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しみったれ, 2012/6/17
ドケチな家庭で育てられた一方で、日本のスノビズムの頂点である慶応高校で青春を過ごしたアンビバレントな感覚。
独特な異様さを放つ。ケチだけど見栄っ張り。同級生には勝てないとわかっていても、負けられないという気持ちが強いのだろう。
10円を節約するためにたくさんの時間を費やす一方で、一週間の虚栄心を満たすためにエルメスのバッグのレンタルを推奨する。
リゾートマンションの購入を薦めているが、維持管理もかなりカネがかかると思うのだが・・・
地元民ぽくみせるためにジャージにママチャリで六本木あたりを歩く。ホテルから封筒などをもらってくる。
うーん・・・つるピカハゲ丸を思い出した。
また一方で人間関係をシビアに見ぬいて、したたかな人だと思った。
ADに差し入れをして将来につなげようとか、集団では5,6位を狙う、それなら権力関係の逆転が起きても組織で生きられるなど。
でもそれくらいじゃないとここまで有名にはなれないんでしょう。さすがだ。
正直殆ど参考にならないのだけど、ハッとさせられる部分もあった。
以下その部分を
おやじの会社の名前イコール苗字。本当のハイソサエティのオボッチャマがいた。
彼らと同じ土俵で幸せを語るなんて無意味だって言うことは高校生にもわかります。
憲法が言う平等なんて建前であって、そもそもスタートラインが違うのです。
学校の先生は、「頑張れ!」「努力しろ!」と言いますが、やる気など起こるはずがありません。
「がんばってハーバードビジネススクールに行ったところで、結局はT君に勝てないじゃん」
今でも忘れられないのが、進路指導で先生に言われたことです。
「金子くんはお父さんがサラリーマンで、普通の家庭だね。
まあ、多少、優越感に浸りたいなら、地元の信用金庫あたりに就職して、支店長でも目指しなさい」
「イヤだ!」
「じゃあ、中学校の先生でもやったら?」
「それ、もっとヤダっ!」
「そんなこと言っても、しょうがないよ。金子くんちは、親がサラリーマンなんだから」
先生からそうきっぱり言い渡された僕は、決意しました。
「だったら、もう勉強しない。人生の抜け道を選んでいきていこう」
だって、そうでしょう。信用金庫も中学の先生も、ヤダ。
会社員になれば同級生のT君やF君に使われることになり、面白くない。
だったら、一流なんか目指して努力するよりも、他の人生を歩んだほうがいいに決まっています。
無責任に将来に対しての希望を持たせない慶應の進路指導に笑った。
確かに事実であり、その通りなのだが。
日本の天上界の人間が同級生にいるからこそ、理不尽な不平等を学生時代からきちんと認識できる。
だからこのような生き方を選んだのがよくわかる。