生活音に対する隣室からの苦情

生活音に対する隣室からの苦情

賃借人として普通の生活音しか出していないのに隣室から生活音がうるさいと苦情をいわれました。隣室からの苦情に対抗できるのでしょうか。

ライフスタイル・生活時間帯の多犠化による苦情の増加現象

最近のアパートは、ライフスタイルの変化に応じて、フローリング床やユニットバス・エアコンなど備え付けのものが増えています。しかし、建築費用などの関係から、十分な防音措置がとられていないものも多くみられます。

また、アパートには、生活時間の比較的自由な学生を含め、さまざまな人が居住しており、また、労働形態の多様化などから、勤務時間の関係上、深夜や早朝に偏った生活時間帯をもつ人もいます。

このような中で、自分自身としては、ごく普通の生活をしているつもりでも、足音、椅子の移動・掃除機の音(特に、階下の人から)や、ガスの点火音、トイレの排水音、エアコンの作動音(排気熱を含め)などの生活音が近隣の人から騒音問題とされるケースが増加しています。

生活音問題の特殊性

近隣同士の生活騒音被害が、民法上の不法行為として損害賠償などの問題を生ずるかどうかについては、「受忍限度」という考え方が用いられていますが、上に挙げたような生活音の問題は、これまで近隣騒音の問題として、裁判上多く争われてきたカラオケ、ピアノやペットの鳴き声などの騒音問題と異なり、ごく日常の生活に伴って必然的に発生するものであり、お互い様という部分も多く、苦情を申し入れられたからといって、賃借人としては手の施しようのない問題も多いでしょう。

このような生活音による騒音が建物の構造上の欠陥から生じている場合には、賃貸人に対して修繕を要求することも考えられますが、通常の家賃で、通常の構造を備えているアパートについて、特別の防音工事まで要求することは、法律的には困難だと考えられます。

なお、近隣の生活騒音については、地方自治体が一定の規制基準を設けていることが多く(東京都公害防止条例では、住居区域に応じて、隣地との境界における音量を、午後7時から午前8時まで40-45デシベル以下などと定めています)、ルームクーラーの騒音が、これらの規制を超えた場合には損害賠償(月額8,000円)を認めた裁判例(東京地裁昭和48年4月20日判時701号31頁)もありますので、場合によっては、自分自身で何らかの防音措置を講じたほうがよい場合もあります。

解決の方法

生活音の騒音問題については、とりあえず双方の話し合いによる解決を図るのが一番です。

(1)まず、お互いの生活時間・就寝時間帯が何時か、何の音がどの程度の被害を発生させるのかを確認し、双方で音の発生を許容できる時間帯・許容できない時間帯を明らかにして、音の発生を特定時間帯に極力集中させることで、共存を図ることが最も望ましい解決策でしょう。

(2)どちらか一方の生活時間帯が深夜や早朝に偏っているなど、お互いの生活時間帯が全く異なる場合や、相手方が病的なほど音に神経過敏な人であったりする場合には、話し合いによる調整は不可能といえます。

このような場合には、裁判所に調停を申し立てることも考えられますが、日常的に発生する生活音が問題となっていますから、感情的なこじれも多く、すっきりとした解決はほとんど期待できません。

現実問題としては、引っ越しをして精神的苦痛から早く逃れることを検討したほうがよいかもしれません。ただし、場合によっては弁護士と相談して、調停または訴訟に踏み切ることを検討しでもよいでしょう。

Copyright(C) 賃貸用法について All Rights Reserved.