慰安婦めぐる発言:「容認は誤解」橋下氏、文書で見解
毎日新聞 2013年05月26日 22時17分(最終更新 05月27日 00時09分)
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は26日、旧日本軍の従軍慰安婦制度を「当時は必要だった」などと述べた自身の発言について、「私の認識と見解」と題する文書を公表した。「私は慰安婦の利用を容認したことはありません」と強調、在日米軍に風俗業の活用を進言したことについて謝罪と発言撤回を明記した。ただ、「誤報された」などとメディア批判を重ねた苦しい弁明が目立つ。27日に日本外国特派員協会(東京都)で記者会見して各国メディアに説明するが、事態の沈静化が図れるかは不透明だ。【林由紀子】
■慰安婦発言
文書は日本語版と英語版の各6ページ。冒頭で「発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが伝えられることによって、本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像・政治家像が流布してしまっている」と主張。「私が(慰安婦を)容認していると誤報された」などとメディア批判を重ねた。
「真意」は、慰安婦問題が「旧日本軍のみに特有の問題であったかのように世界で報じられ」「兵士による女性の尊厳の蹂躙(じゅうりん)の問題の真実に光が当たらないことは、日本のみならず世界にとってプラスにならない」という趣旨だったという。
しかし、「慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる」と発言した5月13日には、「戦争で、勝った方が負けた方をレイプするだのという事実は山ほどあった。そういうものを抑えるため、慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ」などとも語っていた。
こうした文書と発言との落差を、メディア批判で埋める形となっている。当初は報道についてツイッターに「フェアに出している」などと書き込んでおり、その評価の一変ぶりも際立つ。
■風俗業
風俗業を巡る発言については、「米軍のみならず米国民を侮辱することにもつながる不適切な表現」「この謝罪を受け入れてくださいますことを願います」などと低姿勢だ。「日本の安全保障にとって、米国との同盟関係は最も重要な基盤」と配慮をにじませた。表現面でも、性的イメージを喚起させる言葉を避け、多用してきた「性的エネルギー」「性的欲求の解消策」などの言葉は封印した。
一方、謝罪の対象を米軍と米国民に限定したことには、国内の女性団体や弁護士などからも「全ての女性、男性に謝罪すべきだ」などの反発が出ている。
■日韓関係