海外法人利用したアップルの節税策、グーグルやヤフーも利用
5月22日(ブルームバーグ):米アップル の税務戦略に対する米上院の追及では、アイルランドで法人格を取得し、米カリフォルニア州の取締役会の支配下にある1部門が2009年以降に300億ドル(約3兆円)の利益を計上しながら、どちらの国にも納税していないことにスポットライトが当てられた。
アップルの幹部は21日の上院公聴会で、アップルの海外税務戦略の鍵を握る子会社が米国から管理・支配されているにもかかわらず、米連邦所得税を納付していないことを認めた。
米オレゴン州ポートランドにあるリード大学のクロージング教授(経済学)によると、多国籍企業の利益の移転で欧米諸国は少なくとも年間1000億ドルの税収を失っている。引退した国際税理士のマイケル・ダースト氏は、「多国籍企業が低い税率もしくは無税の国に利益を書類上移転する契約を使って非課税所得を得られる体系を数十年にわたり世界各国の議会と政府は容認してきた」と指摘した。
同様の節税策はインターネット検索エンジンで世界最大手のグーグル やヤフー、製薬のフォレスト・ラボラトリーズ など多数の企業が利用しているが、米国のほか、財政緊縮策への反発に直面する欧州諸国など世界各国の監督当局はこうした慣行に一段と厳しい監視の目を向けている。
企業の節税策は複数の方面から標的にされている。経済協力開発機構(OECD)は20カ国・地域(G20)の要請を受け、7月に利益移転による税収喪失に対処するための「行動計画」を公表する予定。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会も企業の利益移転を可能にしている主要な規則に注目しており、米国では財務省が4月に国際税務上ふさぐべき抜け穴のリストを公表している。
原題:Google to Yahoo Join Apple in Avoiding Tax With StatelessIncome(抜粋)
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更新日時: 2013/05/22 15:39 JST