実寸大表紙へ
カバーデザイン 吉原夢良
暗闇の中に白い指が蠢き、 成熟した下半身を露わす姉の裸身。 25歳の人妻、裕子が弟に望んだのは……。 「一彦さんの言うとおりにするわ……」 姉の言葉が禁断の壁を打ち破った。 すべてを剥きだしにして牡と牝が絡みあう。 菊座を犯されながら、甘やかな叫びを吐く裕子。 でも……裕子はまだバージン!! 《読者からの解説と感想》主人公黒木一彦は、姉裕子と思いがけず同居する事になった。不幸な結婚生活に裕子の精神状態が破綻寸前まで追い詰められての結果だった。 姉と弟の共同生活は、しばらくの間何事も無く過ぎて行ったが、そのうちに一彦は、自分の秘蔵コレクションを裕子に見られている事に気付く。 一彦は裕子をたくみに誘導してその願望を告白させ、そこからお互いの秘められていた快楽追及の生活が始まる――。 と、ここまでのあらすじでは只の近親相姦官能小説みたいですが、この小説の面白い所はこの描写の中にいわゆる性交の場面が無いというところで、裕子がマゾに目覚めていく過程の描写、特にアヌスを調教される場面には相当なページを費やされています。そしてこの時点で裕子はまだ処女なのです。
そして突如起こる連続殺人事件。一彦が犯人に思い当たったとき、すでにその魔の
手は一彦と裕子に伸びていたのであった。 Kunimojiro(MLメンバー)
《作者より》蘭光生氏を通じてフランス書院から「作品を提供してほしい」と言ってきたのは、あれは1985年の夏も過ぎる頃だったでしょうか。二見書房マドンナメイト文庫と双璧で官能小説の文庫を売りまくっていたフランス書院とのつきあいが始まったのは、この作品からです。 長篇はまだマドンナメイト文庫の『愛人秘書』を書いただけで、長篇としてはこれが二作目。やはりそうとう苦労した記憶があります。
結局、次の年の夏を迎える頃に書き上げたのですから、たいへんな時間がかかったはずです。
それ以前の一時期、ぼくは、都内各地で開催されるアングラ的なSMショーを観て回っていました。さらにSMクラブにも出入りしてひそかに自分の願望を追究していた時期でした。
この作品がかなりの方に喜んで迎えられ、「館淳一の代表作ならこれ」と挙げられ、ビデオ化(映像化作品リスト1996『嬲られる姉』参照)までされたというのは、やはり実の姉と弟が倒錯の愛戯に溺れてゆく――という過程を濃密に書き込んだからだと思います。 いろいろなヒロインを作り上げてきて、その誰にも愛着はあるのですが、誰か一人を挙げるとしたら、この黒木裕子になるでしょうか。
《書誌情報》本書はフランス書院のフランス書院文庫シリーズとして(シリーズNo.0060)文庫判型で刊行された。現在は絶版とされ、同社によるデジタルデータ販売もされていない。 2004年12月、『姉と鞭』と改題されて幻冬舎アウトロー文庫より復刻版が刊行された。リスト1、No.127を参照のこと。 |