クローズアップ2013:「橋下流」暴走 「慰安婦問題」米の視線厳しく

毎日新聞 2013年05月15日 東京朝刊

橋下徹・日本維新の会共同代表のツイッター=2013年5月14日撮影
橋下徹・日本維新の会共同代表のツイッター=2013年5月14日撮影

 橋下氏の発言は、米国の主要メディアでも報じられた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「日本の戦時中の歴史はゆがめられていると主張する日本の政治家たちの最近の発言に連なるものだ」と日本の右傾化に警戒感を示した。米国の上下両院では女性議員の割合は約20%と史上最多となっている。慰安婦問題を再燃させれば米議会から厳しい反応が出ることが予想され、日本の対応が改めて問われることになりそうだ。【ワシントン西田進一郎】

 ◇強制連行認めず 安倍首相の認識踏襲

 安倍政権下で再燃した歴史認識問題は、橋下氏の従軍慰安婦発言で一段と拡大した。自らのツイッターを通じて、慰安婦制度の必要論を繰り返す橋下氏に対する批判は、日本の政治家の人権感覚にも向かっている。

 「慰安婦の方々がたいへんつらい思い、筆舌に尽くし難い思いをされたことは心から同情する」。安倍晋三首相は14日の参院予算委員会で、慰安婦制度について問われると、こう強調した。歴史認識問題の早期収束を図る安倍政権だが、火種は広がる一方。首相は答弁で「歴史認識は政治問題、外交問題にすべきではない」と重ねて表明した。

 従軍慰安婦問題では1991年12月、韓国人の元慰安婦らが日本政府に補償を求めて提訴した(04年に最高裁で敗訴)。これを受け、政府は調査を開始し、宮沢喜一内閣は92年7月、軍による強制連行の裏付けとなる資料はなかったと発表した。

 しかし、韓国内の反発は収まらず、93年8月には河野洋平官房長官(当時)が談話を発表。慰安所の設置や管理、慰安婦の移送や募集に軍の関与を認め、「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」として、おわびと反省を表明した。

 安倍首相は就任前、河野談話の見直しを主張してきた。第1次安倍内閣当時の07年、「政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」という答弁書を閣議決定。「(慰安婦を)強制的にそのような仕事に就かせたかどうかは今のところはっきりしていない」(14日のツイッター)という橋下氏の認識はこうした経緯の延長線上にある。

 ただ、「記述が見当たらなかった」との表現には、さまざまな解釈が成り立つ。日本軍の歴史に詳しい作家の保阪正康氏は「終戦時に政府や軍が多くの資料を燃やしたのは事実。資料がないのか、燃やしたからないのか、天につばするようなところがある」との認識を示した。【鈴木美穂、念佛明奈】

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 ◇従軍慰安婦などを巡る橋下氏の発言

 <歴史認識>

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