先生・・・現在進行形
アギト・・・過去(独身時代)
先生と不倫関係を築いてもうすぐ1ヶ月。
あたしの心の中は、「旦那」の存在はもちろん「アギト」の存在までなくなろうとしている。
アギト・・・あんなに好きだったのに。
別れてからも、旦那と結婚してからも、ずっと忘れれなかった。諦めきれなかった。
アギトとやり直せない事は分かっていた。
やり直せたとしても、1度捨てられた以上うまくいかないだろうし、昔程好きにはなれないと思う。
あたしの心の中のアギトはあくまでも「別れる前のアギト」。
あたしは、アギトとの思い出から抜け出せなかった。
それは単に、アギトを超える人に出会えなかったから。
妻子持ちのアギトに対して「離婚して欲しい」と1度も思わなかったのも、アギトの子供が小さかったってのがあるけど、アギトとの1年半が充実したものだったからって事もあった。
要は、アギトはあたしに寂しい思いをさせなかったって事。
でも、先生に出会い、付き合うようになって、アギトの存在が薄れていく事がはっきり分かった。
1番の理由は「ほぼ毎日会っているから」って事だと思う。
1日1時間~2,3時間。これは先生もアギトも同じ。違うのは、先生が「毎日」に対してアギトは「週1~10日に1度」。
アギトは毎日電話してくれたけど、やっぱり「会う」って事は大きいよね。
でも、不思議なのは、アギトに対しては「不満」ってのがなかったんだけど、先生に対しては「不満」ってのがあるんだよね。
先生は「奥さん」を優先させるんだよね。
・・・それ、当たり前でしょって思うかもしれないんだけど、アギトは違ったんだ。
アギトは「子供」は優先させるけど、「奥さん」は優先させないんだよね。
例えば、アギト自身がお休みの日にあたしが「デートしたい」って言うと、普通なら「奥さんと過ごさなきゃいけないから」とか言うでしょ。でも、アギトは「子供が学校から帰ってくるまでならいいよ」って言って、奥さんに嘘をついてあたしに会ってくれたんだよね。
先生の子供は自立していて、アギトの子供は小さいっていう違いが確かにあるけど、「奥さん」って存在を優先されるかされないかってのは、「愛人」という立場としては大きいよね。
でも、不満がある中で、「アギト」という存在を薄れさせてくれて、今では忘れてしまいそうな位にさせてくれた「先生」って存在はやっぱり大きいよね。
先生とアギト、1番の違いは・・・先生には「離婚して欲しい」って思う事。
この思いこそが、アギトの存在が薄れていく理由なのかもしれない。