というわけで本日秋葉原ベルサールにて開催された
アニメ制作ワークフローセミナー
『ガールズ&パンツァー』メイキング
~ グラフィニカが織りなすメカとアニメCGの世界 ~
へ行ってきました
本セミナーの定員は300人
なお、会場は満員の模様
確認メールでは応募多数の場合抽選で、と書いてあったけどラッキーだったのかな?
会場の様子
本セミナーは撮影、録音が禁止されているため写真はここまで
※本レポートはセミナーの内容を可能な限りメモしたものから書き起しているため
本来の内容とは若干主意が異なる場合があります
※本レポートはセミナーの内容を可能な限りメモしたものから書き起しているため
本来の内容とは若干主意が異なる場合があります
第一部はガルパンの3Dモデリングを制作した株式会社グラフィニカより
3D監督 柳野啓一郎さん(好物:シュトゥルムティーガー)
チーフモデラー 後藤岳さん
が来場してくれました。
前半:3D戦車の動かし方
柳野さんによる現場における3D監督の役割
(途中最終話納品後、即ち水戸オールナイト上映後に大洗ホテルで死屍累々のチームの様子などもw)
ガールズ&パンツァーの「ガールズ」の部分はアニメ制作方が良いものを作ってくれる
だろうから自分たちは残りの「パンツァー」の部分を徹底的に作り込むようにした。
戦車の”形”と”動き”に説得力を持たせることで戦車ファンも納得のいく、今までに無い
ものが作れるのではないかとの考えから。
【ディテール】
とにかく資料を読み込み、現物も出来る限り見たり触れたりした
レマゲン鉄橋や戦略大作戦、プライベートライアン等の戦争映画も参考にした
実物を観察するため総火演に2回、自衛隊富士学校で90式に試乗、土浦駐屯地で89式の内部や底面も観察してきた。
【動き】
履帯、転輪、サスペンションなど足回りの見えないような細部に”それらしい”動きをさせるのが大変だった。
【モデル製作】
戦車はⅣ号D型でテスト製作開始
原田敬至氏(モデリング原案)のCGをモデルケースとして使用
http://www2.cc22.ne.jp/~harada/3Dindex.html
使用した素体は原田作品、模型用CADデータ、新規に作成したデータの3種
原田氏のモデルは数百万ポリゴンもあり、動かすにはポリゴン量が多過ぎるのでこれを
40万程度に削ぎ落とし、アニメとして画面映えするように調整。
彫り込みを入れたり細部の表現を重視。特にカメラワークを考慮しハッチの裏や車体の裏側も作り込んだ
【質感】
よく見ないとわからない細かい傷や汚れのグラデーション
下部は汚れ等の質感を強くし、砲塔等上部はキャラクターが乗るため違和感のないよう少なめに
【リグ】(リギング:CGを動かすための設定)
戦車を動かすためベースリグを開発
劇中に登場する30種類の戦車の履帯やサスの動き、接地具合などそれぞれ違うため
90%以上が手作業。
柳野氏がゲームパッドでも動かせるにシステムを開発、しかし誰も使わなかった(笑)
悔しいので2話の戦車ゲームに当システムを流用する。
【アニメーション】
現実らしさとアニメ的誇張表現により戦車それぞれに個性を与える
これらのさじ加減が「ガルパン戦車」誕生の秘訣!
後半:肴屋本店さんへの追突場面の製作秘話
チーフモデラーの後藤さんによる説明
【場面製作にあたり】
水島監督から届いたコンテを見て「どうしたらいいんだ」と戦慄した。
後にアクタスから4話の大洗町の資料が届き監督の思惑に合点がいく。その後も
激突コースの乗車視点動画等を確認しデフォルメしつつもとことんリアルにしてやろう!
と意気込む。
【アタリモデルを作成】
速度や走行距離を設定してスピード感のテスト
最初は30km/h設定でモデルを走らせるが、仮CGの中を走るためスピード感が分かりづらいとの指摘を受ける。
【ラフモデル作成】
カメラマップ(実写から2D貼付け:書き割りのようなもの?)とUVマッピング(テクスチャ貼付け)の中間のような質感を目指してラフモデルを作成。
このモデルを提示する事で水島監督よりスピード感確認のOKサインを得る。
作中の走行速度は倍の60km/hくらいに設定。
背景製作にあたり指示が難しいため、外注の美術会社への指示も3DCGの動画を見せる。
予想以上の出来映えになって感心した。
【戦車のパターン】
破壊のモデルなど各戦車に5パターンほどバリエーションが存在する。
(総計約150パターン!)
壊れたらなるべく止め絵(予算、納期の都合上)ただし11、12話は特別!
第二部:第一部のお二人に加え
杉山潔さん(プロデューサー)、杉本功さん(総作画監督)、廣岡佑次さん(宣伝プロデューサー)、小林敦さん(演出、コンテ)
によるディスカッション
杉山潔さん(プロデューサー)、杉本功さん(総作画監督)、廣岡佑次さん(宣伝プロデューサー)、小林敦さん(演出、コンテ)
によるディスカッション
・ガルパン製作に携わったのそもそものきっかけは?
杉山P(以下、P):
(雑誌インタビューなどでもう散々言ってきたが)湯川淳氏が海モノ(タクティカルロア:海)杉山氏が空(ストラトス・フォー:)の作品を作ったのでじゃあ次は陸で戦車だねという湯川氏との雑談が発端。
実際にバンダイビジュアルの社内稟議を通して製作に漕ぎ着けるのは大変だった(売れるかどうか微妙だったから)
杉本氏(以下、杉):
アニメ制作のアクタスから製作の話が来ていた。PにM4A1シャーマンでラフを描いて!
といわれていたので鋳造砲塔のラフを描いた。元来メカ好きで素養もあったために参加。
3Dチェックも行うことに。
小林氏(以下、小):
演出デビューが水島監督のBlood Cの11話。戦車談義をしていたら監督から話が来た。
はじめは演出のみでの参加だったがコンテも切る事に。
実は現場監督で一番3Dチェックが厳しかったのは小林氏。
水島監督の暴走(特に戦車の挙動速度等)にブレーキをかける場面も。
水:今のとこ3倍速で!小:無理!
・特に大変だった所は?
柳野氏(以下、柳):
基本全部大変。前例がないためイレギュラーが多く対応が困難なことが多かった。
杉:
3Dに負けないように仕上げをすること!
水島監督が朝型のため早朝の作業明けの後、毎週11〜12時あたりに3Dチェック作業が入るのが地味につらかった(笑)
柳:
こだわったのは形と動き!
戦車の挙動表現は今まで製作が避けてきた鬼門であり前例が宮崎駿の作品くらいしかない
フォーマットを提示するところがものすごく大変だったが面白い仕事だった。
P:
戦車は地味だけど履帯、転輪、サスペンションをはじめとする足回りや砲塔、砲身、ハッチなど動く部分が非常に多く、また接地表現が難しい。結果、手作業にならざるを得ない。
これをあえてやったところが大変だった。
後藤氏(以下、後):
室内などの内部の資料を探すのに苦労した
モデリングは10式が一番楽しかった
Pが送った10式の模型CADデータに納得がいかなかったので1から新規作成!
柳:
変なモチベーションがあった(笑)
C-2輸送機改による10式の空中投下はPたってのこだわり(わがまま)
防衛省から資料の取り寄せまでする徹底ぶり
P:
世界観にリアリティ(説得力)を持たせるため、戦車以外のもの(小物)にも細かい設定をつける
小:
自分の次の回は水島監督がコンテを担当し、要求が半端じゃないことは分かってる(笑)
ので自分の担当回は省エネ気味で製作に余裕を持たせるようにした。
止め絵の中でも戦車をかっこ良く印象的に見せるよう心がけた。
また各話ごとにテーマを持たせるようにした
11話では黒森峰戦車が大量に登場するためどうしてもスポーツより戦争色が強くなってしまうが、あえて戦争のような雰囲気を出し、ヘッツァーのおちょくりからコメディタッチにする事でギャップを明確にした
黒森峰サイドでは戦争のように、大洗サイドでスポーツにリセットする。
水島監督はそんなことより女の子をもっと可愛く見せる方法考えろ!と(笑)
監督のコメントは意外と本音だったりする?
小:
3話のコンテデビューの際には水島監督から「怨念のこもったコンテ」と評される。
モブを可愛く見せる事で戦車の室内描写が一層映える。
柳:
小林さんの3話のコンテは一度日の目を見るべき
・11、12話について
P:
11、12話の遅れが作品の致命傷になるかもと心配だった
3ヶ月をどう+に転換してゆくか苦心
大洗、モデルグラフィックと協力しイベント等を企画。待つ楽しさを作り出すようにした。
あきられないように、あきれられないように!
杉:
11、12話はこだわれる事すべてこだわった。
反響が大きくなってきて嬉しかったので終わったらどうなってもいいという覚悟で臨んだ。
・OVA、劇場版について
P:
脚本はほぼ決定、セリフ回し等の修正中。来年春リリース予定!
劇場版は冬に、完全新作の続編、プロットが固まり吉田さんが脚本製作はじめたところ
まだあんまり詳しい言えません!(笑)
後:
イタリア戦車のプラモ作りました
グラフィニカでは毎週プラモ作る会を開催している模様
広:
30分アニメのために複数の追加モデリング製作は贅沢なのでは?
柳、後:
贅沢です!(笑)でも是非作りたい
水島監督もたくさん作りたいという意向の様子。
柳:
TVでの表現を基本としていくが色々やろうと思ってるので追加要素あるかも!
劇場版に出てくる面白い戦車に大しても色々仕掛けたい。
P:
ガルパンという作品は製作に参加したスタッフが仕事としてだけではない、こだわりを持ったひと達の集まりだったからこそここまで出来た
OVA、劇場版も同じスタッフでやるべき!
劇場スクリーンサイズならではの表現に期待!
大洗は現地のノリの良さで自主的にいろいろやってくれるので提案よりも協力を重視する。
今年は11月あんこう祭とスタンプラリーネクストが確定。
また大洗ならではの「しょ〜もない(笑)」グッズの申請もきている。
劇場版公開にむけて大掛かりな仕込みも!
自衛隊とこそこそ作戦遂行中?
マスコミ報道等で勘違いされがちだがガルパンは大洗復興のために作った訳ではない
またアニメ一本で町が救えるなんて思う程うぬぼれていない
大洗とファンの自主性が結果的にヒットを呼び、大洗の活性化につながった。
・今後に向けて一言
後:
色々な方と交流出来て感謝
これからも満足のいく作品をつくってゆく
柳:
スタッフの熱意+ファンの温かみによって出来た奇跡のような作品
でもその奇跡に頼らず努力してゆきたい
小:
水島監督のコンテを見る度悔しい思いをしていたので次は監督をうならせるようなカットを!
P:
ファンに感謝とお詫びを
必ず面白いものを見せるので期待していてほしい
これからもファンと一緒にこの作品を楽しんでゆきたい。
杉:
大洗の方々に温かくして頂いて幸せ
3Dに負けないよう作画も頑張る。
以上でセミナー終了となりました
この後質疑応答があるはずでしたが時間の都合でカット(泣)
第一部の製作に関する技術的な凄さは門外漢の僕には半分も理解出来てませんでしたが
相当に苦労して作り上げたことは十分伝わってきました
杉山Pの
『ガルパンという作品は製作に参加したスタッフが仕事としてだけではない、こだわりを持ったひと達の集まりだったからこそここまで出来た』
という言葉に大いに頷くばかりです
OVA、劇場版も期待を持って、楽しく待てそうです
あと「しょ〜もない」グッズの詳細が楽しみすぎるwww
以上、レポートおしまい
(*・ω・)ノ
アハトゥンク・ガールズ&パンツァー: ガールズ&パンツァー公式戦車ガイドブック [大型本]
この後質疑応答があるはずでしたが時間の都合でカット(泣)
第一部の製作に関する技術的な凄さは門外漢の僕には半分も理解出来てませんでしたが
相当に苦労して作り上げたことは十分伝わってきました
杉山Pの
『ガルパンという作品は製作に参加したスタッフが仕事としてだけではない、こだわりを持ったひと達の集まりだったからこそここまで出来た』
という言葉に大いに頷くばかりです
OVA、劇場版も期待を持って、楽しく待てそうです
あと「しょ〜もない」グッズの詳細が楽しみすぎるwww
以上、レポートおしまい
(*・ω・)ノ
アハトゥンク・ガールズ&パンツァー: ガールズ&パンツァー公式戦車ガイドブック [大型本]
コメント
コメント一覧
webで見たガルパン関連の記事では一番かも。
それにしてもいつになったら水島監督の話が聞けるようになるんだろう・・・
ありがとう!
いいなぁ
アニメ制作(特に映像)の苦労話って面白いから羨ましいですわー
コメントする