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5つ星のうち 5.0
これはキツイ, 2012/12/5
見ていてこんなにキツイのは久しぶり。
リアル
レスラー スペシャル・エディション [DVD]、
アキレスと亀 [DVD]、
アイデン & ティティ [DVD]だ。
映画だから、フィクションだから、とまだ救いがあるが、これは本物の人生だ。
バンドに嵌って学校はドロップアウト。もう今更普通の職にはつけない。
いつか売れるという夢がなければ、もう人生は終わってしまう。
本人、身内はそう信じなければ報われない。
島田紳助がM-1の企画意図で「10年芸人をやって売れなかったら、もう引退しなさい。それ以上続けると周りを不幸にする」と言っていたのと全く同じ。
こっちは30年か・・・
売れるべきタイミングに売れないと、もう浮き上がることはできない。
ひたすらレコード会社を非難してたけど、自分たちの実力不足を認識したら人格が崩壊しちゃうしな。
歩いている後ろ姿からは長髪で隠れてはいるが薄くなった頭皮が見え哀愁を誘う。
ハードな歌詞や演奏も、反抗的な若い時なら違和感がないのだが、オッサンが歌うと滑稽にしか見えない。
話は違うが、尾崎豊って死んでよかったのかなと。
もし今も生きていて、生活のためにディナーショーで卒業や15の夜を破れたジーンズ姿で歌っていたら、それはもうスギちゃんのようなギャグになっていただろうし。
マネージャーとメンバーが結婚し、脱退するのもリアル。
数えるほどの観客の前で歌い、本当に少額のギャラのために怒鳴りあう。
最後は日本のロックフェスで大観衆の前で歌っている姿でハッピーエンドっぽく仕上がっていたが、
これは色々なバンドが集まったからだろう。ワンマンでは絶対に無理。
そう考えると40年、一人で客を集め続ける郷ひろみって本当にバケモノだな。
日本でも成功を夢見るミュージシャン、お笑い芸人、俳優など現在進行形で同じ人生を送っている人も多いでしょう。
感動した、というレビューもあるけれど自分にはもはや破滅的なホラーとしか思えなかった。
でも本当に面白いドキュメンタリー映画だった。