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国際
習近平指導部、汚職撲滅肩すかし トラ退治のはずが…疑惑の大物続々復活
【北京=矢板明夫】中国の軍系メディアは29日までに、汚職問題で取り調べを受けていると噂されていた徐才厚・前中央軍事委員会副主席(大将)の動静を伝えた。徐氏が失脚していないことが明らかとなり、これをもって昨年末から汚職疑惑が持たれていた政治局員クラスの大物政治家3人の“復活”が確認された。「ハエもトラも一緒にたたく」と地位の高低を問わず腐敗政治家の摘発を宣言した習近平指導部だが、党内における求心力の弱さから実力者には手を出せないとの見方が有力になっている。
中国軍の機関紙、解放軍報は27日、軍制服組トップを務めた徐氏が、別の軍指導者の著書に推薦文を執筆したとの内容が含まれる記事を掲載した。その後、中国軍や国防省の公式サイトもこのニュースを転載した。徐氏の名前が中国メディアに登場したのは5カ月ぶりだった。今年3月に開かれた全国人民代表大会(全人代=国会)を徐氏が欠席したことをきっかけに、「身柄は党中央規律検査委員会に拘束された」との噂が広がった。
徐氏は昨年末に収賄事件で起訴された軍総後勤部副主任だった谷俊山中将との関係が極めて近いとされ「谷氏の事件に巻き込まれたのではないか」と推測する軍関係者もいた。
軍系メディアがこの時期に、徐氏に関連する重要ではないニュースをわざわざ伝えたのは、党内の調べが一段落し、徐氏は追及をかわしたとの見方もある。
昨年11月に中国最高指導者の共産党総書記に就任した習近平氏は、反腐敗対策に力を入れ、中堅クラスの党幹部十数人を一斉に摘発した。習氏はさらに「指導幹部の規律違反や違法行為を断固として調査し処罰せねばならない」と“トラ退治”宣言をした。
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