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マンモハン・シン首相の訪日延期とその後の状況

11月15日夜から18日朝まで予定されていたマンモハン・シン印首相の訪日は、野田佳彦総理の16日に衆議院解散を行うとの決定を受けて、延期されました。

今回の訪日にあたり、日本政府は、外国首相を遇する最高の待遇である「公賓」として受け入れることにしていました。

本日16日には、天皇陛下による御引見、野田総理との首脳会談とそれに続く晩餐会のほか、安倍晋三・自民党総裁および玄葉光一郎・外務大臣のシン首相への表敬訪問、日本経団連・日本商工会議所・日印経済協力委員会共催の昼食会が予定されておりました。

更に画期的なのは、わが日印協会(会長、森喜朗元総理)、民間外交推進協会 (FEC、会長 金川千尋・信越化学代表取締役会長)および日印友好議員連盟(会長、福田康夫元総理)の三者共催による講演会が企画されていたことです。
インドの首相は、シン首相を含め国会で演説したことはありますが、国民に対し直接演説することは今回が初めてでした。
日本政府等関係者にとっても心残りでしょうが、FECとともに講演会を企画・準備した筆者をはじめとする日印協会の役職員にとっても、残念なことでした。

訪日の延期を受けて、15日、野田総理はシン首相と電話会談を行いました。

関係筋から聴取した主な内容は、次のとおりです。

1.野田総理より、シン首相訪日を楽しみにしていたと述べたうえで
  「日印戦略的グローバル・パートナーシップ」の推進の上からも、
  毎年の首脳会談は重要であると述べ、とりあえずは、19日からの
  カンボジャでのアセアン首脳との会議に双方が出席する際にお会
  いしたいと述べました。

  シン首相もお会いするのを楽しみにしている、自分も「戦略的グ
  ローバル・パートナーシップ」の強化にさらに取り組みたいと述べ
  たうえで、野田総理の御決定は民主主義国家の指導者として理解
  していると応じました。

2.両首相は、訪日の際に署名を行う予定であった下記の二つの協定
  の署名を至急行うことに合意しました。
  本日16日中にも署名が行われる予定です。

(1)日印社会保障協定-社会保障費(年金の掛け金、健康保険料、
   雇用保険料、失業保険料)の日印双方での二重払いをなくし、
   また、年金の通算ができるようにする協定。

(2)レア・アースの日本への供給協定-豊田通商がインド・レアア
   ース社と行っていた交渉結果の署名と日印両国政府による合意。


筆者としては、わが国での総選挙後、できるだけ本年中にでもシン首相が訪日し、わが国の新たな首相と首脳会談を行うことを期待しています。
日印戦略的グローバル・パートナーシップ樹立の後、毎年交互に首相が相手国を訪問するとの慣行が守られてきたからです。
鳩山由紀夫総理と野田総理は、それぞれ2009年および昨年2011年に、年末ギリギリでしたが、「年内」に訪印しました。

                     2012年11月16日

(文責) 日印協会代表理事・理事長 平林 博