横綱・大阪桐蔭を支える森友哉が見せた成長
藤浪らから続く大偉業へ、好発進
“横綱相撲”で大勝の大阪桐蔭
昨年春夏に続く史上初の甲子園3連覇を目指す大阪桐蔭高が大トリとなる大会7日目第1試合に登場。11対1の横綱相撲で遠軽高を下して大偉業へ船出した。
歴代では最北端からの出場で、冬場の過酷な練習環境から打撃重視のチームを標榜する遠軽高・佐藤貴之監督はため息をつく。
「うらやましくなるようなバッティングでした」
先発した右腕・大城祐樹はこうだ。
「北海道では、絶対見られないスイングです」
特筆は、3季連続出場だった3番・森友哉のバットだろう。5打数4安打3打点。6回、右中間二塁打の打球の速さには目を見張った。森は言う。
「しっかりたたいて、自分の打撃ができました。勝負を決めるイニングになったかな」
「思うようにいかない」船出を乗り越えて
「キャプテンになって、一気に不安が大きくなった。初めは思うようにいかないことがほとんどで、どうしたらいいのか、けっこう悩みました。去年の春夏連覇で“オレたちもいける”と安易に考えていたんだと思います」
夏の甲子園を制し、森は高校日本代表に選ばれるなど、チームづくりが遅れたこともあるだろう。さらに大阪府大会期間中に、森らが国体出場のためチームを離れるなど、実戦経験が明らかに不足していた。練習試合がわずか4試合、西谷浩一監督が「過去最少」という段階で公式戦に突入したことになる。それでも、戦力の絶対値で近畿大会にコマを進めたが、準決勝で報徳学園高にまさかのコールド負けを喫した。
「ただ、ああいう負け方をして自分たちの力の無さを知りました。それからは、チームが少しずつまとまっていったと思います。技術面もメンタルも成長した」(森)
プロが絶賛する森の打撃、リードはさらに成長
1年時から強豪・帝京高の捕手を務めて甲子園でも活躍した石川亮は、「去年の練習試合で対戦したとき、見るのが楽しみだったんですが、上には上がいると気づかされることばかりでした」。
成長を見せたのは、捕手としてのリード面だ。
「去年は藤浪さんというエースがいて、リードは多少アバウトでも良かったんです。だけど今日先発した網本(光佑)は打たせていくタイプで、リリーフの葛川(知哉)は真っすぐで押すタイプ。去年以上に頭を使ってリードをしなければいけません」
過去、春夏連覇を果たしたチームは7校あるが、翌年のセンバツ出場を果たしたのは99年、あの松坂大輔で連覇したあとの横浜高のみ。その横浜高も99年センバツでは、初戦でPL学園高に敗退している。つまり、3連覇の懸かったチームがセンバツで白星を記録したのは、史上初めてのことなのだ。
「知っていました。とにかく1勝しないことには、3連覇も何も始まらない。久しぶりに甲子園で試合をして、あらためて一番楽しいグラウンドだと感じました」(森)
近畿勢が次々と姿を消していくなか、横綱が好発進。だがここからは、力のあるチームとの対戦が続く。結びの一番――つまり決勝まで、この横綱が勝ち上がっていくだろうか。
<了>