農林水産業も対象に 国の産業復興投資促進特区 本県基幹産業の活性化支援
本県の産業再生に向けて、固定資産税などが優遇される「ふくしま産業復興投資促進特区」の対象業種に農林水産業分野が追加される見通しとなった。これまでは製造業を対象としていたが、基幹産業である農林水産業の活性化を支援することで復興を加速化させる。設備投資や土地購入の際の税制を優遇することで、営農の大規模化や企業参入、被災者雇用を促進し、復興を後押しする狙いがある。県が6月中に申請し、7月中にも政府の認定を受ける見通しだ。28日、県庁で開かれた県新生ふくしま復興推進本部会議で、県側が明らかにした。
産業復興投資促進特区は政府により県内全59市町村での活用が認められている。農林水産業分野の具体的な対象範囲は、山林を除く農業振興地域、漁港などを基本とするが、農家レストランや直売施設など六次化産業を展開する場合は市街化区域や用途区域も認める方針。今後、市町村と対象範囲を定め政府に申請する。
対象事業は、個人農家が担い手を失った農地を集約したり、複数の被災者を雇用したりする営農や、大型農業機械の購入、農家レストランや農家民宿の経営などを主に想定している。
農業法人による大規模営農、植物工場や直売施設の経営、漁業者の漁港の水揚げ施設の増設、林業者の木材運搬なども対象とする。
該当すれば事業用設備の特別償却、被災者を雇用した場合の法人税控除、不動産取得税や固定資産税の免除などの優遇措置が受けられる。
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震災と原発事故からの産業復興に向けては、「ふくしま産業復興企業立地補助金」をはじめ、福島復興再生基本方針に基づき規制の特例を盛り込んだ産業復興再生計画、福島復興再生特別措置法改正による避難区域の税制優遇措置などがある。
■製造業の区域拡大でも合意 県と復興庁
県と復興庁は、製造業の「ふくしま産業復興投資促進特区」についても、区域の拡大で合意した。これまで個別の工業団地や工業専用地域などに限定され、区域が点在していたが、市町村の実態に応じて面的に広げる。
現在、県内では全59市町村の工業団地など777カ所の区域が指定され、420社が税制の優遇を受けている。ただ、「ふくしま産業復興企業立地補助金」などを受けて新規立地や設備投資を計画する事業者が増える一方、指定区域外では優遇を受けられないため、市町村から区域拡充の要望が強まっていた。
今後、市町村と対象区域を決めて農林水産業分野と合わせて6月中に政府に申請する。
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