大阪府知事選に出馬することを宣言した弁護士の橋下徹氏。記者会見で「品行方正という生き方をしてきたわけではありません」と自らの経歴について矛先が向くことを予想してか、予防線を張っていたが、ここに来て過去の発言が取りざたされ、不用意な発言をする人物に知事としての資質があるのか疑問の声が上がっている。 12日に開かれた対立予定候補の梅田章二氏の決起大会で橋下氏と同じ大阪弁護士会に所属する女性弁護士は橋下氏への不信感をあらわにした。「お金や刑事弁護の問題などいろいろ言いたいことはありますが、1つ言わせてもらえば中国での集団買春問題の時に『ODAみたいなもの』とテレビで発言していたのを聞きましたが、信じられませんでした」と「ODA発言」を非難した。また、日本テレビ系列の番組「行列のできる法律相談所」で共演していた男性弁護士は「昔、橋下が『売春はODAみたいなもの』という発言を聞いた時、こいつ、頭がおかしいのかと思った」(12日スポーツ報知配信)とコメントしている。 その「ODA発言」の経緯とはこうだ。スポーツニッポン2003年10月13日付の記事を少し長いが引用する。 【橋下氏は前回5日(03年10月5日)の放送で、日本人団体による中国広東省珠海市での集団買春騒動に関して、「日本人による買春は中国へのODA(政府開発援助)みたいなもの」と発言。放送直後から批判が相次いでいた。番組側も橋下氏の発言は極めて不適切と判断。12日の放送で橋下氏とサブ司会者の海保知里アナウンサーが、発言の全面撤回と謝罪を行ったビデオを放送する予定だった。ところが、生放送が始まった後、橋下氏が突然、マイクの前に立ち、問題発言について謝罪。さらにこれ以上スタッフに迷惑をかけたくないから、番組から去らさせていただきますと涙を浮かべながら、スタジオを後にした。謝罪ビデオも予定通り放送された。生放送での降板宣言に、スタッフも『降板をこちらから強いたことはない』と困惑。問題の発言については「番組の(謝罪と撤回した部分の)通りです」としている。橋下氏は昨年5月にも「能や狂言が好きな人は変質者」などと発言し問題化。2度目のトラブルでもあり、本人が自主的に責任を取った格好だ】 橋下氏は「僕はいろんなメディアでも不適切な発言をしてきたし、品行方正という生き方をしてきたわけではありません。これからは週刊誌などでいろんなこと、犯罪にかかわることはやっていませんけど、取材をすればいろんなことが出てくると思います。妻の耳には入れたくないんですが」(産経新聞12月12日)と会見で話しているが、このODA発言もそのうちの1つなのだろうか。 過去の発言ではあるが、私は大阪府民の1人として、こうした意識を潜在的に持つ橋下氏には人権意識や倫理感に問題があると言わざるを得ない。府知事候補となればなおさらだ。また局側が謝罪ビデオを用意したというが、なぜ生放送で視聴者に向かってきちんと謝罪せず「番組の通り」とビデオに頼ったのか。突然の降板劇はテレビなら許されたかもしれないが、880万人の府民のくらしを預かる府知事には突然の降板など許されないことを明確にしておきたい。 ◇ ◇ ◇
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