先日はドクターヘリを要請したときの地上部隊の動きについて書いてみたけれど、今回はさらに掘り下げたことを…。
先日、山中での救助事案に管轄分署の救急隊1隊、少し離れた署から救助隊1隊が出場した。指令センター側の判断で、出場指令と同時にドクヘリも要請したらしい。
その後、たまたま管轄本署へ事務連絡に行っていた管轄分署の連絡車(乗用車ベースの赤い車)に所属長と本署の当直責任者が、本署の連絡車に本署の隊員1名が分乗して災害現場へ向かった。現場の到着順は ①救急隊→②分署連絡車→③本署連絡車→④救助隊 だったはず。
先着した救急隊が現場確認と傷病者観察を行ったところ、傷病者は救助の要なし。ただし、「山中から救急車部署位置までは搬送に人手が必要なことから、救助隊はそのまま現場へ向かってほしい。」との無線が入った。
ほぼ時を同じくしてドクターヘリのランデブーポイントも近隣の小学校校庭に決定し、指令センターからその旨が無線送信された。が、たまたま事案が重なっており、散水と安全管理に必要なポンプ隊は本当に離れた署所から30分以上かけて来なければ到着できないような状況だった。
で、このとき指令センターから出た指示は本署連絡車が校庭に赴き安全管理に当たれ…というもの。最初に書いたけれど、任務付与された本署連絡車には1人しか隊員が乗っていない…(汗)。
このときの指令管制員は、安全管理=マーシャル(誘導)&立入制限と認識していたのだろうが、そもそも(縁起は悪いが)ヘリ墜落や事故時の初動も含めた安全管理を考えなければならず、この場合はポンプ隊を配置し、誘導とともに警戒に当たらせなければならない。
また、本来ウチの内部では(散水不要な)舗装してあるランデブーポイントを優先的に選定する決まり事になっており、災害現場を起点にするとほぼ同じ距離に舗装してあるランデブーポイントがあったのに、なぜにわざわざ土の校庭を選択したのかもよくわからなかった。
もしオレが当日指令センターにいて事案管制していれば、(それがベスト or ベターな対応かは自信はないケド(^^;)まず遠くても一番早く安全管理隊として出場できるポンプ隊に出場指令する。ただし、これは空振り覚悟の過大出場分。
そして、ランデブーポイントにポンプ隊が到着する前にドクヘリが上空飛来する可能性の方が高いこと、また災害現場では救助の要はなく搬送のための人手だけほしいとのことであるから、最後着の救助隊をランデブーポイントの予備警戒に当たらせ、人手は分署連絡車・本署連絡車の人員に当たらせる。連絡車隊の人手で足りなければ、災害現場を通過する救助隊から1~2名人員を災害現場で下ろし、残った隊員が救助工作車とともにランデブーポイントに向かってもいいだろう。そこまで具体に指示をし、その上で現場での判断で柔軟に対応してもらうよう調整する。
災害の状況は時々刻々と変化する。通報受信時や指令当初とは状況が変われば、任務も自ずと変化するわけで、その変化に応じた部隊管制をすればいいだけの話。当初に「救助隊は救助」として出してしまったから、「搬送支援=救助隊」という構図から抜け出せずに、後出しの隊に後付けで任務を付与していけば回らなくなるのは目に見えている。
指令は災害現場だけでなく、管内の部隊状況も含めて俯瞰的に物事を見て柔軟&臨機応変に判断する必要がある。一つの事案対応にいっぱいいっぱいになってしまい、俯瞰的なものの見方や柔軟な判断ができない指令は、もうその時点で指令としての役割を果たしていない。
臨機応変すぎて現場を振り回すようではダメだが(^^;、地方の田舎消防ゆえに管轄面積が広い割に署所数・部隊数に限りがあるところこそ、マニュアルに縛られない着想も必要だと思う。