めぐりめぐって星の歌

 

見晴らしの丘はいつもそうだった。
――指先から凍りつくように終わりがすぐそこに見える。間違いなんかじゃ、ない。
闇が想起する未来はもはや過去に過ぎなかった。願った夜明けはすぐに見つかって、このザマだ。信じられることがただひとつ光の姿だけだったとは言え、これが正解なのかは勿論誰にもわからない。

白竜の横顔は月の光に照らされるとまるでこの世のものじゃないような美しさで、在った。
この場所は思い出の場所だ。別れた場所、出会った場所、そして終わる場所――
星空の冷めた息吹が世界を透かして眼房に刺さる。背中を突き刺す。心の臓を貫く。

唇から微かに鉄の香りがするのは、噛みグセがひどいからだ。白竜は、舌を噛む癖がある。
散々奪われた熱だったが、いまだ燻り続ける心底は確かに、彼の体温を奪ったはずだった。
奪い合うだけの、与え合うだけの、それでも確かに「    」だった。






握り締めた両手は恐ろしく冷たい。血液が凍っているかのように、白竜のからだにあたたかいところなんて存在しなかった。白竜のくちびるは「    」を語り、三日月のかたちに歪んだ。
それはまるで、死を、押し付けられるような暴力的な正義である。血液がそもそも通わない自身の体温なんて、これっぽっちも意味がないことを、知っている。

滑稽だと、きみは笑うのだろうか。終焉を、望んでいたのは誰だったのだろうか。
――白竜は、不健康な肌の色をボクに晒して、隣に座り込んだ。

 

 

 

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「俺は、きっと、お前のことが好きだった」