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政治
【正論】現代史家・秦郁彦 橋下発言の核心は誤っていない
《慰安婦は連行せず広告で募集》
橋下徹大阪市長が5月13日、大阪市役所で記者団に語った慰安婦をめぐる発言は、内外に波紋を巻き起こし、その要旨はテレビや新聞などで大々的に報じられた。改めて発言の核心と思われる3カ所を、入手した速記録から抜いてみよう。草稿なしのアドリブ発言なので、こなれの悪い口語体になっているが、あえて「整形」せずに引用し、歴史家の観点から解説を加えてみたい。
(1)「軍自体が、日本政府自体が暴行・脅迫をして…女性を拉致をしたというそういう事実は今のところ証拠で裏付けられていない」
(2)「当時慰安婦制度は世界各国の軍は持ってたんですよ」
(3)「なぜ日本のいわゆる従軍慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるのか」
1990年前後の発端から関わり、『慰安婦と戦場の性』(新潮選書、99年)という研究書を刊行した筆者として、(1)~(3)の捉え方は引用部分に限れば、大筋は正しいと思う。
ただし、歴史家は過去の史実を正確に復元するだけですむが、政治家はそれを踏まえたうえでの具体的提言や主張を求められるし、予期される内外の反響に対する戦略的、戦術的配慮も必要とすることは言うまでもない。
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