憲法と、
岐路に立つ憲法。その60年余を見つめ直します
【社会】浪江町 代理申し立てへ 住民の原発慰謝料 増額を東京電力福島第一原発事故による放射能汚染で、すべての町民が長期避難を余儀なくされている福島県浪江町(馬場有町長)が二十九日、東電に精神的慰謝料の増額を求め「原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」に和解仲介を申し立てる。自治体が被災住民の代理者となって、ADRに申し立てをするのは初めて。正式な裁判によらない方法によって、迅速な被害救済を求める。 約二万人の浪江町民は現在、全国四十六都道府県に分散して避難生活を送っている。その精神的苦痛の慰謝料として、賠償の範囲や額を定めた国の中間指針に基づき、一人月額約十万円が東電から支払われている。その額を町内の除染が完了するまで三十五万円に引き上げるよう求める。 慰謝料に不満でも、不安定な避難生活を送る住民には個別に東電と直接交渉をしたり、裁判に訴えたりする余裕はない。震災関連死も目立つ中、町は自らが代理者となり、一括してADRに申し立てることが早期救済につながると判断した。 現行の慰謝料は、交通事故の自賠責保険から支払われる慰謝料の基準額(月額換算十二万六千円)より低い。また避難生活で膨らむ生活費の補償分まで含まれている。町は「原発事故の深刻さに見合っていない」と不当性を主張している。 町は避難先の全町民に申し立ての委任状を送付し、五月初旬までに約半数にあたる五千世帯、一万人から返送された。弁護団はこれらの人を対象に第一次の申し立てを進めており、「国の指針を見直しさせる手段としたい」と話している。 町は福島第一原発から十キロ圏にあり、現在は(1)帰還困難区域(2)居住制限区域(3)避難指示解除準備区域−に分割されている。 PR情報
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