放射能漏れが起きた実験施設。上部に排気口がある=東海村で
|
 |
東海村の日本原子力研究開発機構で二十三日に起きた放射性物質の漏えい事故では、国や県などへの通報が発生から一日半もかかった。原子力安全協定などに基づいて、速やかな事故通報が義務づけられている中、裏切られた格好になった近隣の自治体の首長からは「報告が遅すぎる」などと憤りの声が上がった。(永山陽平)
原子力機構は県、立地自治体の東海村、村と隣接する日立市など四市と原子力安全協定を締結している。施設内で事故が発生したら、速やかに通報しなければならない。
安全協定が軽視されたことに、東海村の村上達也村長は「研究者たちは大丈夫と思ったのかもしれないが、どんなことでも通報は必要だ」と強調。東海村と隣接する那珂市の海野徹市長は「信頼関係をそこなう事案。しかるべき抗議をしたい」と述べた。
東海村から見て隣の隣の自治体で、原子力機構と通報連絡協定を結ぶ水戸市の高橋靖市長は「(原子力機構には)誠意がない。自分の尺度で決めないで、情報提供してもらいたい」と訴えた。
村上村長は村内の原子力研究施設を中心に、村の発展を目指す「原子力センター構想」を掲げている。村上村長は今回事故を起こしたJ−PARCを、構想実現への中核施設に位置付けていた。
今回の事故が構想に及ぼす影響について「それはない。J−PARCは東海村に限らず、国にとっても重要な研究施設だ」と説明。停止中の日本原子力発電・東海第二原発とは位置付けが異なるとした。
この記事を印刷する