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世界遺産登録どれくらい儲かる?

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2013年5月27日 掲載

富士山は「当確」、鎌倉は…?

<ジャパンマネーとユネスコの綱引き>

 27日の夕方、ユネスコの諮問機関から世界遺産への「不登録」を勧告された鎌倉市が、立候補取り下げについての最終決断を下す。

 今年の世界遺産への立候補は、富士山も含めて36件。6月16日からカンボジアで開催される世界遺産委員会で正式に決まる。

 昨年は、世界遺産に33件が立候補し、約8割の26件が新たに登録された。決定に重要な役割を果たす諮問機関イコモスなどの判定は、上から「登録」「情報照会」「延期」
「不登録」の4段階。不登録だと箸にも棒にもかからないのかというと、そうではなく、昨年も「不登録」だった「キリストの聖誕教会と巡礼路」(パレスチナ)が、“逆転登録”されている。そして、今年は日本にラッキーな追い風が吹いている。07年に登録された「石見銀山」も、イコモスに“延期”を勧告されながら、まさかの登録。「ジャパンマネーの威力」(関係者)といわれた。日本は当時、ユネスコ予算の4分の1に当たる87億円を分担する世界最大のパトロン国だったのだ。

 一方、日本が分担金を減らした途端(今年は30億8000万円)、ユネスコは冷たくなる。しばらく新規登録はなくなり、11年に「平泉」と「小笠原諸島」がダブル登録されたが、これは直前の東日本大震災の“同情票”の影響が大きかった。

「しかし、今年は日本に追い風。パレスチナのユネスコ加盟に抗議し、予算の22%を分担する米国が支払いを拒否。日本がまた世界最大の拠出国になっているのです」(関係者=前出)

 では、国を挙げて世界遺産を目指すのは何のためか? 簡単に言ってしまうと、“儲かる”からだ。

 例えば、「紀伊山地の霊場と参詣道」(和歌山県)の高野山は、地元シンクタンクによると、観光客2割増で経済波及効果は年間273億円だ。別表の通り、国内の16の世界遺産の多くが、登録前年よりも観光客を増やしている。

 ただし、「石見銀山」(島根県)は、ピークだった08年の約81万人から4割減の50万人に観光客が減ってしまった。

「日本人の特徴として、平泉が登録されるとあちら、次が富士山だとそちらに客が流れてしまう。ただ、石見銀山も登録前から比べたら、まだ10万人ほど増えています」(地元の島根県大田市観光協会・広報担当者)

 また、世界遺産登録にかかるコストを嫌って立候補を断念する自治体も多い。最上川で登録を目指した山形県は、今年の準備予算だけでも約4億円かかるとし、世界遺産を目指すのをやめてしまった。平泉も立候補にあたり、周辺の土地の買い上げだけで約23億円を使っている。

 さらに、いったん登録されたら、“現状維持”が条件。富士山も観光客増を当て込んでケーブルカーは設置できない。09年には、橋を造ったドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)が登録を取り消されている。

 世界遺産は、世界中に962件もある。ありがたみという点では効果が薄れているようだ。

◇日本の世界遺産/登録年/観光客増減(登録前年と2010年)
(1)法隆寺地域の仏教建造物/93年/105万人→99万人 ▼6万人
(2)姫路城/93年/88万人→46万人 ▼42万人
(3)屋久島/93年/24万人→33万人※09年 △9万人
(4)白神山地/93年/18万人→43万人 △25万人
(5)古都京都の文化財/94年/5567万人→4955万人 ▼612万人
(6)白川郷・五箇山の合掌造り集落/95年/67万人→170万人※09年 △103万人
(7)原爆ドーム/96年/155万人→133万人 ▼22万人
(8)厳島神社/96年/289万人→344万人 △55万人
(9)古都奈良の文化財/98年/1339万人→1850万人 △511万人
(10)日光の社寺/99年/580万人→862万人 △282万人
(11)琉球王国のグスク及び関連遺産群/00年/210万人→210万人
(12)紀伊山地の霊場と参詣道/04年/293万人→349万人 △56万人
(13)知床/05年/227万人→170万人※11年 ▼57万人
(14)石見銀山と文化的景観/07年/40万人→50万人 △10万人
(15)平泉/11年/195万人→264万人※12年 △69万人
(16)小笠原諸島/11年/1.3万人→2.6万人※12年 △1.3万人
【(7)は平和記念資料館入場者、(11)は首里城公園入場者数、他は各自治体HPなど】
~2013年5月27日以前の記事~

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