大阪の鮮魚店が「万引き客の顔写真、張り出し..」という記事をみてビックリした。 もう一つ驚いたのは鮮魚店だという事だ――魚を万引きするのだろうか? とにかく、この大阪の鮮魚店の自衛策は行き過ぎではないかと私は思う、朝日の記事でも「プライバシー侵害の恐れ」を指摘しているが… さて、この件、あなたはどう思う?――
万引き客の顔写真、張り出し 大阪の鮮魚店が強硬自衛策
(朝日電子版 2013年5月27日11時41分)
万引き客の顔写真を、店内に張り出す鮮魚店が大阪市内にある。1品1万円の「罰金」を払えば撮影は原則免除される。ちょっとやり過ぎではと忠告されるが、一向に減らない被害に、経営者は「やめるつもりはない」と強硬だ。
「警告!」と題した店内の張り紙に、こうある。
当店で万引き等の行為を発見・確認した場合、警察には通報せず、犯人の顔写真を撮影し、店頭に貼らせていただきます(無期限)
「お小遣いかせげます!」という別の張り紙も。
万引き行為を発見・お知らせいただくだけで1万円!!
添え書きに「万引き犯の罰金(1品につき現金1万円)をそのままお渡しいたします」とも。
5月下旬、30~70代の男女4人の写真8枚が、壁に貼られていた。魚やすし数点を万引きしたという。女性2人は「私は万引きしました」と書いたカードを持たされている。みなこわばった表情だが、撮影には抵抗しなかったという。
店によると、商売を始めてしばらくは、万引き客を警察に突き出していた。しかし2005年に今の場所で開店してからは、口頭で注意するだけのソフト路線に。だが被害は減らず、年数十件ペースで続いた。一度注意した人が他店で万引きしたと聞いたのを機に、強硬策に踏み切った。
それから約1年。効果はてきめんで、被害は数件に減った。この間、商品1点につき1万円を払って撮影を免れた人も数人いたという。
自治会や客から「訴えられるよ」と注意されたというが、経営者の男性は「商品をこっそり袋に入れる姿を一度見たら、疑心暗鬼になり客の手元ばかり見てしまう。こちらは被害者。やめるつもりはない」ときっぱり。
■ プライバシー侵害の恐れ
万引き客の写真を店に掲示したケースは、関東地方のコンビニやディスカウント店で1990年代にあり、いずれも法務局が「人権上の配慮を欠く」と中止要請したり、店側から事情を聴いたりした。
司法に頼らない、市民による「私刑」ともいえる行為。問題は2点ある。人権問題に詳しい大阪弁護士会の大川一夫弁護士によると、写真は「予防のため威嚇するだけならよいが、実際にやるのは前科を流しているのと同じで、プライバシー権の侵害に当たる」。1万円の「罰金」は「損害賠償」と解釈できるが、その場合でも「相手の承諾なく額を決め、一方的に押しつけるのはおかしい」と指摘する。
万引き倒産があるといわれる書店業界も、「不愉快はわかるが、顔写真や1万円徴収は行き過ぎ。『定価の3倍を請求する』との警告など、とられない対策が重要だ」(金田喜徳郎・大阪府書店商業組合事務局長)と同情的ではない。
とはいえ、万引きの被害は深刻だ。12年の調査(NPO法人全国万引犯罪防止機構・東京都)で、スーパーや百貨店など小売り296社の被害は推計350億円超。1社あたり年平均247件にのぼる。
万引き防止策として、「客への声かけ」(85・3%)、「防犯カメラの設置」(78%)、「警備員の配置」(44%)などを進めているが、それで万引きが減る傾向にあると回答したのは全体の25・4%どまり。
従業員が警察対応に要した時間を時給換算するなど、損害賠償を請求する企業は30社あったが、それでも大半が「減少につながらない」と答えている。 【沢木香織、吉浜織恵】
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〈万引き〉 窃盗罪で、10年以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。2011年の認知件数は全国で14万1564件。大阪では8377件と過去10年で最悪だった(警察庁)。過去に同様の犯罪歴がない、被害が少額などの場合、厳重注意で済ませる「微罪処分」も多く、大阪府警では万引きした人の約4分の1を占める。
http://www.asahi.com/national/update/0525/OSK201305250023.html
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