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区役所は「ホームレスが公園を不法占拠」――支援者に有罪判決

週刊金曜日 5月23日(木)17時7分配信

「被告人を有罪と科す。懲役一年、執行猶予三年……」。四月一八日、東京地裁・第四二九号法廷で「竪川弾圧裁判」の判決が大野勝則裁判長によって言い渡された。

 被告は器物損壊容疑で逮捕されながら、その後、威力業務妨害罪に問われた園良太さん(三一歳)。園さんは竪川河川敷に居住するホームレスの人たちの支援者だ。支援活動中に逮捕、勾留、起訴され留置された。

 判決に傍聴席から「不当判決」と怒りの声が上がる。「きわめてレベルの低い判決だ」。憮然として語るのは弁護人の大口昭彦弁護士。弁護側は公判で、野宿者の強制排除に対する支援者の抗議行動を恣意的に歪曲し、あえて事件化させたと警察を厳しく批判してきた。しかし、判決は「はじめに有罪ありき」。検察の描いたストーリーに追随した判決だ。裁判官は八回もの公判で何を審議したのだろうか。

 一方、江東区役所の高垣克好・河川公園課長は「刑事事件ですからコメントできません」。しかしホームレス対策については長々弁解がましく語った。「公園は住民の憩の場です。寝泊りするところではありません。あの方たちは寝場所にされている。不法占拠なのですよ」。彼らも住民のはずだが。

 園さんは昨年二月九日、竪川野宿者強制排除への抗議と、話し合いのために江東区役所を訪れ、暴力的に職員に排除された。その際、ガラス窓を割ってしまい、器物損壊容疑で逮捕、勾留された。

 しかし、ガラス代約五〇万円を弁償したため、今度は威力業務妨害罪で留置され、二〇〇万円の保釈金で釈放されるまで一二七日間、時間と自由を奪われた。そして有罪。重大な公権力による人権侵害ではないだろうか。判決後、園さんは「こんなこと許されるはずありません。全ての表現が弾圧対象になる。しかしそんな日本を僕は変える」と力強く宣言した。

(これひさかつこ・ジャーナリスト、4月26日号)

最終更新:5月23日(木)17時7分

週刊金曜日

 

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