「ふぅん……」 うなずく。 少女の手。肉球ぐろぉぶから、紙の束が投げ出された。 書類がほつれ、机の上に白く広がる。幾枚かははらはらと宙を舞い、床に落ちた。 世界の人口統計20XX年度版。発行元は国連人口基金と、書類に記載されている。 「見事なまでに計画通りなのさ。誉めてつかわす」 「恐れ入ります」 褒められる。勇輝は意図せずにかすれた声を出し、頭を下げた。 怖い。 嫌でも自覚させられる。目の前の少女に恐怖しているのだと。 ぽつ。 ぽつ。 ぽつ。 背筋から、冷や汗が吹き出ている。 カッターシャツの下に着込んだ安物のランニングがその汗を吸って、ぴったりと肌に張り付く。気持ち悪い。 上司と部下だからとか、眼光が鋭いからとかいった次元の恐怖ではない。 それは、畏怖。生物としての根源に位置する本能であり、絶対的捕食者に対する感情。 同時に勇輝とその少女との、力量の差をも示していた。 「そうびくびくするにゃ。あんまり虐めてオーラを出されると、そのにゃんぽこをぶった切りたくなってくるにゃ」 「それはご勘弁をば」 「冗談だにゃ。とにかく顔をあげるのさ」 彼はおそるおそる、女の顔を見た。 メルファルファーニ・アカメナ・レッド。 人外の化け物の王と、王側近の使徒との間に出来た娘。 いわゆる血統書付きの――ネコだった。 異様な姿をしている。 両手に、16オンス相当の肉球ぐろぉぶを装備。 頭には頭髪と同じ色の漆黒のネコミミ。 少女が喋るたび、それはひこひこと動いた。 身長は低い。150センチにわずかに届いていないだろう。目はパッチリと開かれ、虹彩が金色の輝きを放っている。 だが。 だがもちろん、勇輝を恐れさせるのはその容姿ではない。 それは少女が身にまとう、雰囲気であり空気であり―― 少女と対峙した者だけが感じることができる、異様な威圧感だった。 寒い。 全身が寒い。 寒いのに、汗が出る。 無数の人間の怨念が少女の周囲にまとわりついている。 少女の周囲にいる者を無差別に噛み砕き、呪い殺す禍々しい気。 瘴気。 おぞましい。少女の見た目とは裏腹に、死神と相対するような圧力がある。 少女は椅子に座らず、立ったままで腕を組んでいた。 「来週の頭に実態調査して終了っと。この報告書どおりの数字かメルファ様がチェックするにゃ。もし数を誤魔化していたらお仕置きするから心しなさい」 「了解いたしました。……ところで、良質な肉が手に入ったので接待させていただきたいのですが」 にゃ。 あからさまな餌付けの誘いに、メルファが鳴いた。 金の輝きを放つネコの眼がうっすらと細くなり、剣呑な光を宿している。 本能的な危機感をおぼえ、勇輝は後ずさった。 「陛下に指定された時期まで、故意に獲物を狩ることは禁止されているにゃ。まさか汚職しているのかにゃ? このメルファ様を賄賂で垂らしこむつもりなのかにゃ?」 「いやいやいやいやいやいやいやいや」 ガクガクブルブルと頭を振って否定し、勇輝はこの恐ろしい上司に弁解をした。しなければ彼の立場が破壊される。具体的にはすり潰され焼かれ車引きの計に処されて殺されてしまう。それだけはごめんこうむりたい。 「不可抗力というかたまたまですよ。某国の高官から焼却処分されるしかない肉が欲しいかどうか尋ねられましたので。表向きは実験用のサンプルとして預かっているものです」 実験用のサンプル。その単語が、普通の生物の死骸ではないことを意味している。牛や豚や鳥ならば、政府高官との交渉など必要ない。金銭を使い適当な場所から仕入れればよい。 勇輝の言う肉とは、人間の死骸だった。 頭をもぐ。 腕をもぐ。 両脚をもぐ。 すると、達磨ができる。 達磨の断面から流れる血を、このネコミミ少女は実に旨そうにすする。 食人鬼。 少女は、そう分類される化け物だった。 「にゃるほど」 凝っ、とメルファは勇輝の瞳を見据えた。 2秒。それはわずかな時間だったが、視線を逸らさないために勇輝は多大な精神力を消耗した。 その証拠だろう。勇輝のこめかみに、新たな冷や汗が浮かんでいる。 「にゃるほど」 うなずきながら、メルファ。 「嘘はついていないね。ご厚意も含めておいしくいただくのさ。時にメルファ様は脳みそは塩だけでいただくのが好みなのでよろしくお願いするにゃ」 「かしこまりました」 勇輝は頭を下げた。 肉を非常においしそうに食べ、メルファは帰っていった。 1人分。骨や髪を除き50キログラムもの肉塊を、残らず平らげている。 不可思議だ。 食前食後にも少女の体積に変化が見あたらない。 胃袋が異次元に繋がっているか、さもなくば食べた傍から汗などになって揮発しているのだろうか。 勇輝が腹のあたりを凝視すると、うん? とメルファが首をかしげた。あわてて目をそらす。 「まだ幾らかあまっているので、明日もいらっしゃいませんか?」 「気が向いたらそうするにゃ」 答えたメルファの双眸は期待に輝いていた。 明日もきっと来ることだろう。 宇宙船を寝床にし、惑星から惑星へと査察を行いながら移動を繰り返す。 そういう職業についていれば、食事は自然と保存食が多くなる。新鮮な肉を食べる機会などめったにない。 「肉の味、か……」 メルファとのやり取りを思い出し、勇輝の口端がにぃと吊り上がった。 苦笑と嘲笑とが混じった、他人を揶揄し見下すための笑み。 自分より高みにいるメルファへの、嫉妬や反感からではない。 彼が計画し掘った穴に向けて、今まさに狙った標的が落ちようとしている。その手ごたえからの笑み。 「まぁ、たまに上司を接待するのは悪くないな」 メルファと異なり、勇輝は人肉を食わぬ。 食っていた時期もあったが、今は食わぬ。 彼が食うのは、女の精気だ。 女の身体から漏れる魂の欠片とでも言うべきものを、粘膜の接触という手段によって少しだけいただいている。 食肉鬼から吸血鬼へ。 吸血鬼から吸精鬼へ。 それなりの段階と手順とを踏み、きちんとした期間を費やせば、体質の移行には大した労苦はなかった。 代償として、定期的に女を抱かねば死ぬ身体を持つにいたる。それは体質改善のために行った魔道技術の根本的な欠陥であり、多数の奴隷をはべらせることでしか解決できなかった。 己の身体に対し、勇輝は悲観してはいない。 リスクに対する見返りを考えれば、悪くはないとすら考えている。 性欲を満たしながら食欲を満たす。吸精の快楽は麻薬に近いものがある。 「そろそろ最後の仕込みどきか」 汗を流し終え、さっぱりとしたところでシャワーのコックを閉める。 野心があった。 野心を実現するために計画を練り、準備の上に準備を重ねてきた。 メルファを屈服させる。 すべてはそれからだ。 足元に跪くメルファの姿を想像し、勇輝はほくそ笑む。 30分後。 各部署へと勇輝の号令がかけられ、メルファ奴隷化作戦が発動した。 白い。 顔面を蒼白にさせている。 部門長である狭霧が、洗脳実験室の職員達を見回した。 空気が重い。 傍らを見ると白亜は直属の上司であるマリアもまた、狭霧と同様に口を引き結び、死人のような顔色をしていた。 一体、御主人様は何をおっしゃったのだろう? 白亜はそう思ったが、もちろん口には出さない。 課長クラス以上が出席した緊急会議。 会社の社員だけではなく、国会に潜り込ませている諜報部員や関連会社の幹部、洗脳し支配下においている中東の富豪など、そうそうたる顔ぶれが揃っていたらしい。 狭霧部長が口を開いた。 「これから100時間以内に、御主人様がお亡くなりになられます。これは御主人様自らが決定なされた事であり、一切の質問も、異議をさし挟むことも許されません。それに伴い、中央審議会より機密文書の移管およびクローン人間作製計画の発動が決定されました。各員は速やかに対応マニュアルに従い行動してください。また、御主人様が”死ぬ前に会いたい”と指名した者が幾人かいます。名前を呼ばれた者は指定する場所へ移動を。それ以外は今より通達する業務を最優先で行ってください」 1名だけ。白亜という名前が挙げられた。 「以上です。解散!」 指定された場所――某地下鉄の隠し通路から抜けた先に、鋼鉄製のドアがあった。核シェルター。そういう施設を会社がこさえていることは知っていたが、まさか立ち寄ることになるとは考えていなかった。 IDカードをスロットに差し込み、中へと入る。 密室。当然ながら窓がない。だがそれ以外は一般のアパートとそう変わらなかった。本棚やエアコン、それに冷蔵庫といった家具類がある。間取りを考えると、奥にあるドアからは寝室へ続いているのだろう。 白亜は歩く。 薄暗い部屋。勇輝がいた。ベッドに座っている。 そして、彼女の天敵もいた。 「チャオ、白亜たん」 「たん、言うなヴォケがっ!」 しまった。 白亜は咄嗟に口を押さえ、それから勇輝の顔を伺った。 「くっ、あははははははははははははは!」 爆笑。 あー、うー、と白亜はうめき、赤面した顔を隠すように両手で顔をおおった。 「かわいいなぁ、白亜たんは」 「たん言うないうとろうがっ。それにお前にだけは言われとうないわっ!」 「お前、じゃなくて黒葉って呼んでよ。それとも双子のいもーとの名前を忘れちゃったのかなー、おねーちゃん?」 「ははははははははは……く、く、くくっ。そ……そのくらいにしてくれ、黒葉さん。でないと僕が笑い死ぬ」 「……御主人様、これは一体?」 「んー? いやー、ナチュラルに演じられる漫才を見たいと思って呼んだんだが狙い通りだったな。グッジョブだ」 「えへへ」 勇輝が頭を撫でると、黒葉と呼ばれた少女は目を細めてにまにまと笑う。 ベリーショートの短い髪。透き通るような白い肌。くっきりとした目鼻だち。これで髪がもし黒でないならば、北欧神話に出る妖精さながらに美しい。 黒葉は、上は白いレースのブラジャー、下もショーツのみという半裸の格好で、勇輝の膝の上にちょこなんと小さな身体を乗せていた。 勇輝の胸板にすりすりと頬を寄せ、確信犯的な瞳で視線を向けている。 うらやましいでしょ、白亜たん。 と、その視線が語っている。 ぷちん、と何か危ない線を切りそうになる脳内のニッパーを、白亜は必死に抑えた。 「ねぇ、御主人様。白亜たんも来たし、始めましょう?」 「そうしますか」 黒葉の唇が勇輝の唇に重ねられた。 舌を出し、男の唇をなぞる。小さな手が勇輝の頬に添えられた。 顔を離し、にこりと男に微笑む。 「んっ」 黒葉が声をあげた。勇輝の手が黒葉の下着のホックにかけられている。黒葉は媚びるような視線を送り、勇輝の行為を見守った。 ぷつ、と外された。下着が床に落ちる。黒葉の胸が外気にさらされた。 黒葉の胸は、白亜より多少大きい。しかし悲しきかな、勇輝の手のひらにゆうゆうと収まるサイズだった。 やわやわと揉む。指先で胸の頂をこする。 幼いころから調教された身体は即座に反応し、あえぎ声が黒葉の口からもれた。 「はぁぁ……御主人様の手、あったかぁい……」 勇輝の膝に座ったまま、黒葉は再度のキスをする。 唇が触れ合うと同時に舌をさしだし、絡め、唾液をすすった。 ちゅ、ちゅく……ちゅ、ちゅちゅちゅ………… ちゅるる……ちゅ、ちゅちゅちゅぅ…………… いやらしい音。白亜に見せ付けるように深いキスをする。勇輝の手は、相変わらず小ぶりな胸の先に伸ばされている。すでに硬くしこった乳首を人差し指と親指の腹でつまみ、ねじを転がすようにこすりたてた。 黒葉の肩がぴく、ぴくと震えた。軽く逝ったらしい。 ショーツごしにでもわかるほどの大量の愛液が垂れ、勇輝の太ももを汚している。 「はぁ、御主人様ぁ」 こらえ切れなくなったのか、黒葉が熱っぽい視線を勇輝に向ける。 無意識に、黒葉の腰が揺れる。 犯して、と少女の瞳が語っている。 くすり。 勇輝が口端だけで笑う。 状況の転換についてゆけず、未だ立ち往生している白亜に向け、勇輝が視線を送った。 その目が、近くに用意された玩具を示している。 主人の意を察し、無言で白亜がうなずいた。 「黒葉さん。自分で脱いで」 「ぁ、はい。御主人様」 名残惜しげに勇輝のひざの上から退き、ショーツに手をかける。 引き降ろす際、じっとりと濡れた愛液が、ショーツと黒葉の無毛の股間の間に白い線を描いた。 「早いな。もう出来上がってるのか」 言いつつ、勇輝の指が黒葉の大陰唇を這う。 人さし指と中指に蜜を絡ませ、ゆっくりと黒葉の身体の上に滑らせる。 太股からへそ、すこしだけ膨らんだ乳房を勇輝の指がなぞり、愛液にぬらつく跡を残した。 「だって、んぅ……はぁ…久しぶりに御主人様に相手してもらえるんだもん」 うっとりとした声で、黒葉。 瞳は欲情にうるみ、愛しい御主人様に向けられている。 私ヲ使ッテクダサイ。 御主人様ノ性欲処理動物トシテ産マレテキタ私ヲ。 狂った部分が、黒葉の中で囁く。 洗脳と調教とを施された精神が、勇輝を求めている。 「黒葉さんがスケベだからだよ。マリアさんもそうだった」 「おかーさんも?」 「そうそう。こうして胸を乱暴に触ったり、お×んこに指をつっこんだだけですぐに今の黒葉さんみたく可愛い声を出してね」 「んっ、はぁっ」 まだ発育途上の胸を言葉どおり強く揉み、もう一方の手を黒葉の太ももの付け根へと這わせる。 黒葉のそこは十分に濡れ、指でかき混ぜるたびにぐちゅぐちゅという水音を響かせる。 「白亜さん。後ろの穴をふさいでやって」 「はいっ♪」 「えっ!?」 驚き、黒葉が振り向く。 気配を消し、黒葉の死角から白亜は忍び寄っていた。 ローターを持っている。 白亜はにっこりと笑い、何のためらいもなく双子の妹の尻穴へとそれを挿入した。 黒葉の、白亜と同じく奴隷として調教された後ろの穴は、その異物をなんなく受け入れる。 「つけるよ」 弾んだ声。楽しそうな笑み。妹をいたぶることを心底から喜んでいた。 ヴィィィン…… 「はぁぁぁぁぁ」 甲高い声。突然の刺激に身を震わせ、ぱくぱくと口を動かす。身もだえてベッドに倒れこみ、断続的に甘いあえぎをこぼす。 黒葉の後ろの穴は、いつでも御主人様のモノを挿入できるようほぐされている。それだけではなく、予め母親の手で催眠暗示がかけられていた。 アナルに何かを挿入されると、全身が性感帯になるという暗示。その感度はアナルへの刺激に比例し、ローターならば弱の目盛りで2倍、強にすれば10倍に感じるようになる。 尻穴奴隷として奉仕させる為の趣向だった。勇輝を楽しませるため産み出されたペットの身体は、より御主人様に気に入っていただけるように改造されてある。 「白亜さん、黒葉さん。2人で遊んでるのを見せてくれ。勝った方にはご褒美をあげる。ただしハンデとして、黒葉さんはそのままアナルにローターを突っ込んだままでね」 「ぁ……ふぁ、……ぁはい……御主人様ぁ。かしこまりました……」 「はいっ」 御主人様に絶対服従な黒葉は、喘ぎながらも健気に了解する。 対照的に白亜は元気よく答え、黒葉の華奢な腰に手をまわした。体重をかけ、御主人様にぶつからないようにベッドに押し倒す。 「あ。御主人様。勝敗の条件は、逝くことですか?」 「いや、勝った方が降参を認めるまで」 「かしこまりました。黒葉、悪いけど手加減しないからね」 「白亜たん、怖い……」 「たん、いうなって言っているでしょう?」 にっこりと、白亜が笑う。 おそろしくも美しい笑み。 黒葉の胸板に顔を寄せた。 舌を伸ばし、まだ色素の薄い妹の胸の頂に這わせる。 ちゅっ……ちゅぅちゅぅ……ちゅっ。 御主人様に自分がされた時のように、妹の胸の先をもてあそぶ。 唇で甘く噛み、歯で優しく擦り、ちゅうちゅうと母乳を吸うように刺激する。 「あ、はぁっ。はぁぁぁぁぁっ!」 びくっ、と黒葉の腰が跳ねた。しかし白亜が上からのしかかっているために、逃れられない。 白魚のようなほっそりとした指が、黒葉の太股をなでさする。 触れるか触れないかの愛撫をしながら、その指はゆっくりと太股の間へと近づいていく。 「やめ……さわっちゃだめっ、白亜た……あっ、も、すごい感じてるのにそこを触られたらおかしくなっちゃうよっ!」 「へんな呼び方をするなって言ってるでしょ黒葉。いい機会だから私からも調教してあげる。お母さんが私にしたみたいに」 黒葉の性器に、白亜の指が差し込まれる。 くちゅ、と水音が響く。 妹の陰核の包皮を剥き、最も敏感なそれを露出させた。あはぁと黒葉があえぐ。 潤んだ瞳。上気した頬。その顔は快楽にとろけながらも、あまりの心地よさに恐怖を同時に浮かべていた。 ヴィィィィン、ヴィィィィン ローターが、黒葉のアナルの中で暴れる。スイッチの強さを弱から中へ。黒葉の感度が5倍に跳ね上がった。全身がクリトリスになったような感覚。性器が燃えるようにあつい。 髪を優しく撫でられただけではしたない声が漏れ、肋骨をくすぐられただけで腰が浮く。それでも白亜は容赦しない。 薄い胸板に舌を這わせ、硬くいやらしくしこった桜色の頂に歯をたてる。 同時に指を黒葉の太ももの間に滑り込ませ、くちゅくちゅと音をたてながらかき回す。 「あああああぁあああああっ!」 髪を振り乱し、もだえる。黒葉の膣の入り口を白亜の細い指が蹂躙する。処女膜を傷つけないように配慮しながらも、ツボを心得た同性の指は的確に快楽のポイントを刺激してくる。 どろりと白く濁った愛液が幼さを残す膣から分泌する。何度も絶頂に達しているのだろう。陰唇がぱくぱくと痙攣し、後から流れる液体によってびしょびしょになっていた。 「やめ、やめて白亜ねえさっ、頭が真っ白に、おかしくなって……黒葉のお×んこいじっちゃだめ、あぁ、あぁぁああああ!」 「姉さんっていい響きねぇ。いいよ、やめてあげる」 ローターの強度を弱にする。多少は和らいだ快楽に、身体をひくつかせながらも黒葉が息を吐く。 「ありがと、白亜たん」 白亜が、笑った。 一息に、ローターのつまみを弱から最強へあげる。 ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィ! アナルの中でローターが暴れた。黒葉の身体の感度が10倍に跳ね上がる。それは風がそよいだだけで達することの出来るレベル。 「のど元すぎればなんとやら」 ぴんっ、と白亜の指先が、黒葉の乳首をはじく。 「ああっ!」 「気持ちいい?」 「きもちいい、気持ちいいですっ」 「降参したい?」 「したいですっ」 「だーめ。認めてあげない」 かりっ。ちゅ、ちゅぷちゅぅぅぅぅ。 「んああああっ! 吸わないで。おっぱ、おっぱいすったら駄目っ」 「じゃ、ここは?」 「耳もなめたらだめっ、あ、あぁっ。だめだよ白亜た……んっおっぱいもらめぇ!」 「だめなところばっかりね。気持ちよくないから? そう。ごめんなさいね、お姉さんがもっと気持ちよくしてあげるから」 くすくすと笑いながら、唇を重ねる。双子同士のキス。 口腔を犯すように舌を絡め、一方的に唾液を送り込む。右手で薄い黒葉の胸をもみこむように 「ん…ちゅっちゅちゅ……ぷはっ。ら、らめですっ、きもちよすぎて頭が変になるれすっ……」 「やめてください、白亜様って言いなさい」 「あ、ふぁい……やめてくださっ……あふぅっ……はくあたん……」 「……。御主人様。キーワードを使っていいですか?」 「ああ。かまわないよ」 「ふぁ……へ?」 「良かったわね、”可愛い貧乳メス奴隷たん”」 「あ……」 すぅ、と黒葉の瞳孔が開く。死人のように。 奴隷の中には、特定の言葉を引き金に被暗示性の高い状態へと持っていくようにされた者がいる。黒葉もその1人だった。 「黒葉。聞こえる?」 「はい、きこえます……」 「貴方は、何?」 「御主人様の……勇輝様専用の、メス奴隷で、オモチャで、御主人様にアナルを使っていただくと幸せになるいやらしいペットです」 「そうね。それで、そのいやらしいメス奴隷の後ろの穴には今、何が入ってるのかしら?」 「ローター、です……すごく……きもちいい……スイッチを入れてもらうと、全身がアソコになったみたいに、感じてしまいます……」 「今までで、何回くらい逝ったの?」 「わかりません……10回以上…、たぶん、小さいのを数えると50回ちかく……」 「気持ちよかった?」 「はい……頭がおかしくなっちゃうくらい……」 「でしょうね。いい、黒葉。これからあなたは、後ろの穴から排泄するたびに今と同じように感じるようになるわ。でも、逝きたくても絶対に逝けない。普通にオナニーをしてもだめ。いい?」 「ぁ……はい……。黒葉は排泄するたびに、すごく気持ちよくなります。だけど、絶対に逝くことはできません……」 「逝く方法はただ1つ。”黒葉は白亜様の妹です”って、1文字も間違わず正確に言うこと。もしも”白亜たん”なんて呼び方をしたら、耐え難いくらいの痛みを感じるわ。こんな感じのね」 ローターのスイッチを最強にし、同時に胸の先にある頂をつねる。思い切り。爪をたて、血がにじんでもかまわないほどの力で。 感度が高くなるのは、痛覚に対しても同様だった。 「いたいいたいいたいいたいたいいたい……おっぱいが千切れるっ……!」 黒葉はうつろな瞳のまま、口から投げ出される言葉だけは激しかった。よほどの痛みを感じているのだろう。髪を振り乱し、半狂乱となって叫ぶ。 「痛いでしょう? 何でかしら?」 「白亜たんって言ったから、あ、いたいいたいいたいいたいっ!!」 「分かった? ”黒葉は白亜様の妹です”って言うのよ。トイレに行くたびにね。間違っても白亜たんなんて呼び方をしたらだめ」 「はい……かしこまりました……」 「よろしい。黒葉。今、ここでしたやりとりを、貴方はすぐに忘れるわ。でも心の奥底では覚えてて、排泄時にすぐに思い出す。いいわね?」 「はい……忘れます……」 「暗示をとくわ。”御主人様専用の愛玩動物”」 「んっ……」 開ききった瞳孔が、元に戻る。 白亜が触れるだけのキスをする。黒葉が唇を開いた。応え、白亜の舌が差し込まれる。双子のディープキス。 ちゅちゅ……ちゅちゅちゅ……ちゅる…… がく、がくっ、と黒葉の身体が動く。キスだけで何度も逝かされているのだろう。ヴァギナから大量の愛液が新たに流れる。じっとりと、ベッドのシーツが濡れて変色する。 「黒葉。別に私は、貴方が憎いわけじゃないわ。ただちょっと、巷での”萌え”の象徴みたいなキモイ呼び方を直してほしいだけ」 「ん……はぁ……わかりました…白亜たん……」 いたっ、と黒葉が叫んだ。いたいいたいいたいいたいと馬鹿のように何度も身体をよじる。 「っく。あは、あはは、うふふふ。何度も何度も墓穴を掘って、癖になっているのかな。いじめがいがある阿呆ね」 白亜は極上の笑みを見せ、妹のクリトリスを刺激した。 ローターは最強に設定されたまま。暗示により10倍の感度になっている黒葉の脳に、圧倒的な快楽の本流が流れた。 「あ゛あ゛、あああああああああああああああっ!」 狂ったように叫び、海老のように激しく身悶える。 「白亜。壊すなよ」 勇輝が声をかける。身をすくませる白亜。即座にローターを弱に戻す。はぁ、はぁと荒く呼吸を整える黒葉。 「すみません」 「壊さなければ何をしてもいいから」 「かしこまりました」 バイブを弱から中へ。黒葉のあえぎがまた高くなる。 「はくあた、ゆるし、ゆるしてくらさいっ! もぅ、あたしこわれちゃう。おっぱいも、おくちも、あそこも、キモチイイのっ! おねーちゃんの指がきもちいいのっ!」 「降参したいの?」 「したい。したいですっ」 「駄目よ、認めてあげない。それにそう簡単には、人間は壊れないわよ。御主人様に調教して頂いた時に自分の身体で試したから、黒葉も大丈夫よ」 「そんな、あっ、またあたし、いっちゃ、あは……あたまが、あたまが白くなっちゃう……」 「気を失うまでたっぷりと可愛がってあげる」 「あああっ!」 嬌声がなり響いた。 黒葉が、失神から目を覚ます。 目の前でちょうど、双子の姉がご主人様に犯していただいている最中だった。 対面座位の形で、ご主人様に抱きしめられている。 成熟しきっていない膣はご主人様のモノを奥まで受け入れ、ぎちぎちと痛々しいくらいに広がっていた。だが苦痛は感じていないのだろう。白亜は蕩けた顔でえっちな声を出している。 愛液がてかてかと結合部をぬらし、太ももにまで垂れている。精液と入り混じり、すえたにおいが鼻をつく。黒葉はのどをならした。御主人様のペニスに奉仕したいという欲望があり、自分の太ももをつねることでごまかす。 「前々から気になっていたんだが、黒葉さんのことが嫌いなのか?」 ご主人様の声が聞こえる。黒葉は失神したふりをしながら、耳をすませた。 白亜が首を振る。勇輝の腰がのの字を描くように動いた。 「ふあぅ!」 白亜が叫び、胸をつきだすように背をそらす。 「で。嫌いなのか?」 「いえ。ただ、屈辱的なんです」 「何が?」 「アホに、アホな呼び方をされるのが」 「アホ?」 「黒葉ったら幼稚園を卒業する頃になっても因数分解ができなかったし、中学校の入学前に”我輩は猫であるの猫の名前って、シュレーディンガーだったっけ”なんて聞く斜め45度ぶりなんです」 「なるほどねぇ……」 言いながら、勇輝が腰をゆする。 「あっ、御主人様っ」 白亜がおとがいをそらし、感極まった声をあげる。 達してしまったのだろう。膣がうねり、きゅっきゅっと勇輝のモノを締め付けた。 2人が結合した隙間から、あふれ出した愛液がどぷりとこぼれる。ごくりと、黒葉はのどをならした。 「頭はいいけどまだまだ経験が足りないな、白亜さんは」 言いながら、勇輝がまた腰をゆする。 「はぅ、あ、はぁぁっっ。ふぁ……きもちい……ごしゅじんさまっ」 「まだ失神しないでくれよ」 「ふぁ……ふぁい……がんばり、ます……はぁ……」 勇輝が腰の動きを止める。 「ぁ、はぁ……」 くたりと、白亜は感じすぎて力の入らない身体を御主人様に預ける。 抱きついた勇輝の胸板に頬を寄せ、白亜は顔に蕩けるような笑みを浮かべた。 「あれはね、黒葉なりの愛情表現なんだよ。それに自分より頭が悪いってだけで他人を馬鹿にしてるうちは、他人から信用を得るのは難しいぞ」 動きが再開される。 ぐちゃりと、勇輝が白亜の腰を掴み、のの字を描くようにゆする。 「あ、はぁぁっ!」 「料理人には料理人の、技術屋には技術屋の適性がある。自分にある才能を他人が持ってなかったからと言って、一方的に見下したり非難したりはまったくもって傲慢だよ」 ずんっ、と勇輝の腰が突き上げられる。 「はぁ、ぁ、あ、あっ。ごしゅ、ごしゅじんさまっ!」 「きちんと聞いているかい?」 白亜の腰を掴んだ手に力を込め、動けないようにする。 自然と動いてしまう腰の動きすら止められ、白亜は髪を振り乱していやいやした。 「はいっ、聞いてますっ、聞いてます御主人様っ」 「なら、僕がどうして欲しいか分かるかい?」 勇輝の手の力が弱まる。 白亜は口元に垂れたよだれにも構わず、自分の腰をくねらせ、淫らなダンスを御主人様の腰の上で再開する。 「ぁ、ぁはぁぁ……、ご、ごしゅじんしゃまがして欲しいのはぁぁ……あぁっ、気持ちい……ふぁ……」 白亜はご主人様の質問に答えようとする。 勇輝が、激しく白亜のお×んこを突き上げた。 その刺激に白亜は言葉のろれつが回らなくなり、結合部から甘く響く刺激に喘ぎ声が混じる。 真っ白になりそうな頭で、それでも必死に白亜は言葉をつむぐ。 「して欲しいのはっ、あぁっ……しまいで、仲良くしてっ……ふぁう……頭のよしあしで人を馬鹿にしたりは……ぁ、駄目、お×んこ感じすぎ……ぁ、あ、ああっ!」 「そうそう。白亜さんは賢くて忠実で、いい奴隷だな」 ちゅ、と勇輝が白亜の胸先にキスをした。 乳首につけられたピアスを唇で軽くつまみ、ゆるくひっぱる。 鋭い痛みが、背筋を走る。 奴隷として調教された身体は、その痛みを甘い快楽と認識していた。 「ごしゅ、ごしゅじんさまっ、逝って、逝ってよろしいでしょうか……あ、はぁぁっ……」 「ああ、いいよ」 「ありがとうござ……あっ、ああああああっ!」 勇輝の身体に強く抱きつく。まだ数回しか使っていない白亜の膣内が射精を促すようにうねり、勇輝のモノを締め付けた。 欲望のまま、勇輝は射精する。娘の膣奥へと。肉棒が何度も爆ぜ、どくどくと濃い精子が注ぎこまれる。 白亜もまた絶頂に達し、勇輝に抱きつきながら身をふるわせた。やがて気を失ったのか、その両手がくたりと力なく垂れた。 「……ふぅ。黒葉さん、起きているんだろう」 「あ、はい」 「これを舐めて、綺麗にしてくれないか?」 白亜のヴァギナから、肉棒が引き抜かれた。栓を失い、精液と愛液の混じったものがごぽぉという擬音語そのままに大量に流れ出た。 ああ、と黒葉の喉がなる。頬をほんのりと紅潮させ、うなずく。 御主人様に命令されること。それだけで快楽を得られるように調教されている。そして御主人様に気持ちよくなっていただけるほどに得られる快楽のレベルは高くなるよう、条件付けがされていた。 「んちゅっ……あは……ごしゅじんさまの、おちんちん……」 熱っぽい声。勇輝の股間にひざまづく、カリに舌先を伸ばす。 ちゅ、ちゅくと精液をふき取るようになめとってゆく。ほっそりとした黒葉の指が、勇輝の睾丸に添えられた。やわやわと刺激し、御主人様の反応をうかがう。 「いいぞ」 勇輝が頭を撫でる。それだけで、黒葉は自分のアソコが濡れるのが分かった。 あーん、と黒葉が口を大きく開け、亀頭を含む。舌先で転がし、御主人様のにおいと味とを覚えるように、舌を使う。 「御主人様……」 白亜が四つんばいになり、のろのろと移動した。黒葉と同じく勇輝の足元に這い蹲る。 「私も後始末をしてよろしいでしょうか?」 口で応えるかわりに、勇輝は手を伸ばして白亜の頭を撫でた。うっとりとする白亜。 舌を伸ばし、竿の部分を舐める。なめくじのような跡を残し、自分の膣から分泌された液体と妹の唾液、それに勇輝の精液が混じったそれを丹念に舐め取る。 黒葉も負けじと奉仕に熱をこめる。ちゅ、ちゅ、と鈴口に何度もキスをし、精液の残滓を舌で転がす。 やがて、姉妹の唇が触れた。そのまま深いキスをする2人。互いが集めた粘液の量を確かめるように舌をからめ、じゅぷじゅぷと唾液の混じらせながら少しずつ飲み込んでゆく。 こくん、こくんと姉妹の喉が鳴った。全てを飲み干したところで唇を離す。次に、お互いの顔や身体についた精液を舐めとってゆく。 勇輝の目を楽しませるように。御主人様により興奮してもらえるように。 意識しながら、姉妹は舌をお互いの身体に這わせる。 「いいなぁ、白亜姉さん。こんなに御主人様に出してもらって。しかもたくさん膣出ししてもらって……」 「ちゅっ、ちゅ……黒葉だって……いい子にしてればそのうちに処女をもらっていだけるわよ……」 「そうかな?」 「そうよ、黒葉は可愛い娘だから。御主人様もきっと気に入っていただけるわ」 「ん。嬉しいなぁ。白亜姉さんに誉められるなんて……」 精液が全て、白亜と黒葉の口に収まる。 奉仕が再開された。黒葉が竿を刺激し、白亜が勇輝の亀頭とカリを舐める。時折、ペニスを口に含み、舌全体で勇輝の肉棒を刺激する。 双子ならではの連携に、射精感が高ぶってきた。 「出すぞ」 勇輝が言う。あーんと白亜が口を開けた。全てを受け止めるつもりなのだろう。 勇輝は迷わず娘の頭をつかみ、その口の中に射精した。 「御主人様……」 「ちゅ……んふ……」 白亜、黒葉の双子が、仰向けに寝そべる男の胸板と頬に、顔をすりつけていた。 薄くまぶたを開けたその顔は、先ほどまでの行為の余韻を色濃く残している。 心地よい疲れ。 再度の情事を望まれれば何度でも応じるし、応じたい。 そんな白亜の気持ちをよそに、勇輝はまったりと横たわり、呆けた顔で天井を見上げていた。 「御主人様、私達を仲直りさせるためにここに呼ばれたのですか?」 ふと、白亜が聞いた。黒葉が目を輝かせ、勇輝の口を凝視する。 顔を動かさぬまま、勇輝は視線だけを白亜に向けた。 「心外な。僕がそんないい人に見えるか? もしもお前達に子供ができて、それが男だったら迷わず臓器を抜いて殺すような僕が」 「……? それとは別の話でしょう?」 「ははは。そうか、別か」 歪んだ喜悦の笑みを浮かべ、勇輝は白亜と黒葉の頭を撫でた。 「死ぬ前に心残りを出来るだけ減らしたいと思ってね」 「死ぬ!?」 「どういうことです?」 「言葉通りさ。……奴隷が余計な詮索とか口答えをしたらいけないよ。さ、2人とも自分の持ち場に帰りな」 「かしこまりました」 「また黒葉の身体で遊んでね、ご主人様」 白亜が頭を下げ、黒葉が勇輝の頬にキスをする。勇輝は2人の頭をよしよしと撫でた。 血縁の娘であり奴隷でもある少女達が引き下がる。 勇輝は衣服を手早く着込むと、内線電話を手にとった。 2回のコール。がちゃりと音がし、女の声が受話器から聞こえる。その相手は彼が君臨する製薬会社の社員ではなかった。 「僕です。ええ、今は例の場所にいます。クローンをこちらによこしてください。ええ、そうです。あとはよしなに」
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