東京電力は火力発電所の建設・運営企業を選ぶ入札を締め切った。中部電力や新日鉄住金、Jパワーが応募した。
安価で安定した電力の供給を実現するには、多様な企業の参入を促し、競争を通じて供給力を高める必要がある。中部電などの応札は電力会社による地域独占を崩し、電力市場を変える一歩となる。
入札は国有化の下で経営再建中の東電が、今後必要となる供給力を確保するために、外部資金を活用して発電所を整備する狙いだ。2019年から21年の間に運転を始める発電所を建設し、東電に供給する企業を選ぶ。
中部電は東電と共同で茨城県に石炭火力発電所を建設するという。これに重要な意義があるのは、この発電所でつくる電力は東電に供給するだけでなく、一部を中部電自らが関東圏で販売する計画だとされるためだ。
電力自由化を成功に導くには電力事業に参入する新規事業者が育つことが大切だ。同時に忘れてはならないのは、既存の電力会社間の競争をどう促すかである。
現在の制度でも工場やオフィスビルなど大口需要家には、電力会社が自社の営業区域以外で販売できるが、実績は1件にとどまる。
中部電が東電区域内に自分で発電所を持って販売すれば、需要家は東電と料金やサービスを比較して選べるようになる。
政府が閣議決定した電力改革の基本方針では16年をめどに、家庭向けを含め電力小売りを全面自由化する。電力会社がこれに沿う形で競争に踏み出すことは重要だ。新日鉄住金など異業種からの参入も電力市場の活性化には必要だ。
入札では260万キロワットの募集に対し、応募は合計68万キロワットにとどまった。入札の事前説明会にはエネルギー、素材、商社など約50社が参加するなど関心は高かったが、多くが応募を見送った。
東電による電力の買い取り価格などの条件が厳しく、発電方式は事実上、石炭火力に絞られた。これを満たせる企業は、本業で石炭を扱い、港湾や貯蔵施設などのインフラをすでに持つ製鉄や電力会社に限られたためとみられる。
入札を導入しても、企業が幅広く参加しなければ成果は期待できない。東電は今後、老朽化した発電所の建て替えでも入札を実施する。今回低調に終わった原因を分析し、買い取り条件の見直しなど制度の改善が欠かせない。
東京電力、中部電力、電力、Jパワー、火力発電所、新日鉄住金
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