工藤は熱かった。ACL出場組の柏は、29日に広島戦(J1第9節未消化分)があるため、日本代表に遅れて合流し、翌30日のブルガリア戦に臨む。強行日程となるが、「プレーできる自信はある」と言い切った。23歳のストライカーは飢えていた。
今季はフル稼働している。ゼロックス杯、リーグ戦、ACLと公式戦全21試合に先発中。計13得点と抜群の決定力を誇っている。底なしのスタミナを持つ柏の背番号「9」は言う。「連戦をやっているので苦手意識はない。コンスタントに点も取っているので。決定力の高さを示したい」。疲労よりも充実感に満ちていた。
日陰の道を歩んできた。金メダルを獲得した2010年のアジア大会では得点王に輝いた快足FW永井謙佑(スタンダール)の陰に隠れた。12年のロンドン五輪代表からも漏れた。だから「悔しさが糧になっている。でも、まだ日の丸を付ける実感はない。代表ではピッチの中でたくさん要求して、学びたい」と言った。
本職はFWだが、2列目の右から飛び出して得点する形も作り上げた。ザッケローニ監督が求めた「複数のポジションをできる」能力も備える。日本代表FW岡崎のように駆け引き、泥くささを持った点取り屋だ。「今は動きに無駄がなくなり、点を取れる場所にいられている」。勢いだけではない。歩みは遅くとも一歩、一歩進んできた自負がある。雑草ストライカーはゴールを積み重ね、日の当たる舞台への入場券を得た。 (占部哲也)
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