神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、少年だった男性(30)に土師(はせ)淳君(当時11)が殺害されてから24日で16年になる。淳君の父親の守さん(57)が報道機関に手記を寄せた。淳君への変わらぬ思いをつづるとともに、少年法の継続的な見直しを求めている。
守さんによると、加害男性から今月22日、手紙が届いた。7年連続という。昨年に比べて変化があり、さらに深く考えるようになっていると感じたという。
手記の全文は次の通り。
◇
この5月24日に、「淳」の一七回忌を迎えます。16年という期間は非常に長いように思いますが、どれほどの年月が経とうとも、親としての子供への想(おも)いが変わることはありません。
加害男性についての情報は、現在も全く得られていない状況には変わりありません。以前からお話ししていますように、事件の真の原因に関して、彼自身がきちんと分析した上で、彼自身の言葉で、私たち遺族に説明して欲しいと思っています。そしていつかそのような日が来ることを期待しています。
最近、多くの自治体で犯罪被害者支援条例が制定されており、神戸市でも先の議会で成立しました。また兵庫県明石市では、現在の条例をさらに改善したものにしようという動きさえあります。この条例の制定により地方自治体の犯罪被害者に対する対応が大きく改善されるであろうと思います。しかしながら、この条例が制定されるということの最も重要な点は、この条例ができることにより犯罪被害者にとっての拠(よ)り所(どころ)ができるということだと思います。この条例に基づいて、犯罪被害者が声を出すことができるということは精神的には非常に大きな影響を及ぼすことになると思います。この動きがさらに広がっていって欲しいと願っています。
今年2月、(法相の諮問機関の)法制審議会が少年法の改正案を法務大臣に答申しました。少年事件の被害者の大半は、現在の少年法を、被害者にとっては十分満足できる法律であるとは考えていないと思います。昨年、全国犯罪被害者の会(あすの会)として改正少年法3年後見直しに関する意見書を提出しましたが、今回の改正案では、私たちが要望した審判傍聴の対象者の範囲の拡大、加害少年に対する質問の許可、社会記録の閲覧の許可、被害者国選弁護人制度の実現などは全く盛り込まれていませんでした。現在の少年法は、少年犯罪被害者が決して納得できるような法律ではありません。少年法は、現在でも被害者のさらなる犠牲の上に成り立っている法律であることには変わりはありません。少しでもその状況が改善されるように、今後も継続的な見直しをして欲しいと思います。
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部