計算ミスを軽減する
人間は完璧な存在ではない ので、ミスを0にすることは不可能だと思います。
重要なのは、方法を工夫してミスをできる限り最小限に抑えること です。
計算ミスの原因は一様ではないため、ミスを類型してあげていきます。
・数字は見やすい形で
きれいに書かなくて良いですが、見やすい数字を書くよう心がけましょう。
いつもより"大きめに書くこと"がポイントです。縦長より、やや横長に書くと見やすくなります 。
・ノートを広く使う
ノートを隅々までビッシリ埋める人がいます。スペースがもったいない気持ちもわかりますが、
広々と書いたほうが見やすくなのでミスも少なくなります 。分数は分母と分子を別の行に書いたり、
改行はゆとりをもって行うと、見直しもしやすくなります。
・無理をしない
「自分はミスを犯しがちだ!」と自認して、速さより丁寧に行うように心がけましょう。
4×5×6×7×8×9
=120×56×9 ←無理して一気にやらない 。改行してワンクッションを置く。
=120×494
=59280
2(3X+2)+3(5X−3)
=6X+4+15X−9
=6X+15X+4−9 ←慣れないうちは、共通の文字ごとに整理。
=21X−5
イコールで繋げて縦長になってもいいので、途中をすっ飛ばさないようにしましょう 。
"雑にやらない。急発進しそうなときはブレーキを心がける"が肝心 です。
・計算方法を工夫する
また、効率の良い方法を覚えることは、ミス防止につながります。
1、 計算の順序の入れ替え
30+31+32+33+34+35+36+37+38+39+40 ←1の位が0になるように並び替え
=(30+40)+(31+39)+(32+38)+(33+37)+(34+36)+35
=70+70+70+70+70+35
=70×5+35=350+35=385
2、分割や結合
35×18 =(7×5)×(9×2)=5×2×7×9=10×63=630
56×25 =56×25×4÷4 ←×4÷4を加えても結果は変わらない。
=(56÷4)×(25×4) ←25×4=100を利用する。
=14×100=14000
3、分配法則の利用。
2×2×3.14+4×4×3.14 =4×3.14+16×3.14
=(4+16)×3.14 ←×3.14が共通。それ以外をカッコでくくる。
=20×3.14 =62.8
99×77
=(100−1)×77 ←99=100−1を利用して分配法則から分割させる。
=100×77−1×77=7700−77=7623
4、因数分解の利用
153×147 =(150−3)×(150+3) ←平方の公式。
=22500−9 ←15×15は覚えておく(後述)
=22491
簡単にする=ミスを防ぐです。
・見直しをする。
計算が終わったら、答えを見る前にもう一度見直しをしましょう。
Xについて解く問題や連立方程式は、計算した結果を元の問題文に代入することで、
事後的に正誤を確認することができますよね。
およそ計算(概算)も見直しの1つの手段になりえます。
およそ計算とは、例えば28×58の場合、28は30弱、58は60弱ですので、
28×58は1800弱になるだろう、と頭の中でおよその値を推測する計算です。
詳しい正誤の判定を調べられませんが、ケタ違いを起こしやすい小数の計算ではミスは防げます。
・計算過程は全て残しておく
計算が苦手な子ほど、答えを間違えたときに全て消してしまう傾向があるように思えます。
これでは、どこを間違えたのかがわからず、失敗を活かせません。
間違えても計算過程は全て保存し、どこを間違えたのかを精査してみて下さい。
面倒くさいことですが、計算方法そのものを間違えている場合は、
自分の悪いクセを早期に見抜くことが何よりも大事です。
間違えたところを見つけたら、そこから消して続きの計算をしています。
もちろん、隣に空きペースがあれば、そこに記しても構いません。
暗算では厳しいと感じたときは、筆算も書くようにしましょう。
どの計算式で用いたかわかるように、計算式の近くに書いて下さい。
そして、答えを間違えたときは筆算も見るよう心がけてください。
地道な努力が計算力をUPさせる秘訣です。
受験生が間違えやすい代表例を挙げてます。
例1)負の数の符号ミス
2−6×(−2)
=2−12
=−10
典型的な符号ミス。
マイナスとマイナスはプラスになる。
答えは14。
例2)式の展開での符号ミス
2(2X+3)−3(5X−4)
=4X+6−15X−12
=−11X−6
これも代表的なミスです。
−3のマイナスは、5Xだけでなく−4にもかかるので符号が+に変わります。
答えは、−11X+18
例3)片方の分子のみで分母を約分
(4X+5)/8=(2X+5)/4
/(スラッシュ)は、÷と一緒で分数の線と同じです。
上の式は、分子の4Xと分母の8を約分していますが、
8は+5にもかかるので、4Xだけで約分はできません。
分子に+や−がくる場合は、分子全てにかかる約分しか行えません。
片方だけの約分は禁物です。
正解は (4X+6)/8=(2X+3)/4
例4)逆数のミス
分数の割り算は逆数(分母分子をひっくり返した数)をかけますが、
その逆数を間違えるときがありました。
例えば、3/4aのaは、もともと分子にありますから(3a)/4なので、
その逆数は4/(3a)となり、分母に移ります。
aを分数で示せば、a/1ですから、逆数は1/aですもんね!
例5)乗数の取扱い
(−2)^4 と −2^4
^(キャレット)は、累乗を表します。
(−2)^4=(−2)×(−2)×(−2)×(−2)=16
−2^4は、−に指数はかかりませんから、−2×2×2×2=−16
カッコがつくかつかないか・・・忘れそうになったら上の例をみて覚えなおしましょう!
例6)指数法則
a^2×a^3=a^6
×なので2乗×3乗=6乗としたいところですが、
a^2=a×a と a^3=a×a×aをかけると
a×a×a×a×a、つまりa^5になります。
(a^2)^3となると、(a×a)×(a×a)×(a×a)=a^6になります。
自信のない方は指数法則を確認して下さい。
例7)代入時にカッコを忘れて符号ミス
x=−2のとき、−x+x^3の値を求めよ。
−2+−2^3=−2−8=−10
マイナスや乗数を代入するときは、カッコでくくらないと符号ミスが起きます。
正しくは、−(−2)+(−2)^3=2−8=−6
連立方程式で代入法を用いるときも注意が必要です。
例8)移項の符号ミス
移項するとプラスマイナスが逆に変わります。符号の入れ替えに注意です。
移項をしたものを変えて、移項していないものも変えてしまうミスも見たことがあります。
例9)方程式と文字式の計算を混同する
3x+5−3x−2 と 3x+5=ー3x−2 は全く異なる問題です。
方程式を無理やり文字式に変えて解いてはなりません。
例10)方程式最後の文字について解く過程
・・・
3/4x=12
x=12×3/4=9
上は3/4をかけていますが、正しくは割り算です。
計算が苦手な子が間違えやすいところでした。
正しくは、x=12÷3/4=12×4/3=16
他にも間違いがありますが、あげるとキリがないのでこの辺で・・。
とりわけ因数分解や平方根は、いままでの計算とは少し手法が異なりますから、
独特なミスを犯しがちな危険な分野です。
計算癖というのは、だいたい同じところでミスをする場合が多いです。
ですから、自分がどこに落ちやすいのかを早めに見つけてください。
そのためには、間違えたからといって計算過程をすぐ消してはなりません。
・正しい方法で反復練習
計算方法に、独特の悪いクセがあるとき、その是正は容易くはありません。
まずは早期に落としやすいポイントを見つけること。そして、正しい方法へずらしていきます。
まずは、空いてるスペースに 模範解答をまねながらそのまま書きます。
そのとき、どこでどう間違えたかを記すとなお良いです。
目立つように枠で囲ったり、色ペンやマーカーで際立たせて下さい。
問題は、定着です。
正しい模範解答をノートにせっかく書いても、一度書いたら満足してそれを全く見なくなる人がいます!
ですが、定着していないのに、自力で問題を解いても悪い癖が再びぶり返すだけです。
一度、正しいやり方を理解しても、忘れてしまえば意味がありません。
模範解答を何度も眺めて、慣れるまでそれを真似ながら類題を解きましょう。
過去に解いた問題をもう一度繰り返すのはダルく感じると思いますが、
それが復習するということです。復習をあなどってはいきません。
重要!↓
正しい知識や方法だけを頭にいれる!間違ったものを頭にいれると、なかなか抜け出せなくなる。
すべての科目にいえることです。
より計算を上達させるには
・暗算
日ごろから暗算をして数字に慣れておくと便利です。
暗算をすると頭の瞬発力があがり、回転力も速くなります。
100マス計算でもよいし、2桁の足し算引き算を5〜10問くらいでもよいので、毎日続けることがポイントです。
自分は習ったことないのですが、小さい頃に珠算(そろばん)を習っていた子は
暗算が得意な子が多いと聞きます。
珠算には、計算を得意とするヒントが隠されているかもしれませんね。
・車のナンバープレート
車のナンバープレート4桁をうまく利用して、答えが10になる計算式を頭の中で組み立てる訓練法です。
例えば、7316だったら・・
6÷3+7+1=10
(7+6−3)×1=10
対向車が通り過ぎるまでに、組み立てられたらGOOD JOB!
9270はどうでしょうか?
一見不可能に思われますが、
9+2−7^0(7の0乗)=9+2−1=10
0乗はいかなる場合でも1になる法則があります。(ただし、0の0乗を除く)
1^0も2^0も10000^0も全て1です。
0^0については細かい論議があります。小難しい話になるのでここでは割愛します。
0がでてきたら0乗を考えて見ましょう。
・結果を覚えておく。
25×4=100 15×12=180 45×4=180 75×4=300 125×8=1000
・・というように、結果を覚えていると倍数や約数を見つけやすくなります。
計算の経験を積んでいくと、自然と覚えてきますので頑張りましょう!
また、円の面積(半径×半径)や平方根の問題では、2乗の結果を暗記しておくと便利です。
1×1=1 2×2=4 ・・・11×11=121 12×12=144 13×13=169・・
20×20まで覚えてしまいましょう。
・倍数ルール
塾に通っている子はご存知かと思いますが、倍数のルールを知ると約分がしやすくなります。
2の倍数 → 偶数(1の位が0,2,4,6,8)
3の倍数 → 各位の和が3の倍数(123だったら、1+2+3=6 6は3の倍数なので123は3の倍数)
4の倍数 → 下2桁が4の倍数(628の下2桁は28で4の倍数、よって628も4の倍数)
5の倍数 → 1の位が0か5
6の倍数 → 2の倍数と3の倍数のルールを両方満たしている(2の倍数×3の倍数=6の倍数のため)
8の倍数 → 下3桁が000か、8の倍数(6の倍数と違って、2と4の倍数ルールの複合ではないことに注意)
9の倍数 → 各位の和が9の倍数(3の倍数と構造が一緒)
10の倍数 → 1の位が0
25の倍数 → 下2桁が00、25、50、75
7、8、11、13の倍数ルールもあるのですが、使えにくいので覚えなくてもOKです。
・時間を計測する
計算に慣れてきたら、時間を意識しましょう。
計算ドリルによっては、目安のタイムが設定されているものもあるので、参考にしてみてください。
時間の概念は、受験の世界でもとても重要です。
ストップウオッチで計れば、本番さながらの緊張感を味わうこともできます。
高い正答率を維持しながら ベストレコードをたたき出せれば、計算の上級者ですね!
・ソフトを利用する
最近では、計算力を高めるためのゲームソフトが売られているようです。
任天堂DSを持っている方は、ベネッセが出している「数センス計算力UPトレーニングすうトレ」が面白そうです。
ゲームの紹介を見ましたが、数のセンスを鍛える問題はとてもユニークで楽しそうです。
お金にゆとりがでたら購入してみようと思います。
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