
産業能率大学客員教授 西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は産業能率大学の客員教授として教鞭をとるとともに、新聞・雑誌などで執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。
東京証券取引所が主催する、株式投資に興味を持ってもらうためのアイデアを自由に表現するコンテスト「ソーシャルかぶコン2013」のサイトに、Dr.西野の動画が公開中! くわしくはこちら
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スプリント買収を仕掛けるソフトバンクの狙い
スプリントの買収を仕掛けたソフトバンクのニュースが、5月24日に出ていた。ロイターの報道では、米携帯電話大手スプリント・ネクステルは23日、ソフトバンクのスプリント買収に必要な州当局の認可が全て得られたとある。一歩前進したということなのだろう。
ソフトバンクが買収提案をした後、米衛星放送大手ディッシュ・ネットワークも買収提案をしている。果たして、ディッシュ・ネットワークはどのような考えで買収提案を後発で仕掛けてきたのだろうか? 本気でスプリントを獲得しにきたのか? 同じ米国企業として、ホワイトナイトとして現れたのか? あるいは、どうせ買収されるなら、出来るだけ高くソフトバンクにスプリントを買ってもらおうと、強豪相手として手を挙げただけで、本気で買収する気がないのか?
今のところ、ソフトバンクは条件を変えるつもりはないらしい。ソフトバンクの孫社長は、ここが勝負どころだと当然思っているだろう。ヤフーに出資したときも、ボーダフォンを買収したときも、孫社長以外にあれだけのリスクを追って仕掛けることはできなかっただろう。今回も、バワランスシートの悪化を懸念する意見もあるようだ。ボーダンフォン買収の時も、「買収して財務は大丈夫なのか?」と散々報道された記憶がある。ただ今回は、報道陣はなぜか静観しているように感じる。人は、初めてのことには異常に反応するが、一度経験すると最初ほどインパクトを感じないということなのだろうか? あるいは、今回は国内企業の買収ではなく、米国企業の買収なのでさすがに難しいのでは?と思っているのだろうか?
いずれにせよ、ソフトバンクがスプリント買収を成功させたら、一気にグローバル企業にのし上がる可能性がある。買収後のビジネスがうまく行くかどうかも心配されるが、まずは買収できるかどうかだろう。
最新号のメルマガでは、そんなソフトバンクが買収を決断した理由が別にあるのではないかを分析し、明らかにしている。
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