巨人−オリックス 9回裏1死二、三塁、中前にサヨナラ2点打を放ち喜ぶ亀井(右)。手前は水をかけ祝福する長野=東京ドームで(市川和宏撮影)
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◇巨人3−2オリックス
巨人が逆転サヨナラ勝ち。1−2の9回、坂本の安打、阿部の死球にロペスの犠打で1死二、三塁とし、亀井が中前に2点適時打を放った。オリックスは序盤に2点を先行した後の好機を生かせず、最後に抑えの平野佳がつかまった。
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最後の最後に歓喜の瞬間が待っていた。巨人に史上初となる通算5500勝目を運んだのは苦労人・亀井だ。1点を追う9回1死二、三塁。オリックスの守護神・平野佳に食らい付いた。ファウルを重ね、とらえたのは7球目のフォーク。打球がセンターに抜けると、駿太がボールを弾く間に2者がホームを駆け抜けた。
サヨナラ打は2009年8月8日のヤクルト戦(東京ドーム)でサヨナラ弾を放って以来4年ぶり4本目。「いやーもうめっちゃうれしいです。サヨナラだということを忘れるぐらい集中していた。4年ぶりは恥ずかしいですけど」。ヒーローははにかみながら、味のある笑顔を浮かべた。
09年には25本塁打を放った好打者もその後は3年間で10本塁打と長い低迷期に入った。昨年は死球による鼻骨骨折や、左親指のねんざなど相次ぐ故障にも苦しみ、出場わずか60試合に終わった。「今季ダメなら(現役を)あきらめるという覚悟だった」。オフには登録名を「義行」から「善行」に変更。文字通りの再出発を図った。
しかし、背水の9年目も順風満帆とはいかなかった。キャンプ2日目に左ふくらはぎを肉離れ。復活どころか再びの故障が襲った。それでも「自分を見つめ直して、野球生活をもう一度スタートするという気持ちになった」と亀井。確実性を高めるため、一本足からすり足打法に変更するなど、コツコツと積み重ねた努力がこの日のV打に結実。どん底を味わった30歳が再び輝きはじめた。 (臼杵秀之)
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