都内最大級クラブ摘発で“ダンス法規制”議論高まる
TBS系(JNN) 5月27日(月)19時17分配信
「ダンス」が法律で規制されていることをご存知でしょうか。DJが流す音楽にあわせて踊る「クラブ」など、客にダンスをさせる営業は「風俗営業」とされ、都道府県公安委員会の許可が必要で、許可があっても、営業時間は最長で午前1時までに制限されています。「享楽的雰囲気が過度にわたり、風俗上の問題等を生じさせる恐れがある」などというのが規制の理由ですが、警察が近年、摘発を強化し、閉店するクラブが相次いでいることに批判も高まっています。
そんな中、東京で最大級の六本木の人気クラブが警視庁に摘発されました。警視庁のねらいはどこにあるのか?摘発の瞬間をカメラがとらえました。
26日未明の東京・六本木。ビルの前に長蛇の列ができていました。人気店「ヴァニティ レストラン トウキョウ」に入るのを待つ客です。「ヴァニティ」はビルの最上階から見える夜景と音楽が売りで、最大800人を収容できる都心で最大規模の「クラブ」として知られていました。
(クラブの利用客は・・・)
「ヴァニティが一番有名」
「ヴァニティは一番人気。一番アツいみたいな」
しかし、午前2時過ぎ、警視庁の捜査員100人以上が店に入りました。その直前の店内の映像です。棒状のライトを振り回し、ステージの上で踊る人の姿も見えます。当時、店内は500人ほどの客でひしめいていました。すると、突然照明がつき、明るくなりました。警視庁の捜査員が捜索に入ったのです。
営業が中止となり、店の外に出るように言われ、戸惑う人々。摘発の容疑は風営法違反。風俗営業の許可を得ることなく、店内で客にダンスをさせたり酒を提供したりした疑いで、警視庁は経営者の小原健容疑者(31)やDJの犬飼健二容疑者(35)ら3人を逮捕しました。捜索開始後、店内にいた客は一斉に外へと押し出され、六本木の街は一時騒然となりました。
(クラブの利用客は・・・)
「他のところとか摘発されてて、ここだけ(ヴァニティ)は(摘発)してなかった」
「本当にどうしよう今後・・・今後行くところがない。どんどん(クラブが)減っちゃって最近」
「ヴァニティ」は、ひと月に1億2000万円の売り上げがあったということですが、取り調べに対し、小原容疑者は「客にダンスをさせている認識はない」と容疑を否認しています。今回の摘発はダンスへの規制に対し、批判が高まり始めた中で行われました。
「ダンスを風俗営業のひとつとして規制するのはおかしいし、許可を受けても午前1時までしか踊れないのは時代遅れだ」などとして、風営法の改正を求める15万人分の署名が集まりました。今月20日には、超党派の国会議員およそ60人が風営法の見直しを目指して議員連盟を発足させました。今回の摘発についても・・・。
「せっかくこれから風俗営業法の改正も視野に入れて取り組もうというやさきの摘発なので、ちょっと残念」(社民党・福島みずほ議員)
摘発に踏み切った警視庁のねらいはどこにあるのでしょうか。警視庁によりますと、「ヴァニティ」は2010年の開業以降、無許可でダンスの営業をしていた疑いなどですでに4回の行政処分が行われていました。また、近隣から客同士のケンカなどへの苦情や通報も相次いでいたといいます。
「クラブそのものは悪くないんですけど、子どもの通学のときに路上で何人かでたむろしたり、地面に座ったりしてね、放っておいたらどんどん悪くなる一方だと思います」(六本木町会会長)
地域ではボランティアが子どもたちの通学に付き添う動きなども出ていて、警視庁の幹部は「ヴァニティの存在が六本木の治安悪化の大きな要因の一つ」としています。風営法を所管する警察庁も、「実際に被害が出ていたり、地元の住民からの要望もある現状では、規制をはずすのは難しい」としていますが・・・。
「あくまでも使い勝手の良い(風営法という)法律を維持するために大規模な摘発が行われたと若干勘ぐっているところ」(風営法の見直しを求める和知麻里亜弁護士)
今回の摘発が風営法の改正議論にどのような影響を及ぼすのでしょうか。(27日16:25)
最終更新:5月28日(火)12時16分