新日本製鉄(本社東京)は21日、室蘭製鉄所(室蘭市仲町、升光法行所長)の火力自家発電設備の高効率化を平成25年4月をめどに稼働させる計画を発表した。新設備導入で現行の発電出力7万5千キロワットを66%アップの12万5千キロワットに増強。製鉄工程で発生する副生ガスを活用した発電を強化し、省エネや二酸化炭素(CO2)排出削減を図る。
同社のエネルギー体質強化プロジェクトとして君津、大分両製鉄所の大規模発電設備増強・更新と合わせて発表した。君津は24年6月、大分は27年2月の稼働を予定している。室蘭を含む3事業の投資額は計800億円。
室蘭製鉄所の火力自家発電設備3基は昭和30年代から稼働しており、老朽化が著しい。これを廃棄して、高効率の再熱再生型汽力発電設備1基を導入する。同設備は、高圧タービンで発電に使った蒸気をボイラーで再加熱して再利用するとともに、一部の蒸気を水の加熱に活用する。
これによって、平成13年10月から稼働する第5号発電設備と同様、CO2を含む高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガスを拡散させずに有効利用する上、電力会社から購入する電力を減らすことができる。
同社では各製鉄所ごとのCO2排出削減量は明らかにしていないが、三つのプロジェクトを合わせて年間44万トンを減らせると見込んでいる。
室蘭製鉄所は「まだ計画段階だが、少しでも早い正式決定を望む。新設備の稼働により、地球温暖化防止、環境保全に一層貢献できることに期待したい」と話している。
(山田晃司)
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