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【大リーグ】

黒田“円熟”の7イニング無失点 7勝目お預けも存在感

2013年5月30日 紙面から

◇メッツ2−1ヤンキース

 【ニューヨーク穐村賢】「マリアノが打たれ(て負け)たら、仕方がない」−。ヤンキースの黒田博樹投手(38)は28日(日本時間29日)、敵地でのメッツ戦に先発し、7イニングを4安打無失点。最少得点しか援護がない中、メ軍の売り出し中右腕マット・ハービー(24)との“我慢比べ”を制し、勝利投手の権利を持ったまま降板したが、9回に守護神マリアノ・リベラ(43)が逆転を許し、今季7勝目も泡と消えた。好投報われず、チームも今季初3連敗となったが、ベテランらしく、必勝継投での敗戦を「仕方がないこと」淡々と受け止めた。

 黒田は三塁も踏ませぬ快投を演じて降板。ロバートソン、リベラと続く“勝利の方程式”で、ヤンキースの勝利は時間の問題と思われたが、9回にまさかの結末が待っていた。

 今季一度も救援に失敗していない通算626セーブを誇る絶対神が1死も取れずに3連打を浴び、メッツにサヨナラ勝ちを献上する。ほぼ掌中にあった今季7勝目、敵地シティフィールドでの初勝利が黒田の手からこぼれ落ちた。だが、黒田は恨み言一つ言わなかった。「マリアノ(リベラ)が打たれたら仕方ない。彼にはたくさん助けられているし、これからもたくさん助けてもらうことになる」。38歳のベテランは達観しているかのように語った。

 新進気鋭のハービーとの見応えある投げ合いは経験値で勝り、投球以外の部分でも“引き出し”が多い黒田が制した。「真っすぐも力があって、メンタル的にも強い。ルーキーらしからぬ素晴らしい投手」と認めた2年目右腕と、息つく間もないほどの投手戦を繰り広げたが、6回に明暗。ハービーが味方の失策絡みであっさりと失点したのに対し、黒田はその裏、2死二塁の窮地を絶妙なけん制で乗り切った。

 「(二走テハダの)リードを見た時点でいけると思った。スプリットの握りだったので、体を回転しながら握りを変えた」と黒田。テハダを刺すと、グラブを強くたたき、自ら気合を入れた。

 結果は悔しいサヨナラ負けも、黒田の好投が色あせることはない。前回登板(22日・オリオールズ戦)で打球を受けた右ふくらはぎは完治しておらず、降雨で試合開始も1時間半以上遅れるなど、取り巻く環境は厳しかったが、文句なしのクオリティースタート(6イニング以上を自責3以下)で応えてみせた。

 寡黙な男は「相手より1点でも(失点を)少なくという気持ちは常に強く持っている。今日は最低限の投球はできた」と胸を張ることもなかったが、その安定感あふれる“プロの仕事”への評価は投げるごとに増している。

 

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