スイス製薬大手の日本法人、ノバルティスファーマ(東京・港)が、治療薬の効果を調べる大学の臨床研究に社員が身分を隠して関与したとする報告書をまとめていたことが23日、分かった。社員は2001年以降、データ解析などを担当していたという。社員は今月15日付で退職した。
同社は22日、「不適切だった」として日本医学会や日本循環器学会などに報告した。
同社によると、元社員が参加したのは高血圧症治療薬「ディオバン(一般名バルサルタン)」の臨床研究。京都府立医大、東京慈恵会医大、千葉大、名古屋大、滋賀医大がそれぞれ中心となった5つの臨床研究で、脳卒中や心筋梗塞の予防効果をほかの薬と比較する研究に関与していた。
元社員は論文に名前を載せる場合は非常勤講師を務めていた「大阪市立大」の肩書を使い、社員であることを隠していた。上司は臨床研究への参加を支援していたほか、元社員の部下が関与したケースもあったという。
研究内容やデータがゆがめられる「利益相反」の問題が生じる恐れがある。同社は元社員の臨床研究への関与を否定してきたが、「事実と相違していた。訂正し、おわびしたい」としている。
ノバルティスファーマ、ディオバン、臨床研究
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