国際結婚が破綻した夫婦の子どもの扱いを定めたハーグ条約が22日、国会承認され、政府は年度内の条約加盟を目指す。家族制度の違いなどから国内には慎重論もあったが、国会として米国などの強い要請に応じた形。政権側には、日米関係立て直しの材料とする思惑もある。
米政府がハーグ条約加盟を初めて日本に促したのは自民党政権下の2009年3月。オランダ・ハーグでの国際会議に合わせて行われた日米外相会談で、当時のクリントン国務長官が中曽根弘文外相に「条約加入の可能性を検討してほしい」と求めた。事前の調整では取り上げられなかった話に日本側は戸惑ったという。
このころ米国内では、結婚生活が行き詰まった一方の親が子を日本などに連れ帰るケースが社会問題化。「拉致事件」とも呼ばれ、子を連れ去られた親が家族会を結成、米議会への陳情を活発化させていた。
こうした状況を受けて日本政府も、加盟した場合の国内手続きに関する実施法案作りに着手。しかし、日本では離婚後の親権はどちらか一方の親にしか認めないが、加盟国は両親に認めるのが一般的で、「家族制度の根本が違う」(政府関係者)。家庭内暴力から逃げ帰ったケースもあり、当初は加盟に慎重意見も少なくなかった。
加盟への動きが本格化したのは民主党政権発足以降。鳩山由紀夫元首相から政権を引き継いだ菅直人元首相は、11年1月の内閣改造時に加盟を検討するよう法相に指示した。米軍普天間飛行場移設問題をめぐってこじれた日米関係の再構築に向けた足掛かりにしたいとの思いもあった。
米国から日本への子の連れ帰り件数は、報告されているだけで12年9月時点で81件。他に英国から39件、カナダから39件(ともに同年8月時点)などとなっており、欧米の対日圧力は強まっていた。
12年3月、野田内閣は条約承認案を国会に提出。同年末の衆院解散で廃案となったが、後を継いだ自民党の安倍内閣は方針を踏襲し、再提出した。主要8カ国(G8)で条約に加盟していないのは日本のみ。安倍内閣としては、6月中旬に英国で開かれる主要8カ国首脳会議までに実施法案を含めて成立させ、国際社会への「手みやげ」としたい考えだ。(2013/05/22-21:07)
ハーグ条約、曲折経て加盟へ=欧米圧力に慎重論しぼむ
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