維新動揺 各党攻勢へ 参院選 橋下氏慰安婦発言、波紋広がる
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長による旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる発言は、今夏の参院選京都選挙区(改選数2)で争う各党にも波紋を広げた。日本維新にとっては選挙に影響を与えかねず、発言を争点化することで攻勢を強める動きも出てきた。
■自民は組織緩みを警戒
京都選挙区には民主、自民、共産、日本維新の4党と政治団体の幸福実現党が候補者擁立を決め、5人の争いとなることが濃厚になっている。
日本維新は新人で元会社社長の山内成介氏を立てる。昨年12月の衆院選比例票ではトップの自民に1万票差に迫る約29万票を獲得し、その勢いを参院選につなげる構えだが、橋下氏の発言で党内に動揺が走った。
同党の田坂幾太衆院京都第1選挙区支部長は「(橋下氏は)党の統一見解で話したわけではない」としながらも、「戦争の悲しみが癒えない人がいる中で、する発言ではなかった」と参院選への影響を懸念する。
共産党府委員会は橋下発言から2日後の15日、党公認で擁立する新人で京都市議の倉林明子氏を含む同党の府内女性議員による抗議声明を出した。党府委の細野大海書記長は「戦争に対して無反省な安倍政権の体質が今回の橋下発言のベースにある」と批判を強めている。
女性蔑視とも受け取れる橋下氏の発言は、京都選挙区で唯一の女性候補となる見込みの倉林氏には「追い風になる」との見方もあり、選挙で争点化していく構えだ。
支持率の低迷に悩む民主党も、党勢立て直しに「京都の議席維持が不可欠」とし、新人の北神圭朗元衆院議員も背水の陣で臨む。日本維新は強力なライバルであり、橋下発言の影響は当然気になるところ。
民主府連の中小路健吾幹事長は「人権感覚を疑う。維新の政治信条の本質が表れた。わが党との違いを明確に示す」と攻勢を強めていく姿勢を見せる。
現職の西田昌司氏の再選を目指す自民党府連も「橋下氏の発言は近隣諸国に不信感を与える発言で、日本維新の統治能力に疑問符が付いた。彼らにとってマイナスだろう」(内海貴夫幹事長)と分析する。
ただ、安倍政権の高支持率もあって自民が有利とされる中、緩みが最大の課題だ。そこに降ってわいた橋下発言に、「敵失で得る票では本当の支持層開拓にはならない」とさらに引き締めに躍起となっている。
新人の曽我周作氏を擁立する幸福実現党府本部の江本謙次幹事長は「選挙では、従軍慰安婦問題に旧日本軍の関与はなかったとするわれわれの見解をぶれずに訴える」としている。
【 2013年05月16日 22時58分 】