老人ホーム火災:福岡の歯科医、放火容疑で逮捕
毎日新聞 2013年05月29日 12時25分
福岡県粕屋町の有料老人ホーム「粕屋の杜」から出火し、職員らが軽傷を負った火災で、福岡県警は29日、福岡市早良区百道浜4、歯科医、立石隆二容疑者(54)を現住建造物等放火容疑で逮捕した。県警によると、立石容疑者は「身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は、4月6日午前4時半ごろ、ホームの1階事務室の窓から、点火した油性の液体入り容器を投げ入れるなどして放火し、2階建ての1階事務所部分約1平方メートルを焼損させたとしている。
出火当時、ホームには職員1人と入所者14人がいた。15人全員が煙を吸って一酸化炭素中毒などで病院に搬送され、うち職員を含む5人が最大5日間入院した。
県警によると、付近の聞き込みなどの捜査から立石容疑者の関与が浮上したといい、立石容疑者とホーム側にトラブルがなかったかどうかなどを調べている。また、29日午前に立石容疑者の関係先を家宅捜索して裏付けを進めている。
立石容疑者は1989年に福岡県糸島市内に歯科医院を開設したという。治療で何度も歯科医院を訪れたことがあるという、医院の近くに住む女性(69)は「いつも優しく治療をしてくれた。事件を起こすような人には思えない」と驚いた表情で話した。立石容疑者の自宅近くに住む女性は「仲の良い家族で、とてもそんなことをする旦那さんには見えない」と話した。
一方、「粕屋の杜」の男性職員は「何も話せない」と話し、ホームの経営会社の女性職員は「(事件の)細かなことは知らされていないので、コメントはない。立石容疑者とホームとの関係もよく分からない」と話した。【川上珠実、尾垣和幸、野呂賢治】