺を守ってくれた姉。
その姉が、俺よりも大事になった男のために、俺に頭を下げていた。
「…もう」
俺は感情を失った声で言った。
「もう、俺は…姉ちゃんの一番じゃないね」
姉はその問いに答えなかった。ただ何度も「ごめんなさい」だけを繰り返した。
暗い部屋の中に、姉の哀しげな嗚咽だけが響いていた。

129 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:59:56 ID:4E51ZOMq
25.
日常は続いていく。
あの夜以後も、表向き、俺たちの生活は何も変わらない。
俺と姉は学校へ通い、蓮沼は道楽のような不動産事務所で一日を過ごす。
だが、姉が朝と夕に用意する食事は、蓮沼の好物が出ることが多くなった。
ただ、一週間に2、3回、俺が寝静まる頃に、姉の寝室の扉が静かに開く音がする。
そして、俺の部屋の前を、忍びやかに姉の足音が通り過ぎていく。
姉の足音は、そのまま階段を下り、明け方になるまで戻っては来ない。
そんな夜、俺はベッドの中で、まんじりともせず夜を過ごす。
そして、今まさに俺の真下の蓮沼の部屋で、蓮沼に抱かれている姉を思う。
闇の中で感覚は鋭敏になり、やがて俺の耳に、階下の物音が響いてくる。
ギシッ、ギシッときしむベッドの音や、姉の快楽の啜り泣きが聞こえてくる。
そして、モーターが動くような機械音も。
ふたりが、お互いの体液にまみれて、貪欲に求め合っている姿が浮かんでくる。
姉は蓮沼にありとあらゆる痴態を取らされ、新たな快楽を植え付けられる。
姉は蓮沼から逃げることは出来ない。俺に、姉を救うことは出来ない。
一度、蓮沼も姉もいない時に、蓮沼の寝室を覗いた。
姉が掃除をしてはいるのだろうが、そこには濃密な男と女の匂いが漂っていた。
テーブルの上には、姉が嫌っていた煙草や灰皿も置いてある。
俺は、ゆっくりと蓮沼の部屋に踏み込んだ。
箪笥の引き出しを開ければ、そこには淫らな玩具がこれ見よがしに並んでいた。
何種類ものバイブや、ロータ。
バイブには、明らかにアナル用と分かる物も並べられていた。
淫らな下着も、数多く仕舞われていた。
夜な夜な、蓮沼に淫らな下着を着せられ、淫らな玩具で姉は弄ばれているのだろう。

棚に収められていた古いアルバムも、俺はこっそりと開いてみた。
そこには、母がいた。
もちろん、それはただのスナップ写真ではない。
俺の母が蓮沼の性の奴隷であった証拠の映像が、何百枚もそこに収められていた。
(敬ちゃん、ご飯よ)
(敬ちゃん、お父さんを呼んで来て)
(敬ちゃん、お姉ちゃんと仲良くしなきゃダメよ)
いつも優しい笑顔で俺に接していた母。だがそれも表の顔に過ぎなかった。
蓮沼のような鬼畜に狙われれば、母ですら屈服せざるを得なかったのだろう。
そして姉は、蓮沼にこの写真を見せられ、泣きながら抱かれたのだろう。

130 名前:アネトラレ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 15:01:14 ID:4E51ZOMq
26.
別の引出しには、蓮沼の通帳が仕舞われていた。
父と母の遺産が、すべて姉の口座から蓮沼の口座に振り込まれていることを知った。
俺には何もする気はない。もう姉をこれ以上傷つけるつもりはないからだ。
姉を取り戻そうとする気力も、湧き上がって来ることはない。
すべてこれは、俺の愛する姉の選択なのだ。

深夜、姉の寝室の扉が、また静かに開く。
姉が俺の部屋の前を通り過ぎるとき、俺は初めて、自分の部屋の扉を開けてみた。
姉は、少し驚いた表情で、俺を見つめる。
廊下の窓から、月明かりが射していた。
月光に照らされた姉は、美しかった。綺麗だった。
恋する男のもとへ向かおうとする怖いほどの艶を、姉は身に纏っていた。
「…敬ちゃん…?」
「なんでもないよ」
「……」
姉はしばらくの間、俺を見つめていた。
暗闇の中で見る姉の目は、まるで何かを値踏みする狡猾な猫の目のようだった。
「……もう寝なきゃダメよ」
「うん」
姉は哀しげに微笑して、小さく頷いた。そして、俺に背を向ける。
もう一度、ちらりと俺を振り向いてから、姉は静かに階段を下りていった。

今夜も俺は、眠れずに朝を待つのだろう。
いつか、この牢獄から、巣立つ日のことだけを希望に。
月明かりの射す廊下に俺はひとり、永遠のように取り残されていた。

(完)