そこから得られたデータを厳密な数学的手法を用いて年齢や性の差を補正し、解析した結果、たいへんに興味深い結果が得られたという。
「平日の睡眠時間と海馬の体積には、有意な正の相関が見られた。わかりやすく言うと、睡眠時間をより長く取っている子供は短い子供に比べて、海馬の体積が大きいことがわかったのです」
グラフにもあるとおり、10時間ぐらいまでは「睡眠時間の長さに比例して海馬の体積が大きくなる」という関係が成り立っている。そして、睡眠時間が1日5~6時間ぐらいの子供よりも、9~10時間ぐらいの子供のほうが海馬が1割程度大きかったという。
海馬が大きいほうが記憶力が良いという研究結果は複数ある。記憶力の負荷が高いロンドンタクシーの運転手は、一般人に比べて海馬の体積が大きいというのもその一つだ。
では今回の結果をもって、「寝る子は脳も育つ」と言ってしまっていいのだろうか。