“核のゴミ”処分の在り方見直しの審議再開5月28日 14時59分
計画が行き詰まっている“核のゴミ”、高レベル放射性廃棄物の処分の在り方を見直すため、経済産業省の小委員会が3年半ぶりに審議を再開しました。
原発から出る“核のゴミ”、高レベル放射性廃棄物を巡っては、地下深くに埋めて最終処分する計画で、国は平成12年から自治体に公募する方式で処分場の候補地選びを始めましたが、10年以上たっても手を挙げる自治体はなく、計画は行き詰まっています。
このため経済産業省は、今の取り組みを抜本的に見直すため、有識者による専門の小委員会での議論を3年半ぶりに再開しました。
核のゴミについては、去年、日本学術会議が処分の枠組みを白紙に戻す覚悟で見直すべきだなどとする提言をまとめ、原子力委員会も国が前面に出るよう求める見解をまとめています。
会議では、「地域に手を挙げさせるのではなく、勉強会を開くなどまずは社会の関心を高めることが重要だ」とか、「地層処分前提ではなく、長期保管などのほかの選択肢も考えなければならない」などといった意見が出されました。核のゴミの処分を巡っては、使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルを続けるか、再処理せずに直接処分するかの議論も、今後、別の場で行われる予定で、小委員会では、月に1回程度会合を開き、処分の在り方について意見を交わすとしています。
地上にたまり続ける高レベル放射性廃棄物
原発の運転に伴って発生する放射能レベルの極めて高い「高レベル放射性廃棄物」は、日本で原発の利用が始まって半世紀近くがたつ今も処分先が決まらず、地上にたまり続けています。「高レベル放射性廃棄物」は、原発で使い終わった使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムなどを取り出したあとに残る廃液をガラスで固めたもので、国は平成12年に法律を作り、地下300メートルより深い地層に埋めて最終処分する計画を打ち出しました。
当初、一方的に国が処分場を決めないよう、候補地選びにあたっては、自治体からの公募の形を取り、応募するだけでも最大20億円の交付金が支払われる仕組みを用意しました。
ところが、これまでに応募したのは平成19年の高知県の東洋町だけで、その東洋町も住民の反対などによってすぐに応募は撤回され、その後、具体的な動きはありません。
この間、核のゴミは増え続けており、青森県六ヶ所村の施設には、再処理工場で作られた分と、海外から返還されてきた分、合わせて、昨年度末で1700本余りが保管され、さらに、各地の原発の敷地内などに将来、核のゴミとなる大量の使用済み核燃料がたまり続けています。
処分場の候補地選びが難航するなか、国の原子力委員会から取り組みの検証を依頼された日本学術会議は、去年、地震や火山が活発な日本で、長期にわたって安定した地層を確認することは、現在の科学では限界があることを自覚すべきだなどとして、今の処分の枠組みを白紙に戻す覚悟で見直すべきだと提言しました。
これに対して原子力委員会は、国民の合意を得るための努力が不十分だったことは認めましたが、原則、地層処分を維持したうえで、処分場の候補地選びを国が前面に出て行うべきだとする見解をまとめています。
核のゴミの最終処分を巡っては、茂木経済産業大臣もことし1月、青森県の三村知事と会談した際、「先送りすべきでない」と述べ、強化する考えを示していました。
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