'13/5/29
飲酒運転の条例制定進まず
飲酒運転事故に巻き込まれて死亡した広島市安佐南区の高校生の遺族が、飲酒運転根絶の広島県条例制定を求める要望書を県や県議会に提出して29日で1年。この間、同じ趣旨の条例は、福岡県が全国初の罰則付きで全面施行。中国地方でも岡山県が施行するなど、対策の柱の一つとして広がりつつある。しかし、広島県での動きは鈍い。
「条例はインパクトになるが、それだけ重たいもの。まだ県全体で機運が高まっていない」。県議会の林正夫議長は要望から1年を前にそう説明した。県警の取り締まりや県の各種対策を評価した上で、条例化には慎重な姿勢を示した。
2011年5月、安佐南区の高校2年三浦伊織君=当時(16)=が飲酒運転の車にはねられ、死亡。両親は一周忌を終え、要望書を提出した。「被害者も加害者も出さない社会に」。母の由美子さん(43)は訴える。
当時、県は「(条例制定済みの)他県での効果を検証して判断する」と説明。1年たった今も「検証中」とする。県議会は、昨年6月とことし2月に勉強会を1回ずつ開いたものの、具体的な議論に至っていない。
県警によると、昨年の県内の飲酒運転事故は前年比17件増の141件、死者は同6人増の15人だった。摘発は同164件増の698件。公務員や議員の違反も相次いだ。