このまとめ大変興味深いです。
千葉市長「印鑑証明という前時代的な本人確認手段が見直せない行政に合理化など期待できません。千葉市は条例改正で見直します。」 – Togetter
文化として保護してくださるのですか?
お気持ちは理解しますが、電子化が進んでも行政が製紙産業を保護しませんよね RT @louvre_isono 我々にも生活があります。食っていけないことをわざわざやりますか?ハンコに触れる人達がいなくなれば衰退するのは当たり前です。ではあなたは文化として保護して下さるのですか
— 熊谷俊人(千葉市長)さん (@kumagai_chiba) 2013年5月28日
元ツイートを投稿したユーザーはハンコ屋さんだと思われます。まさに気持ちはわかりますが、行政が保護するのは間違いでしょう。
テクノロジーは仕事を破壊する
ここで見られるのは「テクノロジーが仕事を破壊する」という、ありふれた現象です。新しいテクノロジーが普及すれば、それはほとんどの場合、今まで仕事・モノを不要にします。
パッと思い浮かぶのは、スマホが「ゲーム機」「コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)」「ビデオカメラ」「パソコン」「ボイスレコーダー」あたりを不要にしたという現状。もちろんこれらは絶滅はしていませんが、確実に必要性は下がっています。ちょうどパソコンの出荷台数が前年比30%減(!)というニュースが5/24に報道されてますね。
無情なようですが、ハンコ屋さんも残念ながら、これまでのやり方を続けていては、衰退するのみでしょう。「タバコ屋」が今まさに減りつつあるように、20年後は「ハンコ屋」という存在も希少になっていくはずです。これはもう、不可避の変化です。
無論、ハンコ屋に限らず、テクノロジーは仕事を破壊していきます。
以前「今後10年で消滅に向かう職業を考えてみた」という記事を書きましたが、
・Googleらが開発する「自動運転車」はタクシー運転手、トラック運転手などを不要にする
・MOOCや安価な動画授業は、「一対多の座学」中心の教師を不要にする
なんて未来は容易に想像できる、というかすでに始まっているような気もします。
かくいうぼくも、テクノロジーによって仕事が破壊されることを免れることはできず、最近は「ロボットが記事を生産する」なんて取り組みも普通に見られるようになっていきます。もはやプロの人間である必要がなくなりつつあるわけですね。恐ろしい。
関連記事:クラウドソーシングとロボットによって変わるニュースメディアの未来
数十年単位の長期スパンで見れば、「文化」に属する仕事ですらも「不要になっていく圧力」から逃れることはできないでしょう。
とすれば、やるべきことは、市場環境に合わせて創意工夫をし、なんとか生きのびる努力をすることしかありません。
ハンコ屋、素敵なビジネスじゃないですか。一般的な用途に収まらないハンコを企画し、啓蒙してみてはいかがでしょうか。
たとえば「名刺専用ハンコ」とか。印影って温かみがありますし、自分の名刺に刻印したい人もいるはずです。こんな感じのイメージ。すごいですねこれ。
他にも「布用ハンコ」なんて使い方もあるみたいです。これも面白いですね。
(はぴままカフェ:不思議おかしい消しゴムはんこ『やまこはんこ』)
追記:「個性まるだしハンコ おすもん」なんて商品もあるよ、と情報頂きました。これこれ、こういうクリエイティビティが素敵なんです。
ハシビロコウやばい。
テクノロジーと上手く絡めて、QRコードを刻印できるハンコなんてものがあっても面白いかもしれません。素人アイデアでも色々出るレベルですから、業界やニーズに詳しい専門家の方なら、「21世紀のハンコ」を必ずや生み出せるはずです。
それがダメなら、仕事を鞍替えするしかないでしょう。冷たい言い方ですが、ぼく自身はライター業をやっていて、そんなつもりで生きております。食えなくなったら、そこが限界です。別の仕事をするしかありません。
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