雨宮処凛と憲法生活:大阪城と周辺の巻

毎日新聞 2013年05月24日 大阪朝刊

 ピースから公園内を西に歩く。戦跡研究者の高校教諭、塚崎昌之さん(56)が同行してくれた。中国人や韓国人の団体が、ぞろぞろ天守閣へ。塚崎さんは「海外の人は、ピースに来ると『過去をちゃんと反省してる』って日本を見直しますよ。でも、外国人は入館者の4%だけ」。「観光客に今の展示を見せる方が、9条をいじるより『国益』的にもお得じゃないかなあ」と雨宮さん。

 公園の西端に巨大な何かが見えた。室戸台風(1934年)の犠牲者追悼をきっかけに建立された教育塔という慰霊塔で、高さ30メートルのコンクリート製だ。塚崎さんが「植民地教育をした人らもまつっていて、『教育の靖国神社だ』と批判がある」。今も、学校活動中に亡くなった先生や児童生徒を合祀(ごうし)する。O157の被害者もまつった。雨宮さんは「戦争関係者以外もまつるんじゃ、単純な否定もしにくいですね。ここがよりどころの遺族もいるだろうし……」。

 北上すると、築城の際石垣に使おうとして結局放置された「残念石」がある。雨宮さんが「残念なネーミングですね……」。天守閣に到着。最上階で大阪市内を一望する。ビルの谷間に通天閣がかすむ。

 階下では、城の歴史を展示する。浄土真宗の拠点として蓮如が作った石山本願寺を織田信長が滅ぼし(1580年)、跡地に豊臣秀吉が建てた大坂城は大坂夏の陣で焼け(1615年)、徳川幕府が天守閣などを再建しても落雷でまた焼けた(65年)。雨宮さんがぼそり、「ずっと、人が死に続けたんだ」。1931年、当時の関一市長が再建した。

 館内で「超、ツボなんですけど」と雨宮さんの指す絵は、左下に妙な表情の人物=<A>。とんちと物まねの名人、曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)である。「豊公曽呂利歌合之図」という絵で、秀吉が中腰で笑い転げ、女性はお多福のような表情。天守閣の北川央(ひろし)研究主幹(51)は「かつて、一休と並ぶとんちの有名人でした。架空だったはずが、最近、本当に『ソロリ』という人がいたと分かった。今後、彼をメジャーにしたいもんです」。「物騒な時代にも、大阪はお笑いがあったんですね」と少しホッとする雨宮さん。

 戦国時代の衣装を着られるコーナーも。雨宮さんの命で記者が秀吉のかぶとをかぶる。がぜん、いきり立つ記者=秀吉だが、町娘姿の雨宮さんが刀を奪い=<B>、土下座させられて終了。逆刀狩り?

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