■vol.14
キャラクターの性格の基礎は「3種類」しかない!
◇まず「シンプルでハッキリとしたわかりやすい性格」をキャラクターにつけよう!
■ なんで「平凡で、面白味のないキャラクター」しかできないのか?
「こうありたい」というシーンが思い浮かんだら、次にそのシーンを実現・体現できるようなキャラクターの「人物像」を作っていきます。
さて、ここで「魅力的な性格のキャラクターをつくってやるぜ!」と意気込んでつくろうとするのですが、出来上がるキャラクターはなぜか「平凡で、面白味のないふつうの性格のキャラクター」ばかりになってしまいます。なぜ魅力的な性格のキャラクターができないのでしょうか。どうすれば「面白い、個性的で魅力的なキャラクター」がつくれるのでしょうか。
■ キャラづくりは「2段階」で進めていこう!
平凡なキャラクターになってしまう原因は、その作り方の手順にあります。
よくキャラクターの作り方が書かれている文献やネットなどで、「キャラクターを作るための100の質問」とか、「細かいプロフィール」「履歴書」を作ると良いといわれています。しかし、実際にそれをやってみると、確かにキャラクターは出来上がるのですが、「魅力的な、面白味のある」お客さんから愛されるようなキャラクターはなかなか出来上がりません。これはなぜかというと、キャラクターの「シンプルではっきりした性格」がまだできてない内から細かい部分を決めようとするからです。キャラクターの中心的・根本的な人物像が出来上がっていないのに、細かい部分を作っていっても平凡なキャラになるのは当たり前です。はじめから細かく詳細に考えると、ハッキリしたキャラクターの性格が作れずに、その性格的特徴が薄れていってしまいます。これが特徴もなく平凡で面白味のないキャラクターになってしまう原因です。
では、どうすればいいのかというと、キャラクターを作るときは「2段階に分けてつくっていく」ようにします。以下がその2つの段階です。
①まずキャラクターに「シンプルでハッキリした性格」をつける。
②その後でキャラクターを深く「掘り下げて」いく。
まずは「シンプルでハッキリした性格」をキャラクターにつけ、キャラクターの特徴が決まったところで深い部分をさぐってさらに人物像を深めていきましょう。
「シンプルでハッキリした性格」は、まず3つの性格の基礎を決めるところから始めます。
◇「メチャ明るい」「ふつう」「暗い」の3種類が、すべてのキャラの性格の基礎となる!
■ 3種類の気質でキャラクターの性格に「ハッキリしたわかりやすい特徴」をつけよう!
キャラクターの性格をつくるには、キャラクターを大きく「3つの気質のタイプに分けて」考えていきます。そのタイプとは以下の3つです。
《キャラクターの3種類の気質》
①明るいタイプ……「メチャメチャ明るい、にぎやか、積極的、ハイテンション」
②普通タイプ……「ふつう(ふつうの明るさ)、ふつうのテンション」
③暗いタイプ……「物静か、暗い、ローテンション」
まずはこの「3種類の性格的気質」の中から一つを選んで、キャラクターにその特徴をつけていきましょう。
すべてのキャラクターはこの3つのタイプのいずれかに属します。まずはシンプルに考えていきましょう。面白いキャラクターを作ろうとして、はじめから複雑に考えてもかえって混乱してしまい特徴的なキャラクターが作ることがなかなかできません。難しく考える必要はありません。この3つの内から一つを選んでキャラクターを作ってみてください。
またキャラクターは主要な登場人物の人数を設定して、その中でこの「3種類の気質タイプ」がバランスよく配置できるように考えていきます。最も人数が少ないパターンは「2人」または「3人」です。この場合キャラはそれぞれ違うタイプにしていくと特徴がバラけてうまくいきやすいです。
……ちょっと待て、こんな方法でキャラクターを作れんの? と思った方、いやいや、できるのです。なぜなら、あの人気作品のキャラクターたちも、実は同じ方法で作られているのです。
■ 『涼宮ハルヒ』シリーズのキャラクターたちは、「3種類の特徴」から作られている!
魅力的な登場キャラクターで定評がある『涼宮ハルヒ』シリーズですが、じつはその主要キャラクターは「3種類の特徴」で作られています。
オフィシャルファンブック『涼宮ハルヒの観測』の中で、作者の谷川流氏が「ハルヒ、長門、みくる」の三人のキャラクターが生れた経緯を次のように説明しています。
(以下太字部分『涼宮ハルヒの観測』P118引用)
『正体は最初からあったものでした。性格は、ハルヒがハイテンションなので、対応する形でローテンションな長門、その中間の朝比奈さん、というふうに自然となりました。』
谷川氏の話から、ハルヒ、長門、みくるの3人の女性キャラクターは「主人公のハルヒの気質タイプを起点としてハルヒと対になる形」で形成されていきました。
さらに3人の中でそれぞれの特徴が浮き出る形で別々の気質タイプが選ばれていったことがわかります。
この三人のキャラクターの魅力は性格だけではないのですが、この三人の人格に「特徴」を与えているのは、はじめに設定された3つの気質のタイプなのです。
また、『正体は最初からあったものでした』と谷川氏がコメントしていることから、三人の特殊設定がまずはじめに浮かんでおり、その特殊設定を鑑みながら性格気質のタイプを選んでいかれたということがわかります。
作品の内容にもよりますが、まずキャラクターに関するシーンが思い浮かび、そのときにキャラクターの能力や設定に関するイメージやアイディアなどが浮かんでいる場合は、それをもとにして3種類の気質タイプを考えていきましょう。
■ 一人称の小説などの「語り手」のキャラクター
キョンはどうかといいますと、谷川氏が別のインタビューか何かで(すみません、忘れました)『キョンは読者の代表』ということをいっておられました。だから特定の名前を与えず「キョン」というニックネームにした、そのほうが読者が感情移入しやすいからだ、とのことです。
一人称の小説の語り手のキャラクターは「読者の目線を持つ一般人のキャラクター」として設定されていることが多く、その場合「ふつうタイプ」を選ぶようにしましょう。勉強もスポーツも平均的にできる、物事の価値観もふつうで、特徴もあまりない、ターゲットの読者層の平均的な人物像を与えるようにしましょう。ハルヒの他にも、小説『ビブリア古書堂の事件手帳』などでも、語り部である主人公「五浦大輔」もまた、読者と目線・価値観を共有する一般人的キャラクターが必要だということで設定されたキャラクターであると、作者の三上延氏は述べておられます。
■ シンプルに考えていこう!
このように、キャラクターたちを創造する過程の始まりのきっかけは、とてもシンプルなのだということがわかります。
『ハルヒ』シリーズに限らず、ヒットする作品のキャラクターは皆一様に「ハッキリとしたわかりやすい特徴」を持っています。『ハルヒ』の登場人物たちもキャラクターにハッキリとした特徴が付けられており、それによって各キャラクターが誰にでもわかりやすく、しっかりと特徴的に描き分けられています。
キャラクターの気質タイプを「メチャ明るい」「普通」「物静か、暗い」の3種類から選び、その後に「どれくらい」明るいのかなどの「特徴の度合い」を設定していきましょう。
■ 登場人物に「3タイプ」いればキャラクターの配置バランスがうまくいく!
作品にもよりますが、主要登場人物の中に一人は「明るいハイテンション」タイプのキャラクターがいると作品が作りやすいです。少年マンガやライトノベルなど「若い層」をターゲットにした作品であれば、必ずというわけではありませんがこの「明るい」タイプのキャラクターが一人はいるようにしましょう。
また人数にもよりますが、「3タイプが登場人物の中に揃っている」とキャラクターたちのバランスがよくなります。
■ 3種類の気質タイプを決めるときに
3つの気質の特徴を決めるときは以下の点をイメージしながらその「度合い」を「強い・ふつう・弱い」の3段階で考えてみてください。
①《社交性》
社交的・外向的か、それとも内向的・排他的か?
活発か、おとなしいか?
②《おしゃべり度》
どれくらいよくしゃべるか、それとも寡黙・無口か? やかましい・声が大きいか、物静かか?
③《感情表現》
直情的か、それともあまり感情を表に出さないか?
怒りっぽいか、温和・柔和か?
④《積極性》
積極的か、消極的か?
他人を引っぱっていくか、他人にせかされるか?
強引か、それとも控えめか?
押しが強い、弱い? 強気、弱気?
なかなか登場人物が作れないという人は、主要登場人物を3人組にして、「とりあえずこの3タイプのキャラクターで作って」みましょう。
こうしてキャラクターのイメージを掴んでいきましょう。
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