池上彰氏が「アベノミクスの副作用」を解説【文春vs新潮 vol.90】
2013.05.24 20:45:00 記者 : 夕刊ガジェット通信 カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ : 夕刊ガジェット通信
[文春]「アベノミクスの副作用」
週刊文春で池上彰氏が連載している「池上彰のそこからですか!?」。今回は、「アベノミクスの副作用」と題し、安倍政権の経済政策がもたらすマイナスの影響を解説している。池上氏は、大きく分けて2つの副作用を指摘する。ひとつめは長期金利の上昇がもたらす悪影響で、ふたつめは急激な円安がもたらす悪影響である。
「日銀が国債を大量に買い上げたために、発行済み国債の売買が低調になっている」ことと、株高により「国債を持っていた金融機関が国債を売って、その現金で株を購入するようになった」ことにより、長期金利が上昇している。「大胆な金融緩和」政策の結果として、「銀行が企業に融資したり、住宅ローンを貸し出したりするときの金利」が上がってしまい、長期でお金を借りる際のハードルが高くなってしまったのであった。
それより私たちにとって深刻なのは、円安の悪影響である。最近のニュースでは、円安の恩恵を受けている輸出関連企業の浮かれぶりが、アベノミクス効果と称して報じられたりする。だが、それは一部の企業の恩恵であり、私たちにとって問題なのは、円安によって原油や食料品などの輸入品が高くなることなのだ。
「円が安くなる→輸入品が高くなる→物価が高くなる」という図式の中、「収入が増えるのは、輸出関連の大企業に限られ」ると池上氏は指摘する。そして、「パートやアルバイトなどの非正規雇用の人たちにとっては、収入が増えないまま支出だけが増えるという結果になりそう」で、収入が変わらず支出が増えるのは「年金生活者も同じ」だと言う。
実は、アベノミクスを読み解く際に重要なのは、雇用政策に注目することだと筆者は思う。うわべで景気がよくなったように見えても、あまり意味がない。実際に私たちの懐があたたまるのかどうか、が問題なのである。このへんは『ブラック企業』(文春新書)の著者であり、NPO「POSSE」の代表を務める今野晴貴氏の発言に注目すべきであろう。
アベノミクスと同時進行で行われているのは、「労働保護法制の解体」であり、「ブラック企業大歓迎」という土壌づくりであると今野氏は指摘する。いい事ばかりのように喧伝されるアベノミクス。だが、いい事ばかりはありゃしない、と言うのがその実態のようである。
[文春・新潮]「橋下徹」関連記事
文春も週刊新潮も、トップの記事は橋下徹大阪市長に関するものである。文春は「橋下徹の断末魔」、新潮は「橋下市長『慰安婦発言』の是非を論じる」という櫻井よしこ氏の寄稿だ。
注目されている人物の傷口に塩を塗るのは、週刊誌の役割のひとつなのかもしれない。だが、週刊誌の宿命なのか、タイミングが遅すぎる。もう彼の「慰安婦」発言に対する批判や批評は出尽くしている。とりわけ、海外での彼の評判は、地に落ちてしまった。そして、彼が共同代表を務める日本維新の会は、息も絶え絶えの状態になった。
橋下氏を擁護するつもりはまったくない。だが、両誌がいまさら橋下ネタをトップ記事にしているのは、いかがなものか。
[文春]「共同通信インチキ釈明文を公開する!」
先週、共同通信の人事部長によるセクハラ不祥事について報じたが、共同はようやくその事実を認めた。加盟各社に謝罪し、幹部職員が懲戒処分となった。共同という組織の隠蔽体質があからさまになったわけだ。
興味深いのは、「共同通信」と「人事部長」というキーワードで、グーグルのニュース検索にかけてみると、出てくる記事は大新聞のものばかりという事実だ。地方紙は、なぜ報じないのか。共同と地方紙の関係が、日本原子力発電と電力各社の関係に似ていることが、そのヒントになるかもしれない。
[今週の軍配]文春の勝ち。
【これまでの取り組み結果】(★は10勝)
文春:★★★★
新潮:★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
(谷川 茂)