古屋拉致問題担当相:脱北者証言報道、信ぴょう性「?」
毎日新聞 2013年05月28日 11時57分(最終更新 05月28日 14時30分)
脱北した朝鮮人民軍元幹部に対する政府の拉致問題対策本部の聴取結果として、産経新聞は28日朝刊で「1980年代に日本海で日本人の漁船乗組員を拉致したと元幹部が証言した」と報道。古屋圭司拉致問題担当相は同日の閣議後の記者会見で「聴取したかどうかコメントを控える」と述べつつ、「信ぴょう性にクエスチョンマークが付くところもあるので慎重な検討が必要」との見解を示した。
産経新聞は、1980年10月に青森県の6人乗り遊漁船が行方不明になった事案と、元幹部の「拉致証言」の状況に類似点があると指摘。元幹部が「83年ごろ」としているのは記憶違いの可能性があるとした。
この遊漁船は、青森県今別町から北海道松前沖へ向かったが連絡が付かなくなり、3日後に釣り客の男性(当時50歳)の遺体が下北半島の海岸で見つかった。船体は見つからず、30代の船長と残り4人の釣り客の行方は不明のままとなっている。当時、津軽海峡付近はしけた状態だった。
船長の妻(63)は毎日新聞の取材に今回、国からは何の連絡も受けていないとしつつ「海保も随分捜してくれたし、地元の人も何日も捜してくれた。1人が(遺体で)見つかったし、遭難なのだろうと思ってきた。当時は拉致という話もなかったし、考えもしなかった」と話した。【小泉大士、伊藤奈々恵】