トップページ社会ニュース一覧実験中に放射性物質発生 4人被ばく
ニュース詳細

実験中に放射性物質発生 4人被ばく
5月25日 5時7分

茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で23日、金属の金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に装置が誤作動して放射性物質が発生し、分かっている範囲で、男性研究者4人が被ばくしました。

23日午前11時55分ごろ、茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の素粒子を発生させる実験施設で、金属の金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に、装置が誤作動してビームの出力が通常の400倍に上がり、金が高温になって蒸発して放射性物質が発生しました。
この事故で、分かっている範囲で22歳から34歳の男性研究者4人が放射性物質を体内に取り込んで被ばくし、外部からの被ばくを合わせた被ばく量は、最大でおよそ2ミリシーベルトでした。
4人は自宅や宿舎に戻っていて、日本原子力研究開発機構は「健康への影響はないと考えている」と説明しています。
また、建屋では合わせて55人が出入りしていたということで、今後、被ばく量を調べるということです。
建屋内の汚染は、最大で1平方センチメートル当たりおよそ30ベクレルで、装置がある建屋は封鎖され、立ち入り禁止になっています。
この施設は現在、停止していて、敷地境界で放射線を測定しているモニタリングポストの値に変化はなく、外部への放射性物質の漏えいはないということです。
一方、茨城県によりますと実験施設の隣にある施設のモニタリングポストでは、23日の午後4時ごろから6時ごろにかけて、通常、1時間当たり70から130ナノグレイを示している値が、一時、10ナノグレイ程度上がったということです。
国の原子力規制庁は、24日午後9時20分ごろに、日本原子力研究開発機構から連絡があったということで、内部被ばくの状況、連絡が遅れたことなどについて、話を聞いて調べています。
茨城県は、午前2時から記者会見し、発生から通報まで1日半もかかっていて遅いとしたうえで、25日の午後、立ち入り調査を行う考えを示しました。
日本原子力研究開発機構は、午前2時半前に茨城県庁で記者会見し、「大変、お騒がせして申し訳ありません」と謝罪しました。
日本原子力研究開発機構では今月17日に、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で重要な機器の点検漏れなどが相次いだことを受けて、鈴木篤之理事長が辞任したばかりです。

「J-PARC」とは

ホームーページによりますと、今回、放射性物質の漏えいがあったのは茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所にある「J-PARC」と呼ばれる施設です。
素粒子物理や生命科学、それに原子力などの幅広い分野で最先端の研究を行うための施設で、平成20年に第1期施設が完成しています。
このうち素粒子を発生させる実験が行われていたハドロン実験施設は、平成21年1月に完成した建物で、原子力科学研究所の南端に位置し、加速器から取り出された陽子ビームを使って素粒子を発生させるなどの実験が行われています。
周辺の住宅地は、最も近いところで、施設から700メートル余り離れたところにあります。

[関連ニュース]
k10014836881000.html

[関連ニュース]

  自動検索

茨城・東海村 実験施設で内部被ばく (5月25日 3時38分)

このページの先頭へ